Puzzle Boss Rush 2 デザイン

0 まえがき

2020年12月、パズラーバ王国を襲ったパズルスタンピード。

勇気ある団員たちの叡智によって凶悪なパズルはすべて討伐され、世界は平和を取り戻した。数々の難問に挑んだ団員たちは英雄として讃えられ、その名は瞬く間に王国中に知れ渡った。キャラバンを率いた団長・副団長らの人気は絶大なものとなり、多くの薄いほ……ファンが現れたと言われている。さらには団員たちを苦しめたパズルでさえも、後の解析によってその高い芸術性が明らかとなり、多くのパズラーたちの注目の的となるのであった。

そんな中、まったく脚光を浴びることのないキャラバン団員がここにいる。彼の名を尋ねても「知らん」「わからん」「帰ってくれ」と素っ気ない答えが返ってくるばかりである。彼はパズルを討伐したわけでもなければ、当然凶悪なパズルを生み出したわけでもない。誰にも知られることもなく、ひっそりとパズルスタンピード制圧作戦に携わっていた彼の正体は、いったい誰なのか――

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そう、私です!

パズルボスラッシュ2のデザイン担当、ふーなんとかさんです。難しいパズルを解けるわけでも作れるわけでもなく、のほほんと平穏な日々を過ごしておりました。
しかし黒幕にょろっぴぃ氏に目をつけられたのが運の尽き、私はパズルボスラッシュ2という大変物騒な企画に巻き込まれてしまうのでした……というのはもちろんウソで、私から「じゃあデザイン周りであれば……」と立候補したのがことの始まりなのでした。

「デザイン」とは言っても、実際に私が担当したのは

①調査報告書(インストラクションファイル)の作成
②結果発表画像の作成
③その他臨時で必要になった画像の作成
④登場人物の命名

といった作業です。Pre-PGP(初~中級者向け競技パズル大会)や、某アイドルにちなんだ作問企画などでインストラクションファイル&問題ファイルを制作する機会が多かったので、その経験を生かせる作業の担当となったわけですね。

というわけでこの記事では①、④についてあれこれ語ってみようかと思います。デザインは本職ではないので専門的なことは特に何も話せませんが、この記事を読んだみなさんが

「今度自分で企画するときに生かしてみようかな!」
「へっ、俺ならもっと良いもの作れるから次のパズルボスラッシュ運営に参加してやるぜ。」
「ところでこの成宮由愛って誰なんだろう。」

といった感想を持っていただけたら、とっても嬉しいなあと思う次第です。

なお、本書にはパズルの要素が一切ありません! せいぜい「この調査報告書にこんなネタあったんだけど気付いた?」くらいです。まあ、パズルのことは他でたくさん語られるので大丈夫ですよね。

1 調査報告書ができるまで

(1) なぜ「調査報告書」が必要か
そもそもの話をすると、私が受けた依頼は「インストラクションファイル(ルール説明)を作成してほしい」というものでした。調査報告書のちの字すら出てきません。つまり、パズルのルールがわかるものさえあれば良かったのです。
実際、普通のインストラクションファイルを作ったとしても、パズルボスラッシュ2という企画は特に問題なく成立したでしょう。参加者はルールを読んで、難しいパズルに挑む。無事解けたら、やったー。ランキングを見て一喜一憂。次のパズルのルールが公開されたので、それを読んで……

でもこれって、何だか味気ないですよね? そりゃあ主役はパズルそのものですが、どうせなら

「うわあ、一体これから何が起きるんだろう。」
「自分は何かすごいことをやっているのかもしれない。」

といった臨場感、没入感のようなものを感じてもらいたいものです。
ならばインストラクションファイルも、ただのルール説明ではいけないな、となるわけです。

・参加者は「人類存続キャラバン」の団員となり、凶悪なパズルに挑む。
・パズルのルールは前日に公表されるが、この世界ではなぜ前日にルールを把握することができるのか?
→それは、別の団員があらかじめ調査を行っていたからだ。
・調査した結果は、どのような手段で団員たちに伝達されるだろうか?
→紙に書いたものが団の上層部に伝えられる……つまり報告書だ!

こうしてインストラクションファイルは「調査報告書」として世に放たれることになったのです。どうでしょう、なんだかそれっぽい雰囲気が漂いそうな気がしてきませんか?

(2) 制作に使ったもの
①Keynote(プレゼンテーション作成ソフト)
「デザインってことは、Adobe Illustratorとかを使うのかな……高そう……」
いえいえ、Keynote(あるいはPowerPoint)でもそれなりのものが作れます。ちなみに私が普段大会などで作っている各種ファイルは、すべてKeynoteを使って制作しています。
手元にパソコンがあれば、いつでも誰でも作れてしまう!レッツチャレンジ!

