鹿児島県伊佐市の太陽光併設・蓄電池火災事故について
2024年3月27日、鹿児島県伊佐市にある「ハヤシソーラーシステム高柳発電所」で火災事故が発生しました。火災は同発電所に併設された蓄電池設備から始まり、その後、爆発を伴う大規模な火災に発展しました。今回は、この事故の詳細について、できるだけわかりやすくお伝えします。
事故の発生状況
日時と場所
火災が発生したのは2024年3月27日18時8分、鹿児島県伊佐市にある蓄電池併設型メガソーラー発電所「ハヤシソーラーシステム高柳発電所」です。この発電所は、林建設グループのハヤシエネルギーシステムが設置し、2017年2月から稼働しています。
事故の経緯
火災は、蓄電池およびパワーコンディショナー(PCS)が設置された建屋から白煙が上がったのをきっかけに発覚しました。その後、18時50分頃に建屋内で爆発が発生し、火災が広がりました。火災の鎮火は翌日28日14時35分に確認されています。
被害状況と環境への影響
物的被害
火災により、蓄電池やPCSが設置されていた建屋は全焼し、外にあった受変電設備も全焼しました。爆発によって建屋の一部が飛散し、近隣の太陽光パネルや敷地外にも被害が及びました。
人的被害
火災の消火活動中、4名の消防隊員が負傷しましたが、それ以外に人的被害は報告されていません。
環境調査
事故後、発電所周辺の水質や土壌の調査が実施されましたが、異常は確認されていないとのことです。
火災の原因
火元の特定
建屋内に設置された蓄電池が大きく損傷しており、特に第3区画の4ラック目が最も激しく損傷していたことから、ここが火元である可能性が高いと報告されています。蓄電池の発火は、白煙の発生が確認されていたことからも、蓄電池内の異常によるものと推測されています。
リチウムイオン電池の危険性
リチウムイオン電池の火災は、短絡や過充電・過放電により電池内の温度が急激に上昇し、電解液が熱分解することで可燃性ガスや白煙が発生し、最終的に発火・爆発することがあります。今回の事故でも、このような現象が起こったと考えられています。
現行法と今後の対応
法的課題
現行の電気事業法では、蓄電池は「電力貯蔵装置」として定義されており、一定の容量を超えるものは事故報告の対象です。しかし、太陽光発電設備に付随する蓄電池は現在のところ報告対象となっていません。この事故を受けて、経済産業省は今後、報告の対象範囲を広げることを検討しています。
技術基準の見直し
経済産業省は、現在の技術基準が蓄電池の潜在的な危険性を十分に考慮していないことに懸念を示しており、今後、蓄電池に関する技術基準の見直しや解釈の明確化を進める方針です。
終わりに
今回の伊佐市での火災事故は、蓄電池の導入が進む中で発生したもので、リチウムイオン電池の火災リスクに対する警鐘とも言えます。今後、同様の事故を防ぐためには、蓄電池の安全性を高めるための法整備や技術基準の強化が不可欠です。事故の詳細な調査結果とともに、今後の対応策に注目が集まります。
伊佐市の太陽光併設・蓄電池火災、爆発で太陽光パネルも破損
日経BPより
https://project.nikkeibp.co.jp/ms/atcl/19/news/00001/04458/?ST=msb&n_cid=nbptec_tectw