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ニデック動画紹介 ロボット用減速機

PIVOTからニデックに関する新しい動画が出たので、紹介します。今回はロボットがテーマです。ちょっと宣伝が露骨な気はしましたが、大変面白い内容でした。ぜひ動画を見ていただきたいですが、面白かったところをピックアップして紹介します。

ロボット用減速機への参入

ニデックのロボット用減速機に関する歴史について、ニデックドライブテクノロジー社長の西本さんからのお話がありました。

ニデックが参入した頃は、ロボット用減速機の納期は大手減速機メーカーのいいなりだったという。ロボットメーカーは生産量を増やしたいのに減速機がボトルネックになって、生産量を増やせない状況。そんな中、多くの会社がロボット用減速機に参入したが、みな2〜3年で撤退した。ニデックは「必ずやる」の精神で諦めずに事業を続け、今日に至るという。

ニデックの強みはスピードで、その例として、他社が5年で工場を立ち上げるところを、ニデックは一年半で立ち上げたという。キーエンスから来たという島野社長は、このスピードにはキーエンスにも勝るという。短期間の工場立ち上げが可能な理由の一つは、モーター工場は工場設備の重量が減速機と同じであまり重くないことから、モーター工場を転用することができるらしい。工場を迅速に転用したりラインを変えたりするのはニデックの強みで、動画でも指摘されている通り、現場力があるからこそできることである。

島野社長からは、キーエンスもニデックも、言葉は違えど大切にしている価値観の根っこは一緒だというお話も。これは、言わされてる気がするが...(笑)とはいえ、強い会社はすべからく「すぐやる、必ずやる、できるでやる」なのは事実だと思います。

ニデックドライブテクノロジーの社長島野さんはキーエンス出身。キーエンスの人だってニデックに来るんだぞ!というアピールか。

減速機についてもう一つ興味深いのは、昔4〜5月だった顧客の要求納期は、今や2ヶ月未満になっているという。半在庫持つなどして対応しているのだろうか。驚きであった。

次に、ニデックの顧客へのインタビュー。なんとABB CHINAであった。中国現法とはいえ、ABBに納入しているというのは心強い実績だ。ABBはニデックと競合する相手でもある。そんなABBと取引しているニデック。ニデックはボッシュに対してもモーターを納めており、パートナーの関係にある。こうしたグローバルな大手とニデックは取引してるんですね。

ちなみに、ロボット用減速機はときに(産業用)ロボットのコストの4割をも占めるのだという。なるほどそれはキーパーツやね。

あと、社員さんのインタビューの中で、あと数年でシェアNo. 1を取れるところまで来ていると、心強い言葉が。頑張ってほしい!


軽薄短小が生きる

動画の中では、ニデックの部品が搭載された製品の実例として、コミニケーションロボット、らぼっとが紹介されていた。開発者のインタビューがなかなか面白い。らぼっとには5000点もの部品が使われているのだという。自動車の部品点数が数万点と言われるから、らぼっとはオモチャに見えて精巧な機械だということをしる。

大事なのはここから。部品に高い信頼性が求められるのはロボットだろうが自動車だろうが変わらないが、自動車にはある程度の重量は認められる。しかし、家庭用ロボットとなれば、高い信頼性と部品の小ささをより高い次元で両立することが求められる。ここでニデックの強みである軽薄短小が生きてくるというわけだ。ニデックだけができる技術なのかはわからないが、ロボットというのは軽薄短小がより高く評価される市場なのだと感じた。

高い信頼性を担保しようとすると、部品は大きく重く、そして高価になりがち。ニデックはそこに軽薄短小のソリューションを提供する。


個人的に興味を持ったのは、こんなところでしょうか。動画の受け売りだし、良い事しか言ってないのは承知した上で、ロボット用減速機事業は今後が期待できると感じられる内容でした。

投資の観点から言うと、減速機単体では売上は数百億円、数年でいいところ1000億円くらいの規模感なので、株価へのインパクトはと言われるとあまり大きくはないが、とはいえこれまでハーモニックドライブ、ナブテスコと言ったら企業が独占してきた業界をニデックが切り崩していくのは素晴らしい事です。特に、減速機というモーターと常にセットで使われる基礎部品で競争力が高まるということは、当然それを使って作られる工作機械やプレス機事業とのシナジーも期待できます。

最後に、ちょうど昨日、センサー内蔵型減速機のIRが出ていました。資料だと分かりにくいですが、センサー内蔵型にする事で非常にコンパクトになっているそうです。また減速機は中空になっているので、配線も容易とのこと。地味ですが、まだ競合が持っていない製品です。

P.S.
株価については、この記事を書いてから、一ヶ月半が経ったが、株価は下がる一方、最近年安を更新するなど本当に悲惨な状況。もうニデックのせいにする気にもならない。これについてはまた考察しようと思ってます。

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