FIP太陽光発電所の併設型蓄電池の現状と、その詳細解説と今後の展望
FIP制度とは?
FIP制度は、再生可能エネルギーの大量導入に伴う電力系統の安定化を目的に、2022年4月から施行された制度です。従来のFIT制度(固定価格買取制度)では、電力会社が再生可能エネルギー発電事業者から一定期間、高めの価格で電力を買い取る仕組みでしたが、FIP制度では、市場価格で電力を売買し、需給バランスに応じて調整価格が支払われる仕組みになっています。
FIP再エネ併設型蓄電池とは?
FIP再エネ併設型蓄電池は、太陽光発電システムなどに蓄電池を併設し、発電した電力を貯めておくことで、電力需給のバランスを調整するものです。FIP制度では、出力制御が発生した場合(太陽光発電量が需要を上回った場合)、発電事業者は発電量を抑制する必要がありますが、その際に抑制した発電量相当の電力を蓄電池に貯めることで、調整価格を受け取る権利を獲得することができます。
EPIコンサルティングとJPEAによる調査結果
EPIコンサルティング合同会社と一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)は、FIP再エネ併設型蓄電池の現状について調査を行い、2024年6月20日にプレスリリースを発表しました。調査対象は、令和4年度第2次補正予算「再生可能エネルギー電源併設型蓄電池導入支援事業」の間接補助候補3件で、九州エリアにおける2時間容量の蓄電池の収益性を分析しています。
調査結果のポイント
蓄電池コスト
諸外国と比べて併設対象の再エネ出力が小さく、蓄電池/インバータの容量が小さいことがコスト高の原因と考えられます。収益性
蓄電池の放電コストは23.7円/kWhである一方、売電単価はFIPプレミアムによって変動します。出力制御発生頻度の多い月ほどFIPプレミアムが高くなり、収入は17.9円/kWh~55.1円/kWhと大きく変動します。課題
蓄電池コストの高さ、収益性の不確実性などが課題です。
今後の展望
FIP再エネ併設型蓄電池は、電力系統の安定化に貢献できる技術として期待されていますが、課題克服に向けた取り組みが重要となります。
蓄電池コスト削減
技術革新や量産化によるコストダウンが期待されます。収益性向上
出力制御の発生頻度を予測する技術や、蓄電池の用途を多様化するなどの取り組みが必要となります。
関連情報
EPIコンサルティング合同会社プレスリリース: https://kyodonewsprwire.jp/release/202406182323
一般社団法人太陽光発電協会: https://www.jpea.gr.jp/
FIP太陽光併設型蓄電池導入のメリット
FIP太陽光併設型蓄電池導入のメリットは以下のとおりです。
電力系統の安定化
太陽光発電などの再生可能エネルギーは、天候によって発電量が大きく変動するため、電力系統の安定化が課題となっています。蓄電池を併設することで、発電量のピークシフトが可能となり、電力系統の安定化に貢献できます。自家消費拡大
発電した電力を蓄電池に貯めることで、夜間や停電時などに自家消費することができます。売電収入の向上
FIP制度では、出力制御が発生した場合でも、調整価格を受け取る権利を獲得することができます。蓄電池を併設することで、出力制御による売電収入の減少を抑制することができます。
FIP太陽光併設型蓄電池導入のデメリット
FIP太陽光併設型蓄電池導入のデメリットは以下のとおりです。
初期費用が高い
蓄電池やインバータなどの初期費用が高額です。メンテナンスが必要
蓄電池は定期的なメンテナンスが必要となります。収益性が不確実
FIPプレミアムは市場価格や調整価格によって変動するため、収益性が不確実です。
まとめ
FIP再エネ併設型蓄電池は、電力系統の安定化や自家消費拡大などに貢献できる技術として期待されていますが、課題克服に向けた取り組みが重要となります。今後は、蓄電池コストの削減や収益性の向上などが求められます。
FIP太陽光併設型蓄電池の導入を検討する際には、課題を理解した上で、メリットとデメリットを比較検討することが重要です。また、導入目的や設置環境に合わせて、最適なシステムを構築することが必要となります。
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