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相次ぐ北朝鮮のミサイル発射について

「北朝鮮がミサイルを撃ち続けている!なぜ?」とLINEのメッセージが朝から何本も来ていて困っている。

 そもそも北朝鮮は航空兵力が非常に弱い。第4世代戦闘機としてMig-29を持ってはいるがその数は少なく機体の状態が不明。ちゃんと整備できているかが不安(これは自衛隊も同様に深刻で、機体から部品を外して使いまわす、いわゆるカニバリゼーションの状態になっているという)。これをもってF-35などをはじめとする最新鋭のステルス機と対峙するのは難しい。

 さらに訓練。太平洋戦争の敗因のひとつに、ベテランパイロットの疲弊と戦死があげられる。優秀で経験のあるパイロットはそう簡単に育たない。練度の差はそのまま航空兵力の差になる。燃料不足が深刻な北朝鮮でちゃんと訓練が出来ているのかという疑問がある。機体の差に加えてパイロットの技量の差は大きい。

 さらにいうなら北朝鮮は早期警戒管制機、イージス艦を持たない。総合的な防空能力は圧倒的に米韓に劣っている。

 そのうえで北の立場で考えてみよう。現在行われている米韓合同軍事演習はそのまま実戦になる恐れが常にあり、これに相当神経を擦り減らしている。戦闘機は常時戦闘態勢。警戒飛行、スクランブル発進などで貴重な燃料を使う。厳しい。でも沈黙というわけにもいかない。だから対抗措置としてミサイルを撃っているのでは?という推測をしている。

 かつて金正恩総書記が後継者として認識されつつあったころ。2010年に延坪島砲撃事件、天安艦沈没事件が相次いであった。陸戦と海戦なら北朝鮮にも勝ち目がある。しかし決して航空戦まで繋がりはしなかった。ぼくはその一報を聞いて「(北朝鮮の)ミグは飛んでいるか?」と返した覚えがある。

 航空戦になったら北朝鮮に勝ち目はない。全土の要塞化ということばのもと、北朝鮮は軍需工場や基地の地下化をかつてより進めているが、これは制空権をとられて(Mig-15による反撃はしたが)相当苦戦した朝鮮戦争を教訓としている。もっというなら、北朝鮮は制空権と航空戦については現段階で諦めているとさえいえる。航空兵力で対抗するのではなく、核と弾道ミサイルを抑止力として持つことで対抗するという考えに至るのはむしろ自然といえる。

 さて、局地戦が全面戦争につながることはこれまで多々あったが、北朝鮮情勢については航空戦が始まったら全面戦争に繋がる危険性がかなり高い。勝ち目がない、負けっぱなしの状態は北朝鮮の自尊心からしたらたまらないからだ。

 ここまで長かったでしょ。これをLINEで返すのが面倒だから、無視している。

 ただし現段階で北朝鮮は核実験というカードは未だ切っていない。ここにまだ若干の希望がある。合同軍事演習が終わり、北朝鮮もミサイルの発射を抑え、一度会ってみる?というような交渉局面にとまではいかないと思うけれど。

■ 北のHow to その156
 情勢が悪化すると地味に影響が出ているのが朝鮮学校や朝鮮総連の地方支部への抗議、街宣活動。在日朝鮮人の友人によると学校も支部も住宅街の中にあることが多く、近隣住民への迷惑も気になっているとのこと。ヘイトスピーチや暴力も発生しているようで、友人も頭を抱えていました。

 

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北岡 裕
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