金ジュエちゃんは、金主愛ちゃんなのだろうか。
金正恩総書記の娘である金ジュエ氏の露出が増している。「尊敬するお子様」という尊称もついて。二番目の娘とされているが、長女と弟である長男の存在が気になる。なぜ、次女であるジュエ氏なのか。
金正恩氏が表舞台に出始めた時も金正雲、金正運、金正銀という漢字名が推測され、のちに北側から金正恩ですという回答があった。朝鮮語でややこしいのはウンがふたつあること。운と은で微妙に発音が違う。
ジュエという名前を聞いた時に自分の脳内で浮かんだ漢字は「主愛」だった。母親の李雪主氏の主に愛。筋は通っているかなと思ったが、どうもこれだとキリスト教色が強い気がしてならない。一部韓国紙では金主愛の表記を使っている。特にこれに対して北側のアクションは今のところない。
北朝鮮では信教の自由が保障されているが実際は違うと考えるのが自然だ。トップの指導者以外を崇めるというのは余りよろしくない。事実、韓国のキリスト教系の団体の人間が地下教会というかたちで浸透し、摘発されていたこともある。現地でロシア正教の建物を見たが、あくまで外国人向けのものだろう。寺も見たが専任のお坊さんのような雰囲気はなかった。
金正恩総書記自身も海外に留学経験がある。NBAが大好きで、デニス・ロッドマンを読んだこともあるし西欧文化への理解は深いと推測される(非公式の情報だが来日経験もあるらしい)。第四世代の金主愛氏もそのあたりの知識や触れる機会はあることが推測される。
10代前半の彼女がなぜここまで露出が多いのか。理由はわからない。金正恩総書記の健康問題を主な原因として、後継者問題を急ぐ必要があるのか。それとも白頭の血統での支配が今後続くことを宣言したのか。
正直分からない。金日成氏→金正日氏の時は後継体制作りに時間をかけた。かけることが出来た。父親の健康不安説→死去と時間のなかった時の金正恩氏の時と違い今回は時間がかけられる。
権力の奪い合い、韓国ドラマの王朝劇のようなシナリオが推測される時はあるが、唯一領導体系という北独特の考えがある。在日朝鮮人の友人に言わせると「シンプルに考えれば、金日成主席、金正日総書記、金正恩総書記以外はみんないっしょ。横並び」というのが唯一指導体系だという。
この体制が既に70余年、3代続いている。考えられないかも知れないが、その事実は認めなければいけない。これまで続いた70余年と実績と経験で老獪で、また緻密な方法で長い時間をかけてネクスト金正恩の時代は構築されていくだろう。今回の金ジュエ氏の登場はあくまでその演出のひとつであって回答ではない。
なお在日朝鮮人の友人によると金主愛氏に関しての学習は未だ開始されていないという。
■ 北のHow to その159
最高尊厳について触れる時は慎重に。現地の案内員に気軽に「ジュエさんってどう?」と聞くと大変なことになります。一気に空気は緊張します。余り触れない、触れるのであれば慎重にいきたいところです。