新型コロナの日本製造業へのインパクト
新型コロナの状況が日々刻刻と変わっている。
現在、主に観光業やイベント関連の業界などの苦境が取りざたされているが、なかなか先の見えない状況が続いている。
そのようななか、現時点での製造業へのインパクトを整理したい。
■サプライチェーン
少し前までの最大の懸念点はサプライチェーンだった。
中国はすでに世界の工場となっており、日本ももはや部品も含めた中国製品なくして成り立たない状況になっているためだ。
しかし、中国が一気にコロナが収束ムードとなってきたことをうけて、中国の生産体制はここにきて労働力も含めてにわかに戻ってきているようだ。
■物流への影響
その一方、気がかりなのが流通となっている。中韓からの入国禁止を受けて、日中韓の航空便が激減。それによって、空輸に大きな影響がでてきている。
船便であれば問題なく、今の情勢であれば3月末になれば問題は解消されるだろうが、足元で足りない部品等があれば、2週間ほど空いてしまう可能性がある。
■日本は小康状態だが、、
日本の新型コロナの感染者数は、それほど変わっていない。
抑え込めているが、根絶できていない。
そうすると、テレワークや展示会など作業効率を落とした経済活動を継続すべきかどうか、現時点では不透明だ。今週、発表がある予定になっているが、現状と通常モードとの中間的な路線になるのではないか。
そして、ここ数日は欧州周辺からの帰国者の感染が増えている。欧州は、入出国規制に発展する可能性が高まっているといえるだろう。
■欧米での新型コロナのパンデミックと未曽有の景気後退リスク
欧州・特にEUは試練の時を迎えているが、まず、経済活動停止に伴う需要低下が懸念される。次に心配なのは南欧の大きな収入源が観光業であることだ。スペインなどもともと金銭的に厳しい国が、主力の観光業を失いどこまで耐えられるのか。
南欧のデフォルトリスクが一気に上がる可能性があり、EUにとっては大きな混乱をきたす可能性が強まっているといえる。
アメリカは、そもそも検査数が少なすぎる、と考えるべきだ。
著名人が感染しはじめていることから、少なくとも発表の10倍以上の感染者数がいると想像できる。そうすると、もしかするとすでにドイツやフランス、もしくはそれ以上のレベルで感染者数がいる可能性もあり、すでに中途半端な対応では制御不可能なレベルに達している可能性が高いのではないだろうか。
アメリカの株価は特にトランプ政権以降膨張しているが、一番怖いのは、リーマンショックの時のサブプライムローンのように、様々な金融商品のデフォルトリスクが急上昇している、と考えられ、そのインパクトは2重の意味で、リーマンショックを超える世界を揺るがす金融危機を引き起こす可能性が推測される。
日本でも80代の感染者の20%ほどが死に至っており、年齢次第では(ただでさえ医療費がべらぼうい高いうえ、アメリカ人は半数ほどしか保険に入っていない)保険に入っていないからと放置できるものではないだろう。
経済活動が不安定となり、高額の医療費を支払うことで経済的に追い詰められる人は一気に増えることが想像できる。
そのようなことが、向こう1か月でかなり表面化されてくるだろう。
■まとめ
以上を整理すると、「作れない」というリスクは、ある程度出口が見えてきている。
国内も落ち着いてきており、内需で完結する製品については落ち着いてくるのではないだろうか。
しかし、欧米をする景気後退については、未曽有のリスクを内包しており、「単純な需要減」は確定的だが、それだけにとどまらず、世界情勢を大きく揺るがすほどの影響が出てくるのではないだろうか。
具体的には、欧米を発端とする倒産連鎖、為替等への影響、EU崩壊リスクなどだが、まだメーカーサイドでは備えようがないところだ。
しかし、海外販売比率が高い企業は、「それほどの事態が待っている可能性が高まっている」いうことは、頭に入れておいたほうが良いかもしれない。
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