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バイト先の先輩の腕にグッときて、衝動的に書いた話。

 彼女の腰に交差させた腕は私をいたたまれなくさせた。小さな胴体のユニフォームから生える、白くふくよかな腕である。
 彼女の交差する腕は腰にすっぽり嵌っている。胸の大きな女性は前に重心がいくので、必然的に胸を反らせる。背筋が良いように見える。おそらくその行為はすっかり癖になっていて無意識に行われている。眠たい授業中に重たい頭を支えるべく頬杖をついてしまう時のように、身体のバランスを保っているのだと思われた。
 彼女は他人よりふくよかに見える。ただそれは彼女の低身長によるものかもしれない。裸体を見たことはもちろんないが、顔や腕の肉のつき具合を見るに、痩せているとは言い難い。しかし彼女の肉は彼女自身をより魅力的にさせている。もし彼女がダイエットでもしてしまっては、現在保有する魅力的な代物を手放す結果となり、私が彼女に想う気持ちも過去のものとなってしまうだろう。
 私は胸の大きな女性及びふくよかな女性は嗜好の対象ではなかった。華奢で胸の小さめの可愛らしい女の子が好みである。それ故、彼女をこれほど魅力的に感じたことは、前代未聞の事態であった。
 彼女に対し、少し好意を持っていたことは、白状しておこう。いわば街で通りすがる女性に対するその場限りのそれ以上成長することのない好意である。
 この好意がこの腕の輝きによって階段を上ったのである。私はその腕から目が離せなかった。そのまま写真か像におさめて、部屋の棚に飾りたいと思ったほどである。
 私は腕から卑猥な妄想は一切しなかった。リビドーによって脚や尻からいやらしいものを切り取る悪習をするのではなく、まるで近所の美術館で有名ではない画家の最高傑作を見るかのような目でそれを見物した。
 この芸術品は数分でとかれてしまった。夢から覚めるように私も現実へと戻った。
 この出来事は私の将来に少なからず影響を及ぼすと思われるので、ここに記述する。

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