ジェイソンが出てくる夢の話(ホラー)

初めて見た夢

 気付けば私は家にいた。
 よく見かけるような、玄関を入って廊下をまっすぐ歩いた先にリビングへ続く扉がある。だから、後ろにも前にも扉がある、そんな場所なんだけど、それが廊下じゃなくてキッチンなんだ。
 左側にシンクや収納棚が並んでる。奥側にレンジフードがあったと思うが、冷蔵庫だったようにも思う。右は壁になっていて、廊下にキッチンが設置されている、という説明がぴったりな細長い形。
 奥に扉があって、それは外とつながっている。ごみを出すときに利用する勝手口みたいなところ。外とつながっているのに、リビングの扉に使われているような、木枠にすりガラスがはまっているような扉。
 この場所、知らない。私の知らないキッチン。なのに、私はそのキッチンにいるのは当たり前だと思っている。

 場所を説明したから、話に戻ろう。
 私はキッチンでゴミをまとめて、外に捨てに行こうとしていた。
 だけどその時、何か違和感を覚えた。
 いつもなら何も考えずに奥の扉を開けて外に行くんだけど、扉に近づくのが怖いな、と思った。いやな空気だった。何か、外にいる気がした。
「!!」
 いきなり扉に人影が写る。
 あまりにも驚き過ぎて、そして恐怖で声が出ない。
 本能で危険だと感じた私は逃げようとするけど、頭では早く逃げないといけないと理解できているのに、足が動かない。
 この頭と体がつながってない感じにもモヤモヤする。
 人影は、扉を開けようとノブをガチャガチャ…はしません、鍵がかかっていなかったから、ゆっくりと扉を開ける。
 ようやく逃げの第一歩、足を動かせた私は必至でその場から後ろの扉を開けて逃げようとする、するんだけど、
 な ぜ か 動 き が ゆ っ く り に な る の ・・・・・・。
 そして、扉から入ってきたジェイソンに、鉈で…………

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2回目に見た夢

 気づけば私は家にいた。
 よく見かけるような、玄関を入って廊下をまっすぐ歩いた先にリビングへ続く扉がある。そんな雰囲気を持つ、だけど廊下ではなくここはキッチン。
 この場所、知らない。私の知らないキッチン。なのに、私はこのキッチンを知っている。そんな気がする。

 私はキッチンでゴミをまとめて、外に捨てに行こうとしていた。
 だけどその時、何か違和感を覚えた。
 扉に近づくのが怖いな、と思った。いやな空気だった。なぜかわからないけど、私はこの感覚を知っている気がする。このままだと嫌なことが起こる気がする。
 そこで私は、なぜかわからないけど扉の鍵を急いで閉めた。
 そして、その場所にいてはいけない気がしたから、外へ続く扉を注視しつつ、自分の後ろにある扉から逃げようとした。
「!!」
 いきなり扉に人影が写る。
(え…? 私、この光景見たことある気がする…?)
 人影に驚いたのは驚いたが、前ほどの驚きがない気がする。
(前ほど? って、私は何と比べてるんだろう)
 不思議に思いながらも、その場所から逃げるために足を動かす。
 後ろの扉から出ると、そこは廊下。おそらくどこかに玄関もあるはずだが、私が逃げるために選んだのは階段。急いで階段を駆け上がり、二階へ逃げる。
 その間、鍵のかかった扉を鉈で壊して入ってきたのだろう、ジェイソンが追いかけてくる。
 前よりも逃げることができているが、そう、
 な ぜ か 動 き が ゆ っ く り に な る の ・・・・・・。
 急いでいるはずの私を、ゆっくり歩いているようなジェイソンが徐々に距離を詰めてきて、その距離がなくなった頃、鉈で…………

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最後に見た夢

 気づけば私は家にいた。
 よく見かけるような、玄関を入って廊下をまっすぐ歩いた先にリビングへ続く扉がある。そんな雰囲気を持つ、だけど廊下ではなくここはキッチン。
 ここは、私の知らないキッチン。だけど、私はこのキッチンを知っている。そして、これから起こることも。

 キッチンでゴミなんかまとめない。
 私は真っ先に扉の鍵を閉める。
 そして、あいつが来る前に、後ろの扉からそっと逃げることにした。
 私はおそらく玄関から外に出たんだと思うし、あいつはあの扉を壊して中に入ってきたんだと思う。
 ただ、この時の記憶はもう失われていて、思い出すことはなかった。
 逃げ続ける私は、森の中にいた。森の中を必死で走って逃げている。
 しばらくすると、外に逃げたことに気付いたのだろう、ジェイソンが森の中へ追いかけてきた。
 普通に考えればもう逃げきれてもいいはずの距離を走って逃げていた。
 ジェイソンはゆっくりと歩くように追いかけてくる。
 私は必至で走って逃げている。
 ゆっくりと歩くジェイソンの姿が徐々にはっきり見えてくる。
 私は必至で走って逃げている。
 ゆっくり歩いているはずのジェイソンがすぐそこまで迫っている。
 私は必至で走って逃げている。
 ジェイソンは走ってもいないし、ゆっくり歩いているだけなのに、もう後ろにいる……。
 な ぜ 逃 げ き れ な い の ・・・・・・
 追い付いたジェイソンは、疲れ果てて木に座り込んだ私を、鉈で…………

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あとがき

 さて、このお話は、たしか?小学生の頃に?見た3部作のような夢です。
 当時の私にとってはホラーすぎて、なかなか忘れられないインパクトのある夢となりました。
 とはいっても昔の夢、細かいところは実際に見た夢と少し違っているかもしれないし、記憶改ざんしてるかもしれない。雰囲気は覚えてるけど、文章化するにあたってその雰囲気を説明できない、と端折ったりもしています。
 この夢を見た当時は、なんで同じような夢を見たんだろう、内容も怖かったよぅ、と心臓バクバクで目が覚めたりしましたが、大人になって様々な経験を経て感じたこと。
 内容はともかく、システムがサウンドノベルじゃん、ということ。
 かまいたちの夜をプレイした後、ふとこの夢を思い出したときに思った次第です。
 だから、初めて見る場所なのになぜか見覚えがある気がしてたんですね。
 そう、私は物語の主人公であると同時に、ゲームプレーヤーだったのです。
 これ以降はジェイソンが出る夢を見てないけど、一番怖いのは、私はジェイソンという存在を知らなかったはずなこと。本当は違う存在だったのに、夢を思い出す過程で勝手にジェイソンに変換してしまったのかもしれない。
 終わり。

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