電源開発株式会社(Jパワー)と3社が共同で「環境価値プラットフォーム」の開発に着手
2025年1月6日、電源開発株式会社(Jパワー)、株式会社インダストリー・ワン、NSW株式会社、そして株式会社Scalarの4社が、再生可能エネルギーの有効活用と化石燃料削減を目指す「環境価値プラットフォーム」の共同開発を開始したと発表しました。
このプラットフォームは、再生可能エネルギーに「時間的価値」を付加することを目的とし、分散型台帳技術を活用したトラッキングシステムを構築するものです。
各社の概要と役割
1. 電源開発株式会社(Jパワー)
概要 日本国内外で火力発電、水力発電、風力発電など多様な発電事業を展開するエネルギー企業。再生可能エネルギーの普及と脱炭素化に積極的に取り組んでいます。
役割 本プロジェクトでは、再生可能エネルギー供給の実務的なノウハウと、電力市場における実績を活かし、プラットフォーム開発の基盤となる電力供給のデータや市場との連携を担います。
2. 株式会社インダストリー・ワン
概要 再生可能エネルギーを中心とした事業開発に特化する企業。特に新しいテクノロジーやビジネスモデルを活用したエネルギー関連プロジェクトに注力しています。
役割 再生可能エネルギーの価値向上に向けた戦略立案と、新規ビジネスモデルの開発をリード。特にプラットフォームの商用化に向けた市場分析やサービス設計を担当します。
3. NSW株式会社
概要 ICT(情報通信技術)ソリューションを提供する企業であり、特にシステムインテグレーションやIoT技術の活用に強みを持っています。
役割 本プロジェクトでは、トラッキングシステムの開発におけるシステム設計・構築を担当。特に時間帯ごとの電力供給データの収集・管理を実現する仕組みを構築します。
4. 株式会社Scalar
概要 分散型台帳技術(ブロックチェーン)の開発を手掛ける企業で、特に高スケーラビリティと信頼性の高いシステムを提供する技術力に定評があります。
役割 プラットフォームの中核となる分散型台帳技術を提供し、電力取引データの透明性と改ざん防止を保証する仕組みを開発します。また、再生可能エネルギーの「時間的価値」を可視化するためのデータ連携機能を構築します。
再生可能エネルギーの普及促進と効果的な活用のための背景と課題
本プロジェクトが取り組む背景には、再生可能エネルギーの供給と利用におけるいくつかの重要な課題があります。具体的には以下のような現状が開発の動機となっています。
再生可能エネルギーの供給の不安定性
再生可能エネルギー、特に太陽光発電や風力発電は、天候や気象条件に強く依存しています。このため、1日の中で安定した供給が難しく、電力需要のピークに合わせた供給ができないケースがあります。この不安定性は、化石燃料による補完が必要になる要因です。時間帯ごとのエネルギー価値の欠如
現行の再生可能エネルギー取引では、非化石証書を利用してその価値を認証しますが、これは時間帯を考慮していません。そのため、昼間に供給された太陽光発電の電力が、夜間の火力発電を代替したと証明することができません。この「時間的価値」を考慮しない仕組みでは、再生可能エネルギーが持つ真の環境価値を十分に活かしきれません。脱炭素化に向けた技術的・制度的ニーズ
日本および世界的に、CO2排出量削減や脱炭素化が求められています。これに応じるためには、時間ごとのエネルギー供給と需要を的確にマッチさせ、化石燃料の使用を減らすための技術や制度の導入が必要です。
具体的な取り組みとその意義
1. 時間的価値を付与する仕組みの開発
このプロジェクトでは、再生可能エネルギーの「時間的価値」を評価する仕組みを構築します。昼間の余剰エネルギーを蓄電池に貯蔵し、夜間の需要に合わせて供給するなど、電力の供給と需要を時間ごとに最適化します。
2. 分散型台帳技術(ブロックチェーン)の活用
トラッキングシステムには分散型台帳技術を採用し、電力供給・使用の履歴を透明かつ改ざん不可能な形で管理します。この仕組みにより、供給時間帯に応じた環境価値の証明が可能になります。
3. 国際的な基準との調和
本プロジェクトは、24/7 Carbon Free Energy (CFE) のような国際基準にも対応し、企業のCO2排出削減目標達成をサポートします。
開発に期待される効果
再生可能エネルギーの付加価値向上
時間帯ごとに供給と使用を最適化することで、再生可能エネルギーの実効的な利用が促進されます。化石燃料の削減
火力発電の補完が不要になることで、CO2排出量の削減に大きく貢献します。企業の持続可能性向上
企業が時間単位で再生可能エネルギーを使用していることを証明でき、ESG評価の向上につながります。
まとめ
「環境価値プラットフォーム」の開発は、再生可能エネルギーの供給と使用に新たな価値を加える取り組みです。この仕組みを通じて、CO2排出削減と持続可能な社会の実現に向けた大きな一歩を踏み出すことが期待されています。
皆様のご意見やご感想をぜひお聞かせください。一緒に再生可能エネルギーの未来を考え、持続可能な社会を実現していきましょう!
ニュースリリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/684723/01_202501061534.pdf
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