モロッコと私
モロッコとは、大西洋と地中海に面した北アフリカの国。
近頃では、かつてのタイソンを彷彿させる『耳噛みつき」で失格になったモロッコ代表のボクシング選手で話題にもなった。
私は、訪れたことはいまだない。
なぜ、モロッコのことを思ったか。
それは今目の前にある料理の食材からだ。
そう、それは、『モロッコインゲン』
モロッコインゲンはヒラサヤインゲンの一種。
さやが幅広く平らなヒラサヤインゲンの一種で、タキイ種苗が商標登録している品種の商標名です。
一年に3度も収穫できるところから「三度豆」とも呼ばれています。
スジが少なくてやわらかく、甘味があります。
炒め物や天ぷら、和え物などさまざまな料理に使えます。
モロッコ生まれの野菜だと思っていた。
ところが原産国は中南米ということらしく、それではなぜモロッコという名前がついたのだろう。
その理由は、タキイ種苗が、当時流行っていたモロッコを舞台にした映画『カサブランカ』にちなみ、商標登録を行ったためらしい。
モロッコの首都はラバトであるが、最大の都市はカサブランカだ。
ん?何もモロッコとモロッコインゲンには地理的な関係はないではないか。
これまでモロッコインゲンを口にするたび、私は未踏の地、モロッコ王国へと想いを馳せていたのに、まったく関係がなかったとは。
ふと思い出した。
高校生の頃履いていたアディダスのベルクロのベルトが3本のついたシューズ。
タグに「メイドイン モロッコ」と記されていた。
当時もかなり特殊に感じた。他のスニーカーなどは、当時は韓国製が多かった。
そしてコンバースのオールスターはアメリカ製だった。
アディダスの名作スタンスミスは、フランスで作られていた歴史がある。
そして、おそらくモロッコは、かつての宗主国フランスからの流れで生産国になったのではなかろうか。
つまり、そうすると私がこれまででモロッコを1番近くに感じていたのは、モロッコインゲンを食していた時ではなく、高校時代であったわけだ。
日夜、足元から私の身を守ってくれていたのだモロッコが、
私はモロッコを肌で感じながら登校していたことになる。
過去の記憶が蘇りながら私はまだ見ぬ国、モロッコへと想いを馳せた。
おしまい