日経から読みとく、スコープ3に向けた企業の脱炭素推進の動き！再生可能エネルギーの導入と第三者保証の役割とは
はじめに
脱炭素化が急務となっている現代の企業において、特に注目されているのが「スコープ3」に関する取り組みです。スコープ3とは、企業の直接的な事業活動だけでなく、サプライチェーン全体を含む温室効果ガスの排出量を指します。これに対する対応が、今後の企業の持続可能性において重要な要素となっています。本記事では、最近の企業の取り組みを通じて、スコープ3に対する脱炭素推進の現状と課題を詳しく見ていきます。
トヨタ紡織の再エネ導入事例
トヨタ紡織は、2023年度までに国内12工場の電力を全て再生可能エネルギーに切り替えることに成功しました。同社は、電力購入契約（PPA）の導入を通じて、2019年度比で50%のCO2排出削減を達成しています。具体的には、堤工場に太陽光パネルを設置し、その余剰電力を猿投工場に送電するというオンサイトPPAと、遠隔地からのオフサイトPPAを組み合わせた仕組みを採用しています。
この取り組みは、2030年度までにスコープ2のCO2排出分を100%削減し、2035年度にはカーボンニュートラルを達成するという目標に向けた重要なステップです。また、今後は子会社での導入率向上や、海外でも再エネ導入を進める予定であり、グローバルな規模での脱炭素化が進行しています。
OKIエンジニアリングの取り組みとスコープ3への対応
次に注目すべきは、OKIエンジニアリングの取り組みです。同社は、2025年度を目標としていた全事業拠点の電力を再生可能エネルギーに切り替える計画を前倒しし、2023年度中に達成しました。これにより、年間約1700トンのCO2排出量を削減できる見込みです。
特筆すべきは、OKIエンジニアリングが顧客企業からのCO2排出量開示要求に応えるため、この取り組みを前倒しした点です。同社のサービスを利用することで、顧客企業はスコープ3に該当する試験評価サービスからのCO2排出を実質ゼロにすることが可能となります。これにより、企業はサプライチェーン全体での脱炭素化を進めることができます。
アスエネの第三者保証サービスとその重要性
脱炭素化において、CO2排出量の正確な算定とその信頼性を確保することが求められています。アスエネは、CO2排出量の算定サービスを手掛けており、非財務データの信頼性を担保する第三者保証を提供するため、新会社「アスエネヴェリタス」を設立しました。これにより、企業はCO2排出量データの信頼性を確保し、投資家に対して透明性を示すことが可能となります。
金融庁もサステナビリティー情報の開示や第三者保証を求めるルールづくりを進めており、今後、非財務データの信頼性確保がさらに重要視されるでしょう。企業がスコープ1やスコープ2に加えて、スコープ3にも適切に対応するためには、第三者保証の役割がますます重要になると考えられます。
スコープ3に向けた今後の展望
スコープ3に対する企業の対応は、今後ますます求められることは間違いありません。企業はサプライチェーン全体を視野に入れた脱炭素化戦略を立てる必要があり、そのためには再生可能エネルギーの導入と、正確なデータ算定・保証の両面での対応が必要です。
トヨタ紡織やOKIエンジニアリング、アスエネの取り組みは、スコープ3に向けた脱炭素推進のモデルケースとして注目されます。これらの企業が示すように、再エネの導入だけでなく、データの透明性と信頼性の確保も、今後の持続可能な経営において欠かせない要素です。
まとめ
スコープ3に対する脱炭素推進は、企業のサステナビリティを高めるために欠かせない要素となっています。トヨタ紡織やOKIエンジニアリング、アスエネのような企業の取り組みを参考にしつつ、今後はさらに多くの企業がサプライチェーン全体での脱炭素化を進めることが求められるでしょう。再生可能エネルギーの導入、第三者保証の利用など、具体的なアクションを通じて、持続可能な未来を目指していくことが期待されます。
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トヨタ紡織、国内12工場で電力の再エネ化達成 PPA活用 - 日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFD243CK0U4A720C2000000/
OKIエンジニアリング、全事業所の電力を再エネ化 計画前倒し - 日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC1515T0V10C24A8000000/
アスエネ、8億円調達で新会社 CO2排出量を第三者保証 - 日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC06DQU0W4A800C2000000/