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プロレス入場テーマ曲に使われたRammsteinの楽曲まとめメモ

ドイツを代表するメタル・バンドRammstein(ラムシュタイン)。

1995年のメジャーデビュー以降、実力に裏打ちされた過激かつ先進的な楽曲と、破天荒で独創的なライブ・パフォーマンスを武器に、世界中から反響を呼び続けている。

そんなラムシュタインだが、非常に興味深いことにプロレスラーの入場テーマ曲に使用される頻度が高い。特にルチャ・リブレとして有名なメキシコに関しては顕著で、その数は団体問わず未確認含め数十名。それだけでなく、現地ではラムシュタインRamstein)という同名のレスラーまで存在していた。

El día de hoy se celebra el día de la Lucha Libre y aunque ustedes no lo crean Rammstein ha estado involucrado en el...

Posted by Rammstein Shop México on Tuesday, September 21, 2021

なぜメキシコで沢山使われているのか?この件に関しては選曲している者を突き止める必要があるが、それは現在に至るまで謎である。(考えられるのは選手自身・団体・放送するTV局など)
そもそもメキシコ国内においてRammsetein人気が高いという話もあれば、選手自身がファンというケースもあるようだ。例として数々の楽曲を入場テーマに使用したエレクトロ・ショック(Electro Shock)はインタビューでラムシュタインについてのエピソードを披露している。


今回のnoteは、プロレスラーの入場テーマ曲に使用されたRammsteinの楽曲をアルバムごとに分けて紹介。
リングの世界観に匹敵する斬新奇抜なバンドが、いかにプロレス界で浸透しているかを検証してみよう。


Herzeleid(邦題:ヘルツェライト)

1st Alubum。1995年の作品ながら今聴いても色褪せないサウンドの数々。後のアルバムに比べるとヘヴィメタル気質が突出して強い1枚。

1.Wollt ihr das Bett in Flammen sehen?

冒頭を飾るナンバー。
メキシコでは老舗団体の一つAAAに在籍していたベテラン女性ルチャドーラ、ディアボリカのテーマ曲として起用されたという。
日本では2000年代後半、RO&DのメンバーとしてNOAHに参戦したブキャナンの入場テーマ曲として使用された。

2.Der Meister

リフ・イントロからアドレナリン急上昇必至。
AAAのスペル・エストレージャとして活躍するサイコ・クラウンが現在の姿に変貌する前の『ブラソ・デ・プラタJr』時代に使用した。

3.Weisses Fleisch

静かな立ち上がりからプロレスの如く畳み掛ける展開。
AAAにおけるユニット、サイコ・サーカスの一員モンスター・クラウンが使っていたとされる。

4.Asche Zu Asche

ヘヴィメタル×エレクトロのダンスビートが駆け抜ける1曲。
驚くべきことに新日本プロレス時代の西村修が2002年メキシコでのCMLL参戦時にテーマ曲として使用していた。他にもAAAのディナスティアが短期間使用していたという。

6.Du Riechst So Gut

シングルカットもされたラムシュタインの初期代表曲のひとつ。


米AEWでルチャ・ブラザーズとして名声を得たレイ・フェニックスがAAA時代に長らくテーマ曲として使用していた。
来日時も同曲を使用しており、プロレスリングNOAH後楽園ホール大会でのvs石森太二では映画ロッキー4のサントラ曲「WAR」、カール・オルフの「カルミナ・ブラーナ」を前奏に加えた特製合体バージョンが流れた。


11.Rammstein

セルフタイトルナンバー。
先述の同名レスラー「ラムシュタイン(Ramstein)」の使用テーマ曲だったという情報がある。

Sehnsucht(邦題:渇望)

