山梨から始まる「百年ソーラー構想」に注目して
2024年11月11日、山梨中央銀行やヒラソル・エナジーが取り組む太陽光パネル再生・発電所集約の取り組みが改めて話題となっています。FIT(固定価格買取制度)の終了後、全国的に課題となっている中小規模の太陽光発電所の持続可能性。この「百年ソーラー構想」は、それらを集約し、長期的な価値を確保しようという大胆なビジョンです。私自身、この構想には大いに共感しますが、「現実的にどれだけ進んでいるのか?」という疑問も感じています。この記事では、構想の概要や取り組み状況、そして課題について掘り下げてみたいと思います。
百年ソーラー構想とは何か
1. 中小規模太陽光発電所の課題解決を目指す
日本国内の太陽光発電所の約75%が中小規模(10kW~2000kW)であり、多くがFITに依存して運営されています。しかし、FIT終了後は売電価格が32円/kWhから8~10円/kWhに激減し、採算が取れなくなる問題が顕在化しています。この結果、発電所の放棄や廃棄が増加する懸念が高まっています。
2. 3つの特徴で解決を図る
百年ソーラー構想では、中小規模発電所を地域単位で集約し、以下の3つの特徴で課題解決を図ります:
地域共生:発電所を地域自治体や需要家と連携して管理することで、地産地消の仕組みを構築。
運営効率化:管理・修繕を専門業者に委託し、スケールメリットを活かしてコストを削減。
設備活用促進:FIT終了を待たずに設備を更新・改良し、長期運転を目指す。必要に応じて蓄電池併設やFIP(市場連動型制度)に移行します。
山梨県での初期成果
1. 「百年ソーラー山梨株式会社」の設立
2023年、ヒラソル・エナジーは山梨中央銀行や山梨県企業局、三菱UFJ信託銀行と共同出資し、「百年ソーラー山梨株式会社」を設立しました。2023年中に山梨県内で1MW分の中小規模発電所を集約し、設備更新や効率化を進めています。この取り組みは、FIT終了後の課題に対応する具体的な一歩として評価されています。
2. デジタル技術を活用した運用管理
同社では、衛星データやスマートメーターを活用した「ぷらマネ🄬ウェブ」を導入。これにより、発電所ごとの発電量や設備状態をリアルタイムで監視し、効率的な運用を実現しています。例えば、期待発電量と実績の差異を分析し、発電量低下の原因を特定する仕組みが導入されています。
構想の現状と課題
1. 現状の進捗は?
2023年に山梨県内で1MWの集約を実現し、さらにFIT終了後を見据えた設備更新を進めている点は評価できます。しかし、2024年度目標の10MW、さらには2027年度目標の100MWに向けた進捗は、詳細が公表されておらず、その進み具合が見えにくいのが実情です。
2. 全国展開のハードル
百年ソーラー構想では、2024~26年に全国展開を計画しており、九州や東北、北関東、関西エリアでの事業拡大を目指しています。しかし、地域ごとに異なる行政手続きや市場環境、地元プレイヤーとの連携がスムーズに進むかが課題です。
3. 資金調達の壁
構想を実現するには多額の資金が必要です。ヒラソル・エナジーは将来を見越したキャッシュフローモデルを構築し、耐用年数超えのパワコン交換費用なども積立てていますが、今後の大規模展開にはさらに多様な資金源の確保が求められます。
個人的な視点 構想は進むのか?
構想そのものは非常に意義深く、地域社会や脱炭素化の促進に大きく貢献する可能性を秘めています。しかし、具体的な進捗状況や今後の拡大計画の実現性に関しては疑問が残ります。例えば、
透明性の向上
進捗や成果をより詳細に公表し、構想の現実性を示してほしい。地域連携の強化
地元プレイヤーや自治体との協力体制をさらに強固にする必要がある。
私たちにできること
百年ソーラー構想の成功は、地域の理解と協力が欠かせません。この構想が実現すれば、再エネ比率の向上や環境保全だけでなく、地域経済の活性化にも寄与します。私たちも、地元の再エネ事業に関心を持ち、時には声を上げることで、未来を作る一翼を担うことができるでしょう。
最後に
百年ソーラー構想は、日本の再エネ事業の新しいモデルとして注目されています。構想には大いに共感し、その実現を応援したいと思いますが、現実の進み具合や課題解決に向けた取り組みについても引き続き注視する必要があります。今後の展開がより具体的に見えてくることを期待しつつ、引き続きこのテーマを追っていきたいと思います。
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https://note.com/pvlabo_2020/message
山梨中央銀など、太陽光パネル再生進める 県内発電所を集約
ニッキンより
https://www.nikkinonline.com/article/228481
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