見出し画像

再エネの余剰電力を水素転換で無駄なく活用!脱炭素社会へ。

脱炭素社会を実現するためには、再生可能エネルギー(再エネ)を効率的に活用することが不可欠です。現在、日本では再エネの発電が一時的に停止される「出力制御」が増えており、これは電力の需給バランスを保つために必要な措置です。しかし、この出力制御により再エネの無駄が生じている状況です。この問題に対する解決策として、東電が進める「水素転換」と「蓄電池の普及」が注目されています。

水素転換の取り組み

水素の製造と保存技術
東京電力ホールディングス(HD)は、再エネによる余剰電力を用いて水素を製造・保存する技術の開発に着手しました。この技術は、水を電気分解して水素を生成し、特殊な合金を用いて水素を保存するものです。具体的には、山梨県にて小型プラントを設置し、そこで製造された水素を車両で運ぶことが可能です。このプラントは、1時間で燃料電池自動車2台分の水素を製造する能力を持ち、水素を天然ガスの代わりに熱や蒸気に変換して利用します。

コストと事業化の可能性
東電はこの技術の事業化を目指し、装置の販売と保守をセットにして提供する計画です。日本国内で10万件の導入余地があると試算しており、電力が余る時間帯に安価に水素を製造することでコスト削減を図ります。

蓄電池の普及と活用

蓄電池の役割
蓄電池は再エネの変動に対応し、電力を安定供給するための重要な技術です。2022年の電気事業法改正により、蓄電池を送電線に直接接続して充放電する事業が可能となり、多くの企業がこの分野に参入しています。これにより、再エネの出力制御を減らし、余剰電力を有効に利用することが期待されています。

企業の取り組み
東京ガスやレノバ、東電などの企業が蓄電池事業に参入し、国内で計画されている蓄電容量は急増しています。スタートアップ企業のパワーエックスは、投資家を募り蓄電池を利用した蓄電所を建設し、AIを用いて運用しています。このような取り組みにより、蓄電所の開発コストをカバーしながら、長期的な利回りを見込んでいます。

今後の課題と展望

送電網の強化と制度改革
国は再エネの普及をさらに推進するために、全国の送電網の強化に最大7兆円を投じる計画です。この計画により、再エネが全電源の50%に達しても出力制御の割合を10%台に抑えられると期待されています。しかし、送電網の整備には時間がかかるため、都市圏での電力受け入れ能力の向上も課題です。

デマンドレスポンス(DR)の推進
消費者側でも、電力の需給バランスを調整するデマンドレスポンス(DR)が求められています。中部電力や北陸電力などの企業が、電気が余る時間帯に消費を増やす消費者にポイント還元するサービスを始めています。

欧州の取り組みと比較
欧州では、再エネの活用をさらに進めるために、電力市場に「マイナス価格」を導入し、電気が余ると生産者が買い手にお金を支払う仕組みを採用しています。原発も出力を調整するなど、柔軟な対応が取られています。

日本も同様に、あらゆる手段を総動員して再エネの利用を最大化し、脱炭素社会の実現を目指す必要があります。再エネの出力制御を抑えることは、気候変動対策としても重要な課題です。

#脱炭素 #再生可能エネルギー #水素転換 #東電 #サステナビリティ

【日経より】再エネ捨てずに水素転換 東電、余剰電気で製造・保存 蓄電池ファンド組成も活況 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO81671770W4A620C2TB3000/

いいなと思ったら応援しよう!