気まずい夕食と核実験
さて明日。友人の朝鮮総聯関係者と焼き肉を食べる。中央大会が東京の十条であるので、その帰りに。
まぁ別に総聯関係者といっても何かものものしい話をするのではなく、お互いの趣味である北朝鮮の音楽についての話がほとんどである。「あのよー、最近北朝鮮の音楽、新しいの全然出てこないじゃねえか。サボってるでしょ!本国に伝えろよ、新しい曲作れと!」とぼくが悪態をつき「そんなこと言われても知らんわ!」と在日コリアンの友人が返す流れになる。
中央大会といっても政治的な集まりではなく、4月15日の金日成主席の生誕110年、太陽節を祝うのがほとんどの目的で、芸術公演に多くの時間が割かれるという。「芸術公演だけ来賓で呼んでよ!」というと「在日限定で日本人はダメなんですよねぇ」と友人は返し「それって在日特権じゃねえか!」とぼくがいうとえへへっと笑うのである。
ICBM発射、SLBM発射、核実験の懸念。「国防科学発展および兵器システム開発5カ年計画」に沿って動いていくことを北朝鮮も認めており、もしかすると明日行われてもおかしくないし、実際明日行われる可能性は高いとぼくはみている。
焼肉屋のテレビで流れる核実験のニュース。いや、これかなり重苦しい雰囲気になる。経験上ぼくは知っている。
以前、金正恩氏のおじである張成沢氏が粛清された時、ぼくは在日コリアンふたりと和気あいあいとホルモンを食べていた。
第一報、夜7時のニュースで粛清か?と一報が流れた時、場の空気は凍った。え?とぼくは耳を疑い、ふたりははっと後ろにあるテレビの方に向いた。その顔がもう怖かった。完全に組織の人間の表情だったのだ。
次のニュースになるとこちらに向き直り「いやいや、これはないない」「また国家情報院経由のフェイクニュースですよ」などとふたりは笑顔でいうのだけど、その笑顔が引きつっている。
時間ごとのニュースで伝えられる粛清のニュース。その度にふり返るふたり。重くなる空気。食べられず燃えるホルモン。
後日、粛清は事実であったことは周知のとおり。後日、ふたりのうちのひとりとはしばらくして別の席で会ったが、会話はぎこちなかった。ふたりが見せた組織の人間の表情を思い出してしまってことばが詰まった。
今はそのふたりとも組織とは距離を置き、すっかり表情も柔らかくなっている。ぼくも普通に話すことが出来る。
明日の夕食の時間が、楽しみでもあり、また少し憂鬱である。
■ 北のHow to その142
在日コリアンの友人とは、ディープでアホな話しかしていないのですが、たまにこういうことがあると、緊張します。本国の動きが日本でのバッシングにもつながるので、彼らにとっても他人事ではないのです。
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サポートいただけたら、また現地に行って面白い小ネタを拾ってこようと思います。よろしくお願いいたします。