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【映画評】「怪獣島の決戦 ゴジラの息子」かわいいミニラを楽しむだけの映画
ゴジラ作品にハマっています。1971年の「ゴジラ対ヘドラ」に続き、ミニラが出てくる「怪獣島の決戦 ゴジラの息子」をアマプラで鑑賞しました。嫁にミニラの動画を見せたら可愛い!と気に入ってくれたので、一緒に見ることにしました。
嫁ちゃんとみた動画↓↓
こちらが映画の予告編。「ゴジラ対ヘドラ」から遡ること4年の1967年の作品。今からおよそ60年前の作品と考えると、感慨深いものがあります。自分の父親が小学生の頃の作品か...予告編ではミニラに吹き出しがついているのがちょっと面白いですね(本編ではもちろん有りません)。
あらすじ
南方の島ゾルゲル島で、国連食糧計画機構の研究チームが秘密の気象コントロール実験を行っていた。将来予想される食糧問題に備えるためである。しかし、島の中央から放たれる妨害電波によって、気象コントロール実験は失敗。実験によって放出された放射能によって島に生息していた大カマキリが怪獣カマキラスへ変貌するなど、島に異変が起きてしまう。
実は島の中央部から妨害電波を送っていたのは、ミニラの卵であった。大カマキリに掘り起こされた卵は、殻を破られ、ミニラが誕生する。大カマキリがミニラを襲う。生まれたばかりのミニラにはなす術もない。危うしミニラ。しかし、そこにミニラのテレパシーをキャッチしたゴジラが表れ、ゴジラと大カマキリの戦いが始まった!
戦いの後、ゴジラはミニラを引き取り育てることになる。サエコという島に住む女性が出てきて、一応ラブライン的なものもあるが、見どころというほどでもない。最近のゴジラは必ず社会的メッセージを持っているが、本作では皆無。そういうのを期待する人には「見応えゼロ」のエンタメである。何なら人間ドラマすら皆無。本作は、ゴジラとミニラの掛け合いを楽しむだけの作品。ミニラは可愛いものの、作品の主線がないので「これいつまで続くんだ」と少々飽きてしまった。
とはいえ、今のCG作品を見ている自分でも、当時の特撮は十分に楽しめる。岩が落ちてくるシーンだけは、どうしても重量感がなく軽石が落ちてくるようなリアリティの無さを感じてしまったが、それ以外は感心するところが多い。
終戦後12年後の作品で、劇中にはどこか戦争の記憶を彷彿とさせるシーンも。研究チームの隊員たちは、島から脱出できない生活が続き、気が狂ってしまう者も現れる。高熱に襲われ、洞窟の中で気が狂って発砲する場面は、南方戦線や沖縄戦を連想させます。サエコの父親は南方に移住したまま戦後帰還しなかった日本人考古学者という設定。研究チームは国際機関に所属しているからか、打ち合わせを「ミーティング」といったり、思いのほか外来語が出てくるというか、そのあたりが新鮮でした。
↓以下、Youtubeの予告編より切り取って紹介
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ところで、サエコは日本人女性の設定だが、鼻が高く、どこか日本人離れした感じも。調べてみると、女優の前田美波里(ビバリ)さんは、1948年生まれの、アメリカ人の父親と、日本人の母親に生まれたハーフの人であった(納得)。
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ネットに若い頃の写真があまり落ちていなかったのだが、とても美しい人である。そして、75歳で存命であり、オスカープロモーションに所属して、いまだに現役の舞台女優である。さすが人生100年時代や。
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まとめ
本作品はミニラの可愛さとゴジラの父親愛を楽しむだけの作品。Wikipediaによれば、当時の怪獣ブームに乗っかる形でミニラを登場させたものの、興業的には振るわなかったそう。しかし現代から振り返れば、ミニラの登場によってゴジラの歴史に豊かさをもたらした作品だったと言えよう。必ずしも社会派なメッセージが必要とは思わないが、ヒューマンドラマが一切ないと、あまり面白くないですね。登場人物を深堀する描写は皆無といってよいです。続編である「怪獣総進撃」は見てみようと思います。