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系統連系と採算性の課題に迫る!外資参入で進化する日本の洋上風力発電市場


洋上風力発電への外資参入と系統連系の課題

1. はじめに

日本の洋上風力発電市場において、外資系企業の本格参入が進んでいます。ドイツのエネルギー大手RWEが人員を倍増し、デンマークの風車メーカーであるベスタスが日本企業との部品調達で連携を拡大しています。この動きは、洋上風力の開発や運営において、外資の豊富な知見を活用し、サプライチェーンの強化を図るものです。しかし、外資の参入によって市場が活性化する一方で、日本の電力系統との連携や採算性の課題が浮き彫りになっています。ここでは、外資参入の現状と共に、系統連系に関する課題について詳しく考察します。

2. 外資参入の現状とその影響

RWEは2024年末までに、日本拠点の人員を倍増する計画を発表しました。同社は日本市場での事業拡大を目指し、三井物産や大阪ガスと組んで新潟県沖の洋上風力発電事業権を確保しました。また、スペインのイベルドローラも日本市場において人員拡充を検討しており、秋田県の海域においてENEOSホールディングスや東北電力と共に事業権を獲得しています。

こうした外資の参入は、日本の洋上風力発電市場にとってプラスの影響を与えると考えられます。特に、開発から運転、廃止までの長期的なサイクルを回すためには、地域での保守人材の確保や修理部品の製造・調達が不可欠です。外資の豊富な知見があれば、地域の供給網の形成や事業の安定性、開発のスピードが向上する可能性があります。

3. 系統連系の重要性と課題

洋上風力発電の成功には、発電した電力を安定的に送電網に接続する「系統連系」の強化が不可欠です。しかし、日本の電力系統はその容量やインフラの整備において、いくつかの課題を抱えています。

まず、日本の送電網の容量不足が挙げられます。特に地方に設置される洋上風力発電所から都市部への電力供給は、既存の送電インフラでは対応が難しいケースが多いです。これは、洋上風力発電の開発が進むにつれて、電力供給の安定性を確保するための課題として浮上してきます。送電容量の不足は、発電した電力を有効に利用できないという問題を引き起こし、発電事業者にとっても収益の減少に繋がる可能性があります。

また、送電網の強化には巨額の投資が必要であり、これが進まないと、外資系企業も採算性の低下を理由に撤退するリスクがあります。例えば、台湾では国産化基準や資源高騰が原因で採算が悪化し、外資の撤退や開発の遅れが相次ぎました。同様の事態が日本でも起こりうる可能性があるため、送電網の整備は急務です。

4. 公募と採算性の課題

公募による入札価格の低下も、洋上風力発電事業の採算性に大きな影響を与えています。第2弾の公募では、入札の上限価格を大幅に下回る1キロワット時「3円」を提示した企業連合が相次ぎました。これは、入札時の評価で満点を得るための措置であったとされていますが、実際の発電コストを考慮すると、採算性が厳しい状況に陥る可能性があります。英国では、当初の価格で事業者が応札せず、入札上限価格を大幅に引き上げた事例もある中で、日本では対照的な結果が出ています。

もし採算性が見合わない場合、外資系企業は日本市場からの撤退を検討するかもしれません。そうなれば、洋上風力発電の導入計画自体が大幅に遅れる可能性があります。

5. 系統連系の強化に向けた提言

系統連系の強化に向けて、日本政府や関連機関は以下の施策を検討する必要があります。

  • 送電容量の増強
    地方から都市部への電力供給をスムーズに行うための送電網の拡充が必要です。これには、新たな送電ルートの確保や、既存インフラの改良が含まれます。

  • 規制緩和
    洋上風力発電の拡大を阻害する要因となっている規制を見直し、外資系企業が参入しやすい環境を整えることが求められます。

  • コスト削減策の導入
    部品調達やメンテナンスコストの削減を図るため、日本企業との連携を強化し、サプライチェーンを整備する必要があります。

6. 結論

洋上風力発電は、日本の再生可能エネルギー政策の重要な柱となっています。外資系企業の参入によって、技術や知見が導入されることは大きなメリットですが、その一方で、系統連系や採算性の課題が浮き彫りになっています。これらの課題を克服するためには、政府、電力会社、そして外資系企業が一丸となって取り組むことが求められます。特に系統連系の強化は、今後の洋上風力発電の発展において、避けては通れない重要なテーマです。

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洋上風力、外資が本格参入 RWEが人員2倍/ベスタス、部品調達で連携  - 日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO82991130T20C24A8TB0000/

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