ダブルバインド
「置いていくよ」
「もう知らない、勝手にして」
何度言っても言うことを聞いてくれない子供に向かって、かけがちな言葉です。
私もたびたびわがまま絶頂期の息子に向かって
言ってしまうことがありました。
この言葉、心理学の用語で「ダブルバインド」(二重拘束)といって
とてもやばい状況を引き起こすのだそうです。
「置いていくよ」と言いつつ、本当には置いていかない。
言葉と違うことを求めているんですね。
子供に恐怖と混乱を与えるおどし文句です。
この言葉は、大人が思うよりもはるかに大きな影響を子供に与えます。
軽々しく使っている言葉であっても、
子供の自己肯定感が下がったり、他人を信じられなくなったり、
友達に対してもおどしのコミュニケーションを取るようになったりと、
たくさんの悪影響が出てしまいます。
「片づけられないなら、おもちゃを捨てるよ」
「好きなおもちゃを買ってあげるよ」→(選んだものに対して)「それはだめ」
などもそうですね。
別の記事にも書きましたが、子供が心理的危険状態に陥ると
なぜ叱られているのかや、その時に言われた言葉など
ほとんど理解できないまま、怒られた恐怖やストレスだけが
脳内に強くインプットされていきます。
そのようなコミュニケーションが続けば、子供の発達に大きな影響を与えます。
子供がわがままを言ったり、思い通りにいかずに泣いたり怒ったりした時、
「恐怖での支配」は即効性があるのでついつい使ってしまいたくなります。
そんな時、子供の健全な成長と引き換えにしてまで言いたい言葉なのかどうか、
私たち大人は冷静になって言葉を選ぶべきです。
言葉の力は軽視できません。
自己肯定感の高い子に育ってほしい。
自律する子に育ってほしい。
自分で幸せを見つけられる子に育ってほしい。
親なら誰もがそう願っていることと思います。
時間がかかっても、親の思い通りにいかなくても、
まずは子供の思いを受け止めることが大切です。
受け止めた上で、子供にどうするかを選ばせる。
子供の願いを叶えてあげられない時も、否定しない方法を考える。
もちろん理想通りのコミュニケーションが取れないこともあります。
大人側も、できるだけ心や時間に余裕を持てるような工夫をしていきたいです。
私も親として、日々たくさんの反省があります。
自分の言葉が子供の未来を作るということを肝に銘じて、
心に余裕を持って、子供達と接していきたいです。