まずは一息つこう
谷原章介さんがサッカー日本代表監督の森保さんに花束を贈る際の言葉が物議を醸しています。
確かに問題視しようと思えば、看過出来る発言ではないのかもしれません。
とはいえ、『問題である』という絶対的な視点からみると、番組を視聴されていたならともかくですがそうでは無い場合、その現場で文脈上存在するポイントを見逃してしまう可能性があります。
その場における文脈を完全に理解しないなかで、SNSがある方の発言を断片的に発信していわゆる炎上という状態を招く。
これまでに数知れず見聞きした現象です。
そんな世の中の現状であるからか、お笑いやラジオのパーソナリティなどからも『コンプライアンス』という言葉が頻繁に聴こえるようになって参りましたし、よってその一線を越えないようにと慎重になる言動が増えてきているように感じます。
この問題でちょっと気になるのは、谷原さんの発言を批判する発信自体は、Twitterのなかにはさほど多くないという意見です。
実際に私自身が確認したわけでもないですし、一体幾つの投稿であれば多いといえるのか、はたまた少ないといえるのか、ということも定かではありません。
しかしながら問題だと思えることは、『さほどの実数が存在しない投稿である』という事実が世論の割合だと仮定した時に、上記の報道記事のようにYahooやスポーツ紙などといった影響力のあるメディアがその出来事を取り上げることによって、世論の心情を操作するように、そして結果的に炎上させるような状況を作り上げているという事実です。
このように炎上するような根拠自体が存在しないのにも関わらず、別のメディアなどが取り上げることによって炎上する現象を『非実在型炎上』というようです。
イーロンマスクのTwitter買収に関連して、興味深い意見だと思えることに『SNSを社会と切り離す』ということがあります。
現在では、SNSが『社会的』かつ『公式』な発言をするシステムとなり、それゆえにこの場にそぐわないと考えられるような意見は消され、さらにはその発言を行った人自体も社会から追い出されてしまう状況が起こってしまっています。
そのようにSNSが絶大な権力となりうる流れに大手メディアが加担しているという構図が、今回の報道によっても垣間見られます。
改革は、この状況へメスを入れるということです。
発現内容についての意見についてもデリケートなことであり、慎重にならざるを得ないことは確かなのですが、その事柄をメディアがいかに報道するか自体が、もっといえば報道の仕方でどのような未来が訪れるのか、その想像力が問われる、そんな出来事であったと思います。
おしまい