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KATSEYE-静かなる発進

Katseyeというアイドルグループを知った。タレント事務所のHYBEがアメリカでオーディションをやって作ったKアイドルグループだ。

かれこれ20年近くK POPを聞いてきたが、KPOPが一つの到達点に来たような感じがして、感慨深く、様々な思いが巡ってきた。へ

プロフィールはこちら↓
https://www.ellegirl.jp/celeb/g62015776/katseye-profile-24-0913/#

顔立ちを見てもらえばわかるように、人種的ルーツにはかなりのバラエティを持たせている。韓国人、フィリピン人、スイス人、インド系、南米系、ハワイ系という具合だ。極めてAmericanである。全員アジア人の BTSとは違う。このグループは、アメリカにKPOPを土着化させようという取り組みだ。

上にリンクを貼った、touchという曲。KPOPらしいリフレインを効かせた中毒性の高い楽曲だ。ダンスはアジアンなダサカワイイ振り付けを入れつつ、やはりアメリカウケをすることを狙って振り付けや表情は抑制している。アメリカでもKPOPを聴く人は増えているとはいえ、やはりKPOPは一つのローカル音楽でしかない。KPOPらしさを忍ばせつつ、主張しすぎない配慮を感じる。この投稿の表題の「静かなる発進」は、この楽曲から感じた私の印象を言語化したものだ。これは静かなKPOPの世界音楽への挑戦なのだ。

KPOPとはなんだったのか

一方で、KPOPとはなんだったのだろうか、という問いも湧き上がってくる。曲を聴いた瞬間に、MVを見た瞬間に、これはKPOPだと一眼でわかる。しかし、KPOPも、韓国のポップスをベースにしながら、トレンド(おそらくは欧米系の)を取り入れながら進化してきた。今回のtouchという曲も、別にKPOPが流行る以前からこのような雰囲気の曲はあっただろうし、KPOPが世界音楽を目指した結果、結局は元のどこかにあった音楽に回収されてしまったような気もする。そこにはうっすらとKPOPの香りがするだけだ。

女性グループに限って話をするが、KPOPの一つの特徴は、エギョ(愛嬌)と呼ばれる可愛さを強くアピールした表情や振り付けだった。それは日本人からすると正直ぶりっ子っぽく感じたり、見てるこっちが恥ずかしくなるような感じだ。ダンスもカッコいいと言えばカッコいいのだが、ちょっとダサさを残している、そんな感じ。それが見慣れると結構ハマる、と言う感じがあった。それは欧米のポップミュージックを参考にしつつ、やはり韓国らしい、良い意味でローカルさを残していだと思う。

あとは、統率が取れシンクロ率の高いダンス、そしてダンスの作り込み。もちろんメンバーのダンスの質の高さも、日本のアイドルとは天と地の差だ。そこから、メンバーがみんな同じダンスを踊るのではなく、少しずつ違う動きをしているのに、グループ全体として見ると滑らかに統率が取れた美しさ。そこにはKPOPの徹底した造り込みと、進化を感じる。少し悪い言い方になるが、KPOPはこれまで世界の音楽界がやらなかったような、やろうともしなかったガールズグループに求めることもしなかった品質の作り込みをしてきた。それがKPOPのクオリティだと思っている。

KPOPはマーケティングを重視している。KPOPは悪い言い方をするとアートではない。もちろん自分らしい音楽を作りたい、という人もいたかもしれないが今話をしているガールズグループは、あくまで売れることを常に考えてきたはずだ。けれども、売れるためどんな音楽が必要か、リサーチし、他の楽曲を参考にし、それを繋ぎ合わせ、売れる音楽を追い求めてきた。それはまさに大衆音楽の王道であり、ハリウッド映画のような誰でも楽しめる、最大公約数的な存在である。リフレインを聞かせた中毒性の高い楽曲も、印象に残って売れるための一つのテクニックだったと思うが、それがKPOPの王道の一つになった。

KPOPは、宗教のようでもある。例えるなら仏教だ。仏教は、布教のために、それぞれの地域の信仰を取り込みながら、それらの世界観に仏教を合わせ、結合させていくことで進行を拡大してきた(例えば日本だと、神様は仏が形を変えて姿を現したものだとされた)。

良い悪いの話ではないのだが、日本がジャニーズとAKBで思考停止している間に、KPOPはマイナーチェンジを繰り返しながら発展してきた。その発展の一つの到達点がKATSEYEなのだろう。

KATSEYEの今後

一方で、touchを聞いた感想として、この曲自体は好きだが、特段彼女たちが才能に溢れているとも、センセーションを巻き起こすとも思ってはいない。そういうワクワク感は今のところない。KPOPらしさを薄めているから大きなインパクトもない。特別歌が上手いわけでもなく、歌唱力が際立つ楽曲でもない。簡単に言うと没個性なのだ。これではアメリカでは他の才能に埋もれてしまうだろう。今後どう彼女たちをプロデュースしていくのか、楽しみだ。アメリカにKPOPが根付くのか、その試金石的な取り組みとしても、期待したい。アメリカ人にアジア的なガーリーなkawaiiが受け入れられるのかも気になるところだ。

たまに欧米の人がKPOPを踊っている動画が流れてくるが、自分は見る気もしないし、アジア人の真似事して面白いのかこの人たちは、と冷めた目で見ている。大方の非アジア人もそのように思うのではないか。しかし、katseyeにはそんな状況を覆すセンセーションを期待している。アメリカ人の女の子たちがみんな彼女たちを真似して踊りたくなるような、そんな存在になってほしいのである。

p.s.
アメリカで可愛いアイドルというとやはりアリアナグランデだろう。久々に聞いたが、やはりスターだなと思った。

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