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大阪ビッグマッチ「Estadio de Polan」各試合見どころ解説

ジュニアヘビー級シングルリーグ戦「THE KING OF HAWKS」はB.A.Dのトレガーが2連覇を果たし閉幕した。現在5連続の防衛を続けているIWTジュニアヘビー級王者、ヤマネコマスクはKOH V2覇者トレガーとの決戦に臨む。そしてWAW勢を退け、IWTユニバーサル王座、IWTタッグ王座を保持する魔界軍が次に照準を定めたのは「プロレスリングWAYWARD」だ。魔界軍の乙部、そして雁野が不覚をとった相手へ雪辱を晴らすべく王座を賭ける。そしてガンジュにおいて存在感を強めている軍団がもう一つ。Mad Hatterからの刺客、「Barbaros」だ。初代IWTユニバーサル王者、大空大地を加えた軍団はGBAの持つEAGLE6人タッグ王座を奪取。次なるターゲットは鎌石武の持つガンジュ至高のベルト、IWTヘビー級王座だ。

他団体選手の侵攻著しいガンジュにおいて、王座戦は各々の生存競争の様相を呈している。群雄割拠のファイプロ戦線、プロレスリングガンジュの大合戦は大阪にて開幕する。

◆対戦カード

Vol.105大阪カード




Estadio de Polan大阪_第1試合

◆第1試合 タッグマッチ

【B.A.D&本隊】羽田 飛鳥&宮守 誠 vs 岸里 玉出琉&田野畑 聡【たま☆らんち♡&本隊】

開幕戦ではガンジュ期待のヤングイーグルが各々と関係の深い大物レスラーとタッグを組み激突する。宮守とタッグを組むのは「GOLリベルタ無差別級王者」羽田飛鳥だ。ガンジュヘビー級リーグ戦「ROCK EAGLE CRAWN(以降、REC)」に出場後、新人の宮守を目にかけ、厳しく育成するようになった。宮守の得意技であるニールキックは羽田から学んだものだ。対する田野畑には岸里玉出琉がパートナーにつく。同じくRECに出場したレスラーだが、執拗に田野畑を「たま☆らんち♡」へ加入させようと目論んでおり、田野畑は今のところ必死の抵抗を見せている。

宮守と田野畑はこれまで新人選手としての経験を十分に重ねており、海外武者修行へ出る時期も近づいている。残り数少ない試合の中で成長のきっかけを掴めるか、彼らの戦いぶりに注目だ。


Estadio de Polan大阪_第2試合

◆第2試合 タッグマッチ

【アテルイ】関 龍之介&真城 義隆 vs 安代 雄大&松尾 肇【GBA】

プロレスリングガンジュきってのタッグチームとして名高い安代雄大と松尾肇の「ブラック・アバランシュ」だが、ここしばらくピリッとした戦績を残していない。しかし両国大会において松尾と安代がそれぞれの試合で勝利を掴んだことで、今大会での久々の純正タッグマッチにこぎつけることができた。彼ら自身、現状には満足していないだろうが、少なくとも「アテルイよりはましだ」と考えているに違いない。

対戦相手となる関龍之介と真城義隆の所属するユニット「アテルイ」はここまで目立った実績を残していない。ユニット結成時にEAGLE6人タッグ王座を奪取したものの、初防衛戦において宿敵GBAに奪われてしまっている。選手個人としても、関はIWTヘビー級王座を落として以降調子を落としシングル王座戦線からは大きく引き離されているし、真城も「岩鷲王トーナメント」において決勝戦まで進むも、現IWTヘビー級王者である鎌石に敗れている。

この試合は双方にとって、「トップ戦線へ返り咲くため」の一戦となる。ただそれは個人としてのものか、それともタッグとしてのものか。その答えは試合の結果を見てから考えても遅くはないだろう。


Estadio de Polan大阪_第3試合

◆第3試合 シングルマッチ

【フリー】大月 勇 vs 淵沢 小十郎【本隊】

「大炎會2019」に登場して以降、様々な興行に精力的に出場しその名を広めている大月勇がガンジュに初参戦となった。「百折不撓」に対し番人として立ちはだかるのは「なめとこ山のハンター」淵沢小十郎だ。年齢を重ねるとともにトップ戦線からは離れてしまっているものの、IWTヘビー級王座を2度戴冠した実力者であり、狩猟仕込みの怪力も健在だ。一方の大月はレスラーとしてデビュー後2年で一時引退し、復帰してからはキャリア1年を重ねている。まだまだ駆け出しではあるものの、大舞台の経験は人一倍積んでおり、文字通りの「大物食い」となれば一気に飛躍するチャンスとなるだろう。


