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マイクログリッドを構築するために重要なポイント

近年、再生可能エネルギーの導入が進む中で、地域のエネルギー自給率を高め、災害時にも安定した電力供給を実現するための「マイクログリッド」が注目を集めています。特に、日本の多くの地方都市では、台風や地震などの自然災害に対する強靭なエネルギー基盤が求められています。本稿では、北海道松前町でのマイクログリッド導入事例を通じて、マイクログリッドを構築するために重要なポイントを詳しく解説します。松前町の取り組みは、地域の特性を活かしながら、経済性と災害対策の両立を図る先進的なモデルケースとなっています。以下に、松前町での具体的な事例を交えながら、マイクログリッド構築の重要ポイントを紹介します。

1. 再生可能エネルギーと蓄電池の導入

再生可能エネルギー
マイクログリッドの主なエネルギー源は再生可能エネルギー(風力発電、太陽光発電など)です。これは、地球環境に優しいエネルギー供給を実現するために不可欠です。
例として、松前町の「リエネ松前風力発電所」があり、36MWの出力を持つ風力設備が設置されています。

蓄電池
大規模な蓄電池の導入は、風力や太陽光のような不安定な再生可能エネルギーの出力を安定させるために重要です。松前町では、130MWhの容量を持つ蓄電池が設置されています。これにより、停電時でも最低48時間の電力供給が可能となります。

2. 既存の配電インフラの活用

新たに配電線を敷設するのではなく、既存の配電網を利用することでコストを大幅に削減できます。松前町では、北海道電力ネットワークの既存の高圧配電線を利用しています。これにより、新しい配電線の敷設にかかる費用(億円単位)を避けられました。

3. エネルギー管理システム(EMS)の導入

EMSは、需給バランスをリアルタイムで監視し、風力発電、蓄電池、ディーゼル発電機などのエネルギー源を効果的に管理するために必要です。EMSが導入されることで、電力の品質を維持しつつ、効率的な電力供給が可能となります。

4. ディーゼル発電機の設置

再生可能エネルギーと蓄電池だけでは瞬時の負荷変動に対応しきれない場合があります。これを補完するために、ディーゼル発電機を設置することが重要です。松前町では320kWのディーゼル発電機が設置され、停電時の初期対応や平常時のベース電源として活用されています。

5. 協力体制と役割分担

マイクログリッドの運用には、自治体、電力会社、再生可能エネルギー事業者など複数の主体が協力し、明確な役割分担をすることが重要です。松前町の場合、松前町、東急不動産、北電ネットワークなどが連携し、適切な協力体制を構築しています。

6. 経済的支援と補助金

マイクログリッドの構築には多大な初期投資が必要です。これを実現するためには、政府や公共機関からの補助金や経済的支援が欠かせません。松前町のプロジェクトも経済産業省の補助金を活用しています。

7. 維持管理と訓練

マイクログリッドの長期的な運用を確実にするためには、定期的なメンテナンスと、非常時を想定した訓練が重要です。松前町では、機器の誤操作防止や指示系統の徹底を図るため、年に一度の訓練が計画されています。

結論

松前町のマイクログリッドプロジェクトは、再生可能エネルギーの利用、既存インフラの活用、EMSの導入、ディーゼル発電機の補完、協力体制の構築、経済的支援、維持管理と訓練など、複数の重要な要素が組み合わさって成功しています。
これらのポイントをしっかりと押さえることで、他の地域でも同様のマイクログリッド構築が可能となります。


#マイクログリッド #再生可能エネルギー #地域防災 #蓄電池  #エネルギー管理システム (EMS)


北海道松前町にマイクログリッド稼働、停電時に再エネ電力を供給 https://project.nikkeibp.co.jp/ms/atcl/19/feature/00024/00056/?ST=msb&n_cid=nbptec_tectw

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