2nd Album。前作以上にメタルとエレクトロの融合がマッチした傑作。入場テーマ曲として頻出である「Engel」「Du Hast」を収録。

1.Sehnsucht

1曲目を飾るタイトルナンバー。
CMLL時代のディアマンテ・アスール(アスル)が使用。

2.Engel

ラムシュタインの代表曲の一つで、テーマ曲としても屈指の人気曲。
日本ではCMLLに在籍したマスカラ・ドラダが使用していたことで有名。初来日となったTDCホールにおいて、トップロープ・ウォークのパフォーマンスと共に披露された。

3.Tier

Engel同様ダンサンブルなビートが格好よい1曲。
2010年代前半NOAHに参戦していたルチャドール、ペサディーヤが使用した。

5.Du Hast

ラムシュタイン初期代表曲のひとつ。YoutubeでのMV再生回数は2024年現在6億回を超す。

この曲は新日本プロレスの内藤哲也と高橋裕二郎が2010年のメキシコからの凱旋帰国後、入場テーマ曲として使用。日本での初お披露目は東京ドームで、大音量のラムシュタインが場内に響き渡った。
ちなみに2人はメキシコ遠征中にも同曲を使用しており、メキシコのラムシュタイン・テーマ曲文化を直輸入した形となった。

他にもAAAでは先述のエレクトロショックをはじめ、現在でも様々なレスラーの入場に使用されている。メキシコ以外では葛西純に"イカれた奴”と評されたハードコアレスラー、JCベイリーが米団体のCZWで短期間使用していた情報もある。

6.Bück Dich

鉄鋼の打ちつける音、均一に響く悲鳴、アルバム内でもインダストリアル色が一層強い楽曲。
メキシコの団体IWRGにおける2005年11月に行われたロイヤルランブルで使用されたが、初代タイガーマスクとも対戦経験のある覆面戦士ウルトラマンの入場時にラムシュタインが流れるという珍事も発生した。


10.Eifersucht

中近東を髣髴とさせるメロディとメタルが交錯するユニークな一曲。
いまや新日本プロレスJrの柱となったDOUKI選手がメキシコを活動拠点をしていた時代に使用していた。

またAAAでは多くの選手に使われており、W★INGで来日経験のあるマルタ・ビジャロボス、メカ・ウルフ、スペル・フライ、ベンガラ(スペル・ノヴァ)などが使用していた。

11.Küss Mich (Fellfrosch)

乾ききった剛鉄ベース音がフューチャーされたグルーヴ・チューン。
AAAで活躍したエスペクトロJr.の晩年における入場テーマ曲だった他、先述のディアボリカ、モンスター・クラウンが使用した情報がある。


Mutter(邦題:ムター)

3rd Album。前2作の強力なテイストを引き継ぎつつ、他ジャンルのトラディショナルなエッセンスをつぎこみ、独自の世界観を広げることに成功した1枚。

1.Mein Herz Brennt

ストリングス、アコースティックを起用した壮大な1曲。日本では2007年春、NOAHに参戦していたジョー・レジェンドが使用していた。

2.Links 2 3 4

発表時から話題を振りまいた1曲。ライブではコール&レスポンスでギターから火柱が上がる。
AAAでは来日経験もあるアビスモ・ネグロや三沢タイガーとの対戦経験のあるベテラン、ピラタ・モルガンのテーマに使われ、CMLLではエル・エンフェルメロJr、中嶋勝彦から世界ジュニアを奪取した選手シルバーキングも使用した。

3.Sonne

元々ウクライナのプロボクサー・ビタリ・クリチコの入場曲として制作された。(実際は使用されず)それを意識してなのか、入場の足取りにあわせるかのようにラムシュタインの楽曲の中では比較的ゆったりしたテンポとなっている。
余談だが、アルバム発表から間もない2001年にK-1 WORLD GP 2001名古屋大会で優勝したアレクセイ・イグナショフのテーマ曲としても有名である。
プロレス界では米AEWの人気スター、ダンハウゼンがAEW参戦前の米インディー団体で入場テーマ曲として使用していた。

4.Ich Will

ダークな雰囲気と力強いサビのコーラスが印象的な1曲。2021年のパラリンピックのドイツ選手団の公式応援PVにも起用された。


英団体EVEではスターダムにも参戦した強豪、アルファ・フィーメルの入場テーマに使用された。フィメールは後述のFeuer Frei!も使用経歴あり。

5.Feuer Frei!

