蓄電池導入で優遇措置、事業者への影響は?政府の再エネ政策改革で!
概要
政府は再生可能エネルギーでつくった余剰電力の廃棄を防ぐため、発電を一時的に止める出力制御と呼ばれる仕組みを変更します。蓄電池を活用する事業者向けに、出力制御の対象から外す優遇措置を導入する予定です。日中に多い再生エネを蓄電することで、夜間電力を補い、事業者の収入を安定させ、参入を容易にする効果も狙います。
出力制御の現状
電気は発電量と使用量が常にそろわないと周波数が乱れて停電の恐れがあります。これを避けるため、政府は電気が余る昼間に太陽光や風力発電などの再生エネの発電を一時的に止める出力制御を実施しています。原発の再稼働に伴い、2023年度には出力制御が18.8億キロワット時と過去最多となり、39万世帯の年間電力消費量に相当します。日本は再生エネの普及は途上にもかかわらず、発電のムダが課題となっていました。
蓄電池の導入状況
欧州委員会によると、欧州地域で導入された電力系統の調整に使う蓄電池の規模は2022年時点で900万キロワット時程度あります。一方、経済産業省によると、日本で電力系統に接続された蓄電池の規模は2023年1月末時点で0.9万キロワット時程度にとどまります。
新しい出力制御の指針
経済産業省は事業者に蓄電池の活用を促すため、出力制御の順番を定めた国の指針を2026年度にも変更する予定です。太陽光や風力といった再生エネ発電のうち、蓄電池とセットで運用する事業者は制御の対象外になるように順番を後ろに回します。
FIP制度の活用
具体的には、再生エネと蓄電池をあわせて活用する「FIP(フィードインプレミアム)」制度を使う事業者を優遇します。経産省は今月中に開く有識者会議で指針の変更案を示す予定です。
既存のFIT太陽光発電事業者にとって
既存のFIT太陽光発電事業者にとって、政府の新しい政策は以下のような影響があります。
出力制御の優先順位の変化
新たに導入される蓄電池を併用する事業者が優遇されるため、出力制御の対象となる可能性が高まり、発電停止のリスクが増加し、収入の不安定化が懸念されます。
競争環境の変化
蓄電池を導入する事業者が優遇されることで、市場競争が激化します。既存事業者は競争力を維持するために、蓄電池の導入を検討する必要が出てくるかもしれません。
長期的な戦略の再考
FIT制度に依存していた事業者は、FIP制度への移行や蓄電池の導入を視野に入れた長期的な事業計画の見直しが求められる可能性があります。
太陽光発電所を建設してきた事業者にとって
太陽光発電所を建設してきた事業者にとって、この政策変更は既存の事業運営に対する新たなチャレンジを意味します。
蓄電池導入の必要性
蓄電池を導入していない発電所は、出力制御の対象となりやすいため、収入の安定性に対するリスクが増加します。これに対処するために、既存施設への蓄電池の導入を検討する必要があります。
事業モデルの転換
従来の発電のみの事業モデルから、蓄電池を組み合わせた新しいモデルへの転換が求められる可能性があります。これには、追加の投資や技術的な適応が必要となります。
競争力の強化
新規参入者が増加する中で、既存の事業者は技術的優位性や運営効率を高めることで競争力を維持することが求められます。
太陽光発電事業に参入しようとする事業者にとって
新たに太陽光発電事業に参入しようとする事業者にとって、今回の政策変更は大きな機会を提供します。
収入の安定
蓄電池を併用することで、出力制御の対象外となり、安定した収入が見込めます。これは新規参入の大きな後押しとなるでしょう。
政策の恩恵
蓄電池を活用する事業者が優遇されるため、初期投資は増加するものの、長期的には有利な条件での事業運営が可能です。
市場競争力の向上
再生エネ市場での競争力を高めるためには、蓄電池の導入が鍵となります。これにより、他の再エネ発電事業者との差別化を図れます。
FIP制度の説明
FIP(フィードインプレミアム)制度は、再生可能エネルギーの発電事業者に対して、市場価格にプレミアムを上乗せした価格で電力を販売することを保証する仕組みです。これにより、事業者は市場価格の変動リスクを抑えつつ、安定した収入を確保できます。FIT(フィードインタリフ)制度とは異なり、市場の需給バランスに応じた価格で取引が行われるため、電力市場の効率的な運用を促進します。
この制度は、再生可能エネルギーの普及と電力市場の効率化を同時に進めることを目的としています。市場価格が反映されるため、発電事業者は市場の需給バランスを考慮した発電が求められ、過剰な発電が抑制され、電力の効率的な利用が促進されます。また、市場価格にプレミアムが上乗せされるため、発電事業者は一定の収入を確保でき、投資リスクが軽減されます。
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蓄電池使う事業者優遇 政府、再エネ電力余剰の廃棄防ぐ - 日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO82589890W4A800C2MM8000/