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【投資素描】黒田精工<電動化に期待高まるもバランスの良いポートフォリオが足枷>

 本日はモーターコアに強みを持つ、黒田精工をご紹介。1カ月ほど前に本決算が出ていたので、それを見ていきます。事業がシンプルといこともあるでしょうが、決算の資料は大変にわかりやすかったです。時価総額は80億円弱で、日々の出来高も1000万円未満とかなりの小型株であることに注意です。
 まずはチャートを見てみます。6月7日引け値が1346円でした。2021~2022年にかけて上昇し、その後大きく下落するという典型的なEVバブル銘柄のチャートです。

 日足で直近6カ月の動きを見てみます。24年2月に(おそらく2/13の23年度3Q決算)を受けて大きく上昇。しかし、5月の24年度1Q決算でのドイツ子会社のれん減損を受けて、再び下落に転じています。25日、50日線に頭を押さえられており、あまりいい形ではありません。

 本銘柄に注目する理由は、同社がモーターの(中核部品であるモーターコアや、金型に強みがあるからです。今後HV/PHEVを含む電動化は世界的に進んでいくと思われるため、同社もその恩恵を受ける可能性が高いです。

金型事業の比重は思ったより大きくはない

 次に、23年度決算説明資料をみながら、事業にを見ていきます。黒田精工の事業は「金型事業」「駆動システム事業」「機工計測システム事業」の3つがありますが、割合のバランスが良く、強みである金型事業の比率は思ったより高くありませんでした。凡そ、4:4:2というバランスです。

23年度決算より抜粋

 金型事業と同程度の割合を占める駆動システム事業ですが、主力製品は、ボールねじやリニアアクチュエータになります。この分野ではTHK、日本トムソン、日本精工など大手の競合がおり、個人的には同社が特別な強みを持っているとは思えません。私はこの手の部品を買う仕事をしていたことがありますが、黒田精工から買ったことはありませんでした(業界が違っただけかもしれませんが)。日本では特殊用途に特化しているのかな、と勝手な印象を持っております。同社はドイツにも拠点を持っていますが、この手の部品は韓国勢や台湾勢も手掛けており、先々明るい事業ではないと思っています。

中期経営計画VISION2025より抜粋

セグメント別利益を見てみると、金型事業は9%超えの利益を出しているものの、ほかの2つは一過性といえども、赤字です。

 来期見通しですが、駆動システムは半導体製造装置の需要回復を見込んで方向としては上。一方で半導体製造装置のウェイトが大きいことが示唆されます。また、ドイツ子会社の状況もあまりよくなさそう。
 機工計測も方向としては上ですが、あまり確信はなさそう。
 金型システムは、かなり強気な印象です。

モーターコアは工場能力を2.5倍に拡張

 2024/1/10のリリースではモーターコアの生産能力を23年比で25年までに2.5倍にするとのこと。かなり大きな需要を見込んでいることがわかります。現在売上が180億円のうち、80億が金型事業なので、単純にモーターコアの貢献が40億とすると、+60億程度の売上貢献になりそうです。180→240億円で+30%の成長なので、株価も基本的には上と考えてよさそうです。

 配当も2.8%とさほど悪くはないので、そんなに悪くない投資かなという印象はあります。時価総額が小さいので、需給がよくなると急騰する傾向がありますが、逆に大きく下げるので、少し長い期間を見て投資することが必要と感じます(長く持っていれば急騰のチャンスがありそう)。あとは、主要取引先がホンダ?のようで、ホンダの動向に注意が必要でしょう、ホンダはガソリン車廃止を掲げ、EVシフトに相当力を入れています。それが功を奏せば、黒田精工にも大きな恩恵があるでしょう。
 
 あとは、競合の状況ですが、金型、モーターコア事業だけみると、三井ハイテック、ニッパツ、内製組ではニデックがあります。利益率を見る限り、黒田精工の金型事業はかなり強みがあるように見受けます。
 一方、その他の事業は利益率が低く、単純に需要の問題というより、競合に対してあまり強みがないようにも見えます。AI関連で半導体需要は高いにもかかわらず、あまり波に乗れていないのも気になります。

 今回は、黒田精工の23年度本決算を見ていきましたが、大変わかりやすく、過去の中計Vison25やその前の決算資料もしっかり読み込んでみたいなと思います。企業分析の勉強にはもってこいの銘柄だと感じました。

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