𝑩𝑰𝑮 𝑽𝑬𝑵𝑼𝑺、それはジャニーズイズムを継承せし者たちの物語──

前日ABC座2024大金星(BIG VENUS)ー時代(とき)を超えー(通称えび座、以下えび座とする)を観劇した。
ジャニーズの舞台を2010年代からぽつぽつと見るようになり、青春時代はジャニーズにどっぷり浸っていた身として、昨今のジャニーズ(ずっとこの呼称で行く、なぜならスタエンの話でなく私はジャニーズの話をしているから)の状況は思わしくない。
戻らない輝かしい過去を渇望する、そんな生活を続けていたとき｢A.B.C-Zがでかいメロンの横でデカメロン伝説を歌うよ！｣というバカの見る夢のようなツイートを目撃した。

は？

｢でかいメロンの横でデカメロン伝説を歌う？？？？？？？？？｣

デカメロン伝説とは｢ワカチコ！｣という錦織一清の発した謎の言葉が耳に残る、ジャニーズきってのトンチキソングである。今はなき少年隊の置き土産と言ってもいいかもしれない。
かのツイートによりえび座に猛烈に興味を示した私は、チケットを得て観劇するに至った。今回はこのえび座について感想と、ジャニーズ老人会に片足を突っ込むヲタクとしての思いを綴っていく。

ジャニーズの舞台の主題の多くは｢夢、希望、平和、愛｣、このいずれか、もしくはこれらすべてと言える。これはジャニー喜多川の思想が強く根付いた故と私は考えている。平和がないとエンターテインメントは作れない。ジャニーズ舞台において、この考え方は大前提とされている。
今回のえび座は、この思想が真っ直ぐ中心に立っているような舞台であった。その主題を受け取ったとき、私はああ、美しいなと心から思った。世界に一つだけの花が流れ、少年忍者の5人が歌う勇気100%を歌った時、私はこんなに素敵なものをずっと好きだと言っていたのかと心の底から嬉しく、懐かしく思った。どんなに情勢が変わろうと、淘汰されようと、世界が平和である限り、彼らは実直に真面目にエンターテインメントで夢や希望、平和や愛の大切さを伝えているのである。変わらないものがここにはあったのである。
この主題はもちろんの事だが、ジャニーズイズムを感じる部分は本当に、数え切れないくらい沢山あった。なすび(演:彩吹真央)とハート(演:内博貴)の逃避行の場面が良い例であろう。
暗闇の中、光るヘッドライト。昨日幕を下ろしたEndlessSHOCKのカーイリュージョンや、PLAYZONE2014の気まぐれOne Way Boyなどを彷彿とさせる車を使った演出はとてもジャニーズらしかった。また、同場面において主要な二人以外は黒い衣装に赤い手袋をはめている。これはEndlessSHOCKのSOLITARYを思い起こさせる。
また、私が謎に泣いてしまった、君じゃなきゃダメなんだを歌唱する場面の演出もジャニーズらしさを語るのに必要であろう。
黒のスパンコールのセットアップに身を包んだA.B.C-Zのうしろには反対色の白色の衣装に身を包んだダンサーたち。この構図はジャニーズあるあるである。EndlessSHOCKの堂本光一が、ジャニー喜多川にダンサーと同じ色の衣装にしたいと言ったら怒られたという逸話が有名だが、この場面ではこれをしっかりと継承していた。ジャニーズヲタクであれば一目で｢ジャニーズだな｣と思ってしまう場面が満載であったのは、こういう先輩から伝わる細やかな教えや伝統を実際に舞台に立つことを通して学んでいたA.B.C-Zだからなのだろうと思う。流石は純粋培養と言われるA.B.C-Zの舞台である。私よりもっともっと歴の長いファンの方に見てもらいたい、そんな風に思える舞台であった。
救世主とA.B.C-Zの面々は舞台上で呼ばれる。
まさしく彼らは私たちにとっても救世主なのである。彼らが救世主にして、最後の砦なのである。ジャニーズイズムを継承せし者たちに、幸多からんことを。