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政府の蓄電池優遇政策について?中小企業への影響と課題とは



はじめに


2025年から、経済産業省は再生可能エネルギーの利用拡大と経済安全保障の強化を目的に、国産蓄電池を優遇する新しい入札制度を導入します。これは、現在日本が中国をはじめとする海外製蓄電池に依存している状況を是正し、国内製品の普及を促進するための重要な施策です。以下に、この政策の詳細とその影響について説明します。

政策の背景と目的

政府は、再生可能エネルギーの安定的な利用には蓄電池が不可欠と考えています。太陽光や風力などの再生可能エネルギーは、天候や時間帯により発電量が大きく変動しますが、蓄電池を活用することで、これらのエネルギーを効率的に蓄え、必要な時に安定的に供給することが可能になります。これにより、電力の安定供給を図るとともに、経済安全保障の強化を目指しています。

新しい入札要件の内容

この新しい制度では、国産蓄電池の優遇策として、蓄電池が故障した際に迅速な修理が可能となるよう、国内に修理拠点を持つことが入札の条件となります。主要な部品である電池セルやパワーコンディショナーの代替品を迅速に供給できる体制が求められ、これによりパナソニックや京セラといった国内企業が有利になることが期待されています。

一方で、国外メーカーも国内に迅速な対応体制を整えていれば入札に参加可能ですが、対応が遅れた場合は入札対象から外れるリスクがあります。これにより、国内製品の普及を図るとともに、国外依存のリスクを軽減する狙いがあります。

中小企業への影響と課題

この政策は大企業にとっては対応可能かもしれませんが、中小企業にとっては大きな負担となる可能性があります。修理拠点の設置や迅速な部品供給体制の整備には、相当な資金やリソースが必要であり、中小企業にとってはハードルが高いかもしれません。特に、国内市場における小規模な蓄電池を扱う企業にとっては、この優遇措置の恩恵を享受するのは難しいと考えられます。

家庭用蓄電池への影響

また、現時点で家庭用の蓄電池に対する直接的な優遇策が示されていないことも課題です。再生可能エネルギーの普及には、家庭用蓄電池の導入も重要な要素ですが、これに対する支援策が不十分であると、国民全体のエネルギーシフトが進みにくくなる可能性があります。

結論

脱炭素社会の実現に向けた政府の大規模な取り組みは重要ですが、中小企業や家庭用蓄電池市場への支援が不足していることは、全体的な政策効果を減じる恐れがあります。国産品を優遇することで国際競争力が低下しないよう、また、国民負担が増加しないように、中小企業への具体的な支援策や家庭向けの支援拡充も合わせて検討されるべきです。政府の政策がより多くの層に恩恵をもたらすよう、さらなる取り組みが期待されます。

#脱炭素 #再生可能エネルギー #蓄電池 #中小企業支援 #経済安全保障

再生エネ向け蓄電池入札、国産を「優遇」:日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO82710060Z00C24A8EA3000/

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