新電力にとっての容量市場値上げ問題不公平感と解決に向けた提言
1. 概要
2024年4月から開始された容量市場制度により、小売電気事業者は容量拠出金の支払い義務を負いました。この負担は電気料金値上げにつながり、特に新電力にとっては大きな打撃となっています。一方、大手電力は価格転嫁を行っていないため、新電力間で不公平感が広がっています。
2. 問題点
新電力の3割が値上げ、4割が据え置き
値上げ幅は各社で異なるものの、平均的な負担額は1kWhあたり3円程度と見込まれています。
値上げを実施していない新電力は、経営努力で吸収している状況です。
大手電力は価格転嫁せず
大手電力は、容量市場で受け取った容量確保金と卸電力価格の値引き交渉で相殺しているため、電気料金値上げを行っていません。
この状況は、電力・ガス取引監視等委員会から「内外無差別」の観点から問題視されています。
新電力は値引き交渉が困難
大手電力と相対取引している新電力であっても、値引き交渉は容易ではありません。
規模の小さい新電力ほど、交渉力も弱く、値引きを引き出せないケースが多いようです。
容量市場の本来の趣旨とは異なる
容量市場は、発電設備の固定費を賄うための制度であり、小売競争に影響を与えるものではありません。
しかし、現状では、大手電力と新電力間で不公平が生じています。
3. 解決に向けた提言
電力・ガス取引監視等委員会による監視強化
大手電力の容量確保金の扱い、及び新電力との既存契約の見直し状況について、厳しく監視を行う必要があります。
エネ庁による制度・市場運営の見直し
小売市場への容量市場の影響を精査し、必要に応じて制度改正を行うべきです。
特に、新電力の負担軽減に向けた措置を検討する必要があります。
新電力による情報提供
容量拠出金の影響や不公平感に関する情報を、監視委員会やエネ庁に積極的に提供する必要があります。
4. 今後の展望
容量市場は、電力安定供給のために必要な制度ですが、現状では新電力にとって大きな負担となっています。関係各所が協力し、公平性のある制度運営を目指していくことが重要です。
5. 参考情報
【日経エネルギーより】新電力の3分の1が「容量市場値上げ」、大手電力はなぜ価格転嫁しないのか?
! #エネルギー #新電力 #電力自由化
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02421/062500048/?n_cid=nbpnxt_twbn