Estadio de Polan大阪_第4試合

◆第4試合 8人タッグマッチ

佐倉河 哲也&パンテラ・ネグロ&スワン・タカマツ&白石 コジュウロウ vs ドミニコ・ジョバンニ&トーマス・カムパネルラ&ジャミル・エッジウェイ&士居 重慎

第10代IWTジュニアタッグ王者ドミニコ・ジョバンニ&トーマス・カムパネルラに、THE KING OF HAWKS決勝リーグに出場した6選手を加えたジュニアヘビー級選手たちの8人タッグマッチだ。この試合の持つ意味は単なるジュニアリーグ戦のスピンオフ試合にとどまらない。IWTジュニアタッグ王座戦線は、これまで外敵王者だったエル・ボランテ&エル・アンクラにガンジュジュニア勢が敗れ続け、最後に前王者であるジョバンニ&カムパネルラがベルトを取り戻したという状況であり、今後の挑戦者として再びガンジュの選手が名乗りを上げることは考えにくいだろう。つまりIWTジュニアタッグ王者の加わったこの8人タッグマッチは、新たなる展開を生み出すきっかけに成り得る試合となる。もちろん、現王者のジョバンニとカムパネルラが王者としての試合運びを見せて勝利を掴み、実力を誇示することもあり得るだろう。いずれにせよ、この8人タッグマッチはIWTジュニアタッグ戦線の、ひいてはジュニアヘビー級戦線の展開を占う一戦となるだろう。


Estadio de Polan大阪_第5試合

◆第5試合 IWTタッグ選手権試合

【挑戦者・WAYWARD】キャノン恩田&留守 逢人 vs 雁野 童次&B.B.アームズ【第14代王者組・魔界軍】

THE KING OF HAWKSシリーズ中の松本大会において、魔界軍の雁野童次とB.B.アームズはWAWのウインドシティ・イグニッションからIWTタッグ王座を奪取した。乙部の持つIWTユニバーサル王座に続き魔界軍が2つ目のベルトを獲得したことで初防衛戦の相手が誰となるか動向に注目されたが、ここにWAYWARD所属「ヒュージ・O」キャノン恩田が立ちはだかることとなった。ヘビー級リーグ戦RECにも出場していた恩田だが、両国で組まれたIWTユニバーサル王座前哨戦には仁志のタッグパートナーとして出場した。ここで恩田は魔界軍の雁野をハイアングルチョークスラムで一掃するというインパクトを残し、大阪大会でIWTタッグ王座に恩田が挑む防衛戦が組まれることが急遽決定された。

恩田がパートナーとして引き連れてきたのは、ガンジュでは初登場となる留守逢人だ。なんと恩田と留守のタッグはWAYWARDタッグ王座を獲得している上、留守は先日行われたGOL興行においてGOL最高峰のベルトである「GOL無差別級王座」を戴冠している。恩田にとってはタッグ二冠、留守はシングルと合わせ三冠を狙える状況にあり、昇り龍のごとく調子を上げている挑戦者に対し雁野とB.B.アームズがガンジュのタッグ王座を守り切れるか、いきなり大一番を迎える。


Estadio de Polan大阪_第6試合

◆第6試合 スペシャルタッグマッチ

【???&本隊】X&不動 龍虎 vs X&X【???】

ある意味、今大会最注目の試合であるだろう。出場選手が決まっているのはガンジュの本隊エース、前IWTヘビー級王者の不動龍虎のみ。不動のタッグパートナー、そして対戦相手2名は一切謎のまま。興行後半で組まれた試合であるだけに、名だたるビッグネームが姿を現すことが予想されるが、ガンジュ初登場となる選手なのか、久々登場の強力レスラーなのか、カムバックを果たしたガンジュ古参レスラーなのか。その正体は入場の瞬間まではわからない。その顔ぶれによっては今後のプロレスリングガンジュの展開、あるいはファイプロ界の流れにも影響を及ぼすことになるかもしれない。


Estadio de Polan大阪_第7試合

◆第7試合 IWTユニバーサル選手権試合

【挑戦者・WAYWARD】仁志 我獣 vs 乙部 満【第6代王者・魔界軍】

第5代IWTユニバーサル王者・ジンノ・シンスケを破りチャンピオンとなった乙部は、横浜大会にてWAWのジェリー・ラヴァーズを相手に初防衛を果たした。しかし、同じ時期に乙部がシングルマッチで敗れてしまった男がいる。PXF主催「最高男決定リーグ戦2020」で対戦した仁志我獣だ。IWTユニバーサルのベルトを携えて出場したこの大会において、乙部は魔界パワーを存分に発揮させて神懸かり的な展開の末に決勝リーグ進出を果たす。この大会で優勝したエスペランサ・ピエールに初戦で敗れたが、乙部は予選においても2人の選手に敗戦を喫していた。乙部にとって最大の難敵である桜神と、WAYWARD所属の仁志だ。乙部はこの大会での雪辱を晴らすべく、ジェリー・ラヴァーズとの防衛戦後に仁志を挑戦者に逆指名した。乙部にとっては仁志に続き、桜神、エスペランサ・ピエールと敗戦の借りを返すために全員との雪辱戦を戦う気概でいるが、ベルトを賭ける一戦であることには間違いない。逆に仁志にとっては大チャンスであり、自身の名をさらに上げるため乙部からベルトを奪う気満々でこの試合に臨むだろう。


