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影武者奇譚と飛翔体
実は既に指導者は亡くなっていて、影武者を立て北朝鮮が動いていたとしたら。
想像するのは勝手で、また面白いことは否定しない。ぼくも個人的にはそういう話は大好きだ。だがそれが現実と考えるのはまた別問題。
確かに金正恩総書記の姿には驚いた。やせて肌の色も黒い。
そこで当初のような想像が膨らむ。金正恩総書記の健康問題。既に影響力を失ったトップと、権力を狙う腹心の部下たち。
影武者論はワイドショーで繰り広げられる床屋談義としては、確かに面白い。韓流ドラマとしても傑作になりそうだ。だがいざ現実になったとしたら暗澹たる想いが勝る。
仮にシン・北朝鮮と名付けるが、その国は民主的で、核が無くなって、拉致被害者が全員帰って来る。つまり、日朝間に横たわる問題はなし崩し的に雲散霧消し、密月とまではいわないけれど、国交正常化は無理としてもそれなりに良好な関係が築けるとしたら、余りに楽観的に過ぎるといわざるを得ない。
今より事態は混迷を深めるし、コネクションがない。シン・北朝鮮はあらゆる交渉の場所でこういうだろう。「それは前政権での話であって、現政権である我らの知り得るところではありません」と。もはや、北朝鮮にとって、日本は相手にならない。国交正常化と賠償金のあてを外しても、それ以外の国との交渉が先決だろう。得るものがないのだ。
ぼく個人の見解としては、影武者などいない。父親である金正日総書記にも影武者がいたという話があった。金正日総書記が亡くなったのは、2011年12月のこと。あり得ないタイミングだった。
2012年を北朝鮮は強盛大国の大門を開く一年としていた。金日成主席の生誕100年。特別な一年であった。金正日総書記の健康問題は表面化し、金正恩総書記も表舞台に出ていたが、まだ時間は経っていなかった。
その死は唐突だった。ぼく個人としては、強盛大門を開く一年をふたりで迎え、徐々に権力を移譲していく。そう見ていた。
影武者がもしいたのなら、あのタイミングでの死去発表はない。何とか誤魔化しきって、2012年を凌ぎそれからとなるはずだ。
そして結果どうなったか。約10年の時間が過ぎたが北朝鮮は変わらず存在している。世襲、ということばを彼らは嫌うのでここでは使わないが、今も金正恩体制は続いている。
批判はともかく、この厳然たる事実を認めるところから始めないといけない。床屋談義の楽観論の方には、残念ながら進まない。
ところで本日発射された飛翔体は日本海に着弾していたらしい。菅政権の終わりが見え、衆院選挙前の政権空白を見事に突かれた。北朝鮮という国は思っている以上にタフで、また組しにくい相手だ。
■ 北のHow to その127
金正日総書記影武者説。複数名いて中には女性もいたなどという荒唐無稽な話もありました。
当然現地で「影武者いるのですか」などと聞いてはいけません。
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