口元から火炎が放たれる熱狂ライブパフォーマンスが人気を博す1曲。

メキシコではAAAのチェスマンが入場テーマ曲に使っていた。最初は原曲だったが、その後出典不明のインストバージョンを使用した。(2012年の全日本参戦時も使用)

12.Halleluja(日本盤ボーナストラック)

元々はミラ・ジョヴォヴィッチ主演の映画『バイオハザート』サントラ曲で、日本盤に収録された楽曲。
日本では2002年NOAHハロウィン大会に登場した秋山準の化身「SHURA」の入場に使われた。ちなみにSHURAは2003年3月1日、伝説の三沢vs小橋が行われたNOAH日本武道館大会のセミにも登場し、大音量のラムシュタインを聖地で響かせることに成功した。


Reise, Reise(邦題:ライゼ・ライゼ ~南船北馬~)

4th。特有のインダストリアルサウンドに加え、荘厳かつドッシリとした空気感が印象的な1枚。収録曲Mein Teilはバンドに2度目のグラミー賞ノミネートをもたらした。


2.Mein Teil

前作から一段と重厚さと過激さが増したヘヴィネス・サウンド。
CMLLのユニット”ロス・イホ・デル・アベルノ”のテーマ曲として在籍メンバーのアベルノ、メフィストのテーマ曲に使用された。
また2010年に新日本プロレス両国大会でIWGPタッグを内藤・裕二郎(NO LIMIT)と争ったテリブレ&テハノJr.のテーマ曲にも使用。当時のNO LIMITは先述の「Du Hast」が入場テーマだったため、奇しくも日本でRammstein対決が実現した。(ちなみに上記選手の入場音源はイントロが追加されたシングルバージョンを使用している)
2020年1月に開催されたファンマニではルシフェルノが入場で使用し、久しぶりに日本の会場でRammsteinが轟いた。

4.Keine Lust

ノリの良さと併せて従来以上にリフの重みがずっしり響くナンバー。
DRAGON GATEやGLEAT参戦で日本のプロレスファンにも馴染み深いAAAのフラミータが入場テーマ曲に使用していた。


Rosenrot(邦題:ローゼンロート)

5th。ジャケ・作風ともに前作からの繋がりを感じさせる1枚。マリアッチ風味の曲もあるなどユニークさは顕在。

1.Benzin

オープニングナンバー。公式Youtubeで過激なライブパフォーマンスが見ることができる。

新日本のファンタスニカ・マニア参戦経験もあるミステル・ニエブラがAAA時代に使用したとされる。

9.Te Quiero Puta!

新日本における長年の活躍で、日本にもファンが多いエル・ファンタズモがECCW参戦時に使用。それだけでなく、バージョン違いとして入場用に編集した「Te Quiero Puta!” (El Phantasmo Remix)」なるものも存在しているらしい。
またDDTに24年現在、DAMNATION T.Aとして参戦中のルチャドール、デムースの入場テーマとしても使用されている。


Liebe ist für alle da(邦題:最愛なる全ての物へ)

6th。過去の作品のテイストの集大成。やり過ぎくらいが丁度良いを地で行く内容。全米ビルボードのアルバム・チャートで13位を記録した。今作では入場テーマ曲に使用された楽曲は1曲のみで、これ以降のアルバムでは使われていない。

2.Ich Tu Dir Weh

極端な動と静の中、情緒豊かに歌い上げるボーカルが心に残る1曲。ライブも強烈。

CMLLのマレフィコ・エクステルミナドールのタッグや、フリア・ロハのテーマとして使用されていた。