娘の髪をとかすこと
GLAYのTAKUROのインタビューでこんな言葉を見つけました。
本当に100万枚売ることと、娘の髪をとかすこと、これが同じぐらい大事だと思っています。
私の中に電撃が走る。
家庭と仕事との両立でずっともやもやしていたことを、こんなにも短い文章で核心をつかれた思いでした。
それは、かけがえのない今を愛するということ。
子供が子供でいてくれる時間が、人生の中で、どんなに短いか。
いかに一瞬で過ぎ去ってしまうものなのか。
毎日の連続の中で、子供の笑い声や泣き声が響く騒々しい日々の中で、
そんな当たり前のことを私たちは簡単に忘れてしまう。
子供と過ごす時間というものが、
ごく限定的に与えられた、美しい期間だということを。
私は出産する前はいわゆる「バリキャリ」と言われるような働き方をしており
ハードな職場の管理職として奮闘していました。
2人の子供を産んだあとも
私には幸福にも復帰を待ち侘びてくれる職場があり、
仕事で成果を出したり仲間と汗を流して前に進んだりするのが楽しくて、
つまり働くこと好きです。
一方で、子供たちと過ごす時間や、
子供が喜んで食べてくれるものを考えながら料理をしたり
家族みんなが過ごしやすい空間に整えたり
そういった日常がたまらなく愛おしいと感じている。
仕事との両立のためには家庭を完璧にしようとしないこと、とよく言われるが
そういう問題ではないのだ。
TAKUROが言うように、
子供との時間で大切なのは
なんてことのないような日常の一瞬一瞬の全てなんです。
仕事においては、そんな一瞬の連続が大切なんてことはない。
プロジェクトの成功、目標の達成が醍醐味であり
そのために端折れる部分があればいくらでも端折るし、
生産性の高い方法を常に模索していきたい。
子供との時間で大切なのは流れる時間そのものであり、
仕事で大切なのはひとまとまりのプロジェクトの遂行と結果である。
そう考え、私は転職を決意しました。
基準は、働く時間を短くし、その中で最大限の成果が出せる環境。
そしてできる限り家族のために時間を費やす。
これが今の私の答えでした。
ずっと将来のこと、死にゆく床で思いを寄せるのは、
子供達と騒々しく過ごしている、今のこの時間なんじゃないかなあ、と思うのです。
TAKUROが書く歌詞の中で、「永遠」という言葉が頻繁に出てきます。
永遠などないと理解した上で、それでも永遠に憧れる。
それじゃあ、永遠とはなんだろうか。
それは、人々が追い求めるだけの空虚な空想なんかではなく、
今、愛おしいこの瞬間を、どこまでも大切にする、
ということ。
心の中に絵画のように焼きつけた時間こそが「永遠」なのです。
そんな素敵な考え方を、私はGLAYのたくさんの歌の中から教えてもらいました。
子供を育てるということは楽しいことばかりではないけれど、
どんな一瞬も大切にしながら、
心の中に愛おしい絵画を増やしていきたいな、と思います。