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三井住友銀行がコーディネーターとして関与するバーチャルPPAの意義

2024年10月3日、東京メトロとENEOSリニューアブル・エナジー(ERE)は、蓄電池併設型の太陽光発電を活用したバーチャルPPA(Power Purchase Agreement:電力購入契約)を締結しました。この契約は、国内鉄道会社として初めての取り組みであり、再生可能エネルギーの利用を促進するだけでなく、CO₂排出削減にも大きく貢献するものです。
さらに、このプロジェクトには三井住友銀行がコーディネーターとして関わっており、金融機関がどのようにして再生可能エネルギーの普及を後押しするかが注目されています。


1、バーチャルPPAとは?

バーチャルPPAとは、電力購入契約の一種で、発電事業者と電力需要家が直接電力の供給契約を結ぶものではありません。通常のPPAでは、発電所から直接電力を供給しますが、バーチャルPPAの場合、電力そのものは市場を通じて供給され、需要家は発電された電力量に対応する「環境価値」を購入します。東京メトロは、このバーチャルPPAを通じて、EREが発電する再生可能エネルギーの環境価値を受け取り、CO₂削減を目指します。

この「環境価値」とは、発電された電力に付随するCO₂削減効果や、再生可能エネルギーの利用促進に貢献する価値を指します。具体的には、EREが発電する太陽光エネルギーの非FIT非化石証書を購入することで、東京メトロは環境負荷を大幅に削減することができます。

2、蓄電池併設型太陽光発電の強み

今回のプロジェクトでは、太陽光発電所に蓄電池が併設されている点が大きな特徴です。太陽光発電は天候に左右されるため、電力供給の安定性が課題とされることがあります。しかし、蓄電池が設置されていることで、余剰電力を蓄えておき、必要な時に放出することが可能となり、電力供給がより安定します。これにより、東京メトロは安定した環境価値を長期的に確保できるようになります。

蓄電池の運用に関しては、EREが三菱総合研究所と共同で開発した「蓄電池運転計画策定システム」が活用されます。このシステムは、発電量の予測や最適化アルゴリズムを基に、蓄電池の充放電スケジュールを効率的に管理するもので、発電量の変動によるリスクを最小限に抑えつつ、安定した供給を実現します。

3、CO₂排出削減の効果

東京メトロがこのバーチャルPPAを利用することで、年間約170万kWhの再生可能エネルギーに対応する環境価値を得ることができます。これにより、年間CO₂排出量は約663トン削減される見込みです。この数字は、再生可能エネルギーの利用がいかに大きな影響を与えるかを示しており、東京メトロの「メトロCO₂ゼロ チャレンジ 2050」という長期目標に向けた重要なステップとなります。

東京メトロは、2030年までにCO₂排出量を2013年度比で50%削減し、2050年には実質ゼロを目指しています。これまでにもエネルギー効率の高い車両や設備の導入を進めてきましたが、今回のバーチャルPPAを含めた再生可能エネルギーの活用が、今後の目標達成に大きく寄与すると期待されています。

4、三井住友銀行の役割とコーディネート

今回のプロジェクトでは、三井住友銀行がコーディネーターとしての重要な役割を果たしています。金融機関が再生可能エネルギー分野に関わることで、資金調達や契約調整などのプロセスをスムーズに進めるだけでなく、企業間の連携を促進し、社会全体での持続可能なエネルギー利用を後押ししています。

三井住友銀行は、サステナビリティに関連する経営課題を抱える企業に対して、適切なソリューションを提供するパートナー企業をつなぐ役割を担っています。このプロジェクトでは、再生可能エネルギー発電事業者であるEREと、電力を必要とする東京メトロを結びつけ、両者が協力してCO₂排出削減に貢献する体制を整えました。金融機関がこのような環境プロジェクトに積極的に関与することで、サステナビリティに関する取り組みがより広範な企業や業界に広がっていくことが期待されます。

5、EREのミッションと展望

EREは、2012年に設立されて以来、「再生可能エネルギーで世界を変える」というミッションを掲げ、太陽光や風力、バイオマス発電所の開発と運転を行ってきました。今回のバーチャルPPAも、再生可能エネルギーの普及を加速させる一環として、同社の蓄電池技術と運用ノウハウを最大限に活用したものです。

さらに、EREは2030年までに発電設備容量を現在の130万kWから300万kWに拡大し、企業のCO₂排出量削減をサポートしながら、脱炭素社会の実現を目指しています。また、PPAや蓄電池を活用したエネルギーソリューションを提供することで、再生可能エネルギーの普及と企業の環境負荷軽減に貢献していく予定です。

6、銀行が関わることの意義

今回の取り組みは、単に東京メトロとEREが結んだ電力購入契約にとどまりません。三井住友銀行がコーディネーターとして参加することで、プロジェクト全体の信頼性が高まり、複雑な契約や資金調達において金融機関のサポートが得られる点が重要です。

金融機関は、企業の環境や社会的責任(ESG)に関する取り組みを支援し、持続可能なビジネスモデルを構築する上での重要な役割を担っています。三井住友銀行は、再生可能エネルギーの普及を進めることで、社会全体が脱炭素社会に向けて一歩を踏み出す手助けをしていると言えるでしょう。

まとめ

東京メトロとEREが締結したバーチャルPPAは、国内鉄道業界で初めての蓄電池併設型太陽光発電所を活用したものです。これにより、再生可能エネルギーの利用促進とCO₂排出削減が実現され、東京メトロの長期的な環境目標達成に向けた大きな一歩となりました。また、三井住友銀行がコーディネーターとして関与することで、プロジェクト全体が円滑に進み、金融機関の持つサステナビリティへの取り組みが具現化された形です。
今回のプロジェクトは、今後の企業間連携や金融機関が果たす役割について、持続可能な社会の実現に向けたモデルケースとなるでしょう。

東京メトロとEREがバーチャルPPAを締結、国内鉄道会社で初めて蓄電池併設型太陽光発電を活用 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001200.000020053.html
@PRTIMES_JPより

#バーチャルPPA #再生可能エネルギー #脱炭素 #太陽光発電 #三井住友銀行 #CO2削減 #蓄電池

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