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持続可能な未来への道!東京ガスの再エネ挑戦とその課題

はじめに

東京ガス(東ガス)は、日本のガス業界において長年リーダーシップを発揮してきましたが、近年、その地位が揺らぎつつあります。特に、大阪ガス(大ガス)に時価総額で首位の座を明け渡したことは、東ガスにとって大きなショックとなっています。この記事では、東ガスが直面する再生可能エネルギー(再エネ)への挑戦と、それに伴う課題について詳しく解説します。

再エネ投資の背景と挑戦

東ガスは、脱炭素社会の実現に向けて、再生可能エネルギーの開発を急いでいます。2023年冬には、米国テキサス州での大規模太陽光発電所が全て稼働し、最大出力が63万キロワットに達しました。この規模は米国でも最大級であり、東ガスが再エネ事業を自ら推進する重要なステップとなりました。

しかし、再エネ事業の収益化には時間がかかるため、短期的な利益が減少するリスクがあります。実際に、2024年3月期の補正経常利益は前期比2割減の1638億円となり、さらに2025年3月期には44%減の913億円が予想されています。これは過去10年平均の約1340億円を大きく下回っており、再エネへの投資が直ちに成果を上げることは難しいことを示しています。

投資効率の悪化と資産の再評価

再エネ投資は長期的に見れば重要なステップですが、短期的には東ガスの財務状況に負担をかけています。東ガスの総資産利益率(ROA)は2024年3月期で4.2%となり、2013年3月期と比較して3.8ポイント減少しています。これは、再エネへの投資が資産効率を押し下げていることを示しています。

一方で、大阪ガスは収益性と還元性の向上を実現しており、市場からの評価も高まっています。これに対して、東ガスは保有する再エネ資産の運用方針を見直す必要に迫られています。笹山晋一社長は、「再エネは資産を持たずに運用する比率を増やす」という方針を示しており、他社に任せた方が効率が良いと判断された発電所については、資産を手放し運用権のみを保有することを検討しています。

再エネ事業の収益化への取り組み

再エネ事業の収益化に向けて、東ガスは新たなビジネスモデルを模索しています。再エネはその特性上、価格変動が大きい点がビジネスチャンスになると考えられています。例えば、太陽光発電で生じた電力を蓄電池にため、電力需要が増える夜間に供給することで、より高い単価で販売する戦略が考えられます。このような取り組みを通じて、東ガスは再エネ事業の収益化を目指しています。

財務の健全化と資産の最適化

再エネ投資に伴う負債の増加も大きな課題です。東ガスの負債資本倍率(DEレシオ)は、2024年3月期末で85%と、同業他社と比較して高水準にあります。このため、東ガスは今後の資産運用を見直し、利益を生まないと判断された資産は数千億円規模で入れ替える方針を示しています。

実際に、2024年3月にはオーストラリアで保有していた液化天然ガス(LNG)権益のうち4つを約3100億円で売却し、資産の再編を進めています。これにより、東ガスは財務の健全化を図りつつ、再エネ事業への投資を持続可能な形で進める基盤を整えようとしています。

市場からの評価と今後の展望

市場関係者の間では、東ガスが脱炭素社会に向けた取り組みを進める中で、短期的な利益を確保しつつ、いかにして再エネ投資を収益化するかが大きな課題とされています。大和証券の西川周作シニアアナリストは、「利益を生む脱炭素投資ができないのであれば、再エネ事業を子会社化し、資本コストを抑える方が良い」と指摘しています。

再エネへの投資が中長期的に成功するかどうかは、東ガスの将来を左右する重要な要素となるでしょう。東ガスが掲げる持続可能な社会の実現に向けた挑戦が、どのように評価され、どのような成果を上げるかが今後注目されます。

東ガスの再エネ挑戦の意義

東ガスは再エネへの積極的な取り組みによって、脱炭素社会への移行を推進していますが、その道のりは決して平坦ではありません。収益化の難しさ、財務の健全化、そして市場からの評価という複数の課題に直面しています。それでも、持続可能な社会を目指すために、東ガスは今後も挑戦を続けていく必要があります。この挑戦の行方が、同社の未来を左右するだけでなく、日本全体のエネルギー政策にも影響を与えることでしょう。

東京ガスの再エネへの挑戦は、日本のエネルギー業界における大きな変革の一端を担っています。今後の動向に注目し、同社の取り組みがどのように展開されるかを見守ることが重要です。再エネが主流となる未来に向けて、東ガスの挑戦は続いていきます。

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東ガス、変革の痛み 時価総額で業界首位陥落:日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO83150640Q4A830C2DTA000/

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