Estadio de Polan大阪_第8試合

◆第8試合 IWTジュニアヘビー級選手権試合

【挑戦者・KOH覇者・B.A.D】トレガー vs ヤマネコマスク【第10代王者・本隊】

IWTジュニアヘビー級王者ヤマネコマスクは、ここまで5度の防衛を重ねている。防衛した相手はガンジュ・他団体様々だが、昨年末には「大炎會2019」の東軍大将も務め、今がキャリア最盛期の真っ只中であることは疑いようがないだろう。ガンジュだけでなくファイプロ界においても名を広めているジュニア級レスラーへと変貌を遂げたヤマネコマスクは、ついにIWTヘビー級王座をも標的に見据えている。ヤマネコマスクは今回行われたジュニアヘビー級リーグ戦「THE KING OF HAWKS」には参加しなかった。王者としてKOHの優勝者に挑むとコメントしていたが、ジュニアヘビー級の絶対王者である自負も態度から表れていた。

王者ヤマネコマスクの前に立ちふさがるのはKOH連覇を果たしたトレガーだ。大会では前大会優勝者のシードで決勝リーグから参加し、3勝3敗ながらも2位タイ5名のバトルロイヤルを制して優勝決定戦に進出。リーグ戦で敗れていたパンテラ・ネグロと戦い、新必殺技のイエンウォで勝利を掴んだ。実はトレガーは一度ヤマネコマスクとタイトルマッチを戦っており、11分余りでヤマネコスプラッシュに沈んでいる。その試合を機にそれまでの必殺技ファイヤースワローを封印したトレガーはコスチュームも黒一色に改めて再起を図ったのだ。

挫折を乗り越え、再びKOHを制したトレガーが絶対王者ヤマネコマスクと対峙する。ヤマネコマスクはこの防衛戦の先にIWTヘビー挑戦を目論んでいるが、自身の言葉通り「挑む」べき相手としてトレガーがその前に立ちふさがっている。IWTジュニアヘビー級戦線における歴代最高峰の「最強対決」から目が離せない。


Estadio de Polan大阪_第9試合

◆第9試合 IWTヘビー級選手権試合

【挑戦者・Barbaros】大空 大地 vs 鎌石 武【第11代王者・GBA】

鎌石 武はガンジュ1期生としてデビューし、生まれ故郷の近い大船渉、高田陸とともに「三陸三本槍」の一角として研鑽を積んでいた。若手ながらも実力は折り紙付きで、番狂わせながらもIWTヘビー級王座を戴冠したこともあった(初防衛も果たせずベルトは落としたが)。しかしIWTユニバーサル王座が新設された頃、WAWのジェリー・ラヴァーズの手引きもあり、鎌石は高田とともにWAWへ移籍。ガンジュのリングから離れることになった。それからしばらくして鎌石は「鬼神」となりガンジュに凱旋した。反体制派のGBAに加わり、必殺技「デスバレー・センジン」を携えてガンジュのトップ戦線の台風の目となる。すぐさまIWTヘビー級王座に狙いを定め、当時のチャンピオン不動に一度は敗れるものの、「岩鷲王トーナメント」で優勝して再び不動と対戦。IWTヘビーのベルトを獲得した。

大空大地がガンジュに参戦したのは「初代IWTユニバーサル王者決定トーナメント」からだ。ここで大空はトーナメントを制し、初代IWTユニバーサル王者となる。大空はIWTユニバーサルのベルトの価値を高めるべく、IWTヘビーの歴代王者を逆指名して防衛を重ね続けた。伏兵・盛岡に敗れてベルトを失うものの、試合内容も充実した大空の防衛ロードはガンジュファンの記憶に深く刻み込まれた。ヘビー級リーグ戦RECにも出場し、Bブロックを勝ち抜いて優勝決定戦に進出。Aブロック代表となった不動龍虎に敗れてしまったが、ここでも大空は自らの実力を存分に見せつけた。そしてTHE KING OF HAWKSシリーズにおいて久々の登場となった大空は、Barbarosの面々と肩を並べて現れる。大空が鷹石兄弟とともに挑戦を表明したのは「EAGLE6人タッグ王座」。ベルトを保持していたのは鎌石武だった。奇しくも「初代IWTユニバーサル王者決定トーナメント」を境に入れ替わるようにしてすれ違った両者がここで邂逅したのだ。

大空は鷹石兄弟とともにGBAからEAGLE6人タッグ王座を奪取することに成功。次なるターゲットが鎌石の持つIWTヘビー級王座になることは必然といえた。シングル初対戦となる両者、鎌石はIWTヘビー級王座の自身としての初防衛を、大空は他団体選手として初めてのIWTヘビー級王座戴冠を狙う。鎌石が防衛に成功すれば、ガンジュにおける覇権がさらに広がる。大空が戴冠を果たせば、ガンジュの景色は確実に変わる。どちらに転んでも、ガンジュの歴史は大きく変わるだろう。



それぞれの選手、それぞれの派閥が想いを巡らせぶつかり合う「ポラーノの『戦場』」。戦いが終わった時、すでに歴史は動いている。


                            ( 了 )

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