②わずかばかりのデザインの知識
私はデザインを仕事にしているわけではなく、学校でデザインについて学んだわけでもありません。つまり、デザインについては素人同然。
さすがにこの状態でデザインの作業をするのは荷が重いので、こちらの本で軽く勉強をしています。

・坂本伸二『デザイン入門教室』(SBクリエイティブ、2015年)

デザインの基本が説明されているだけでなく、悪い例を改善する形式で良いデザインを提案していく章が充実しており、とても参考になります。

③フォント
・mojimo-manga(フォントワークス)
・DynaSmart T(DynaFont)
の2つを契約して使っています。2つ合わせて年間1万円ほど。

もちろんフリーフォントでも良いものは作れると思いますが、人気だったり実用的だったりするフォントは、他の企画ですでに使われていることが多々あります。すると参加者の方々が「あ、どっかの企画で見たことある雰囲気だな」と感じる可能性がなきにしもあらず……要するに、ウチの企画は特別なんやでというアピールをしたいわけです。

手元に数百のフォントがあると「強大な力を手に入れてしまった……俺はなんでもできる……!」と錯覚できるのでオススメです。あっそういえばそろそろ支払いの時期だなあ……

④フリー背景素材
Q. これはフリーのを使うんですか? さっきあれだけ偉そうに「特別なんやでー」ってアピールするって言ってたじゃないですか、話が違いませんか?
A. はい……

具体的には、調査報告書や結果発表画像などの背景素材です。苦難の末に団員がまとめ上げた調査報告書が、真っ白な紙にしたためられているのは違和感がありますので。

(3) 制作過程を見てみよう
必要なものが一通り揃ったところで、具体的にどんなふうに調査報告書が作られていったのか、「Day2 Heyawake」の調査報告書を例に挙げて説明していきましょう。

1.Heyawake_調査報告書1枚目

2.Heyawake_調査報告書2枚目

⓪全体の構成・使用するフォント
開催期間が9日間なので、作る必要がある調査報告書は9つ。もし調査に赴いた団員たちが、思い思いの様式で調査報告書を作ったとしたら……はい、面倒ですね。
なので「パズラーバ王国が調査報告書の様式をあらかじめ作っておいた」ということにしてしまいましょう。これはこれで雰囲気が出てきていい感じな気もします。

テンプレートができたら、次はフォントをどうするか。ここがなかなか苦労したポイントです。フォントはあまりたくさん使いたくないので、メインで使うフォントを2つ・見出し用などにもう1つ用意することにします。

この頃にはすでにすいそ氏によるシナリオ・kattun氏によるオープニングムービーのプロトタイプが出来上がっていて、舞台となる世界観がだいたい固まっていました。中世的、剣(鉛筆)と盾(消しゴム)で泥臭く戦う、知ってるものだと進撃の巨人みたいな感じ……ふむふむ。じゃあそんな雰囲気のフォントを選べばいいなと思ったのですが、先で紹介したmojimo-mangaとDynaSmart Tには、それに近いフォントがなかなか無い! 困った!

明朝体が合いそうな気がしますが、普通の明朝体だとでっかいロボットが奮闘する未来的なイメージが先行してしまいます。そこで見つけたのが、mojimo-manga収録の「FOT-筑紫アンティークL明朝 Std」。

3.フォント紹介1

おお、これはいい感じで古臭さが出ているぞ。採用です。官民でいえば「官」が使いそうな文字ですね。

では「民」のほうはどうするか。よく見ると「FOT-筑紫アンティークL明朝 Std」の近くに「FOT-筑紫A丸ゴシック Std」というフォントがいます。

4.フォント紹介2

「調査団員が手書きでしたためた文字」というイメージがまずあったのですが、他の手書き系フォントはどうも軽すぎる印象があります。

5.フォント紹介3

「FOT-筑紫A丸ゴシック Std」はその点、良いバランスを持っています。同じ「筑紫」なので、もう一方のフォントと一緒に使っても違和感がありません。これにしましょう。

最後に見出し用のフォントを。結局、調査報告書の見出しにしか使われませんでしたが「DFP欧陽詢体」というフォントを用意しました。

6.フォント紹介4

感覚で選んだフォントですが、これで漢字をズラッと並べるとなかなか物々しい雰囲気が出ます。

①冒頭のテンプレ部分
「王国が用意した様式」という設定にしたので、堅苦しい感じにしていきます。見出しがあって、パズル名を書く欄をポンと。「以下の通り報告する」と文面を添えれば……なんて仕事チック。
報告書なので、報告者も勝手に用意してしまえ! 報告書の匂いがぷんぷん漂ってきます。報告者の名前については次の章で。名前もそれっぽくないとダメですからね。

②報告者のひとこと
「報告書」なので、ただルールを書いただけでは味気ないですね。職場の書類にも(ちゃんと考えて書く割にはなかなか読んでくれない)季節のご挨拶があるものです。
パズラーバ王国の民は優秀なので、ちゃんと意味のある文章を書いてくれます。パズルの特徴を端的に表す文章をここに書くことにしましょう。注意事項もここに書いておけば、広報と雰囲気作りを一挙に行うことができてお得ですね。

ちなみに序盤は「(普通のパズルと違って)こんなルールがある」という点のみを強調しましたが、中盤からはパズルの特徴(サイズや解き方)もここで明かしています。

Day4 Light and Shadowでは「理詰めが通用しない」と書いていましたね。あれは「何も情報がないと、なんとしても理詰めで進めようとして挫折してしまう団員が多く現れそう。なので、最初から理詰めを放棄してもらおう!」という親切心(?)からだったはずです。Twitterでもちゃんと見てくれていたようで、一安心。

Day5 Shikakuの「でかい」「怖い」は完全に私の独断です。これを見て「どれだけ巨大な盤面が登場するんだ……」と怯える団員をたくさん目撃することができました。わあい。

Day7 Skeletonはかなり本質に迫ることを書きました(これは独断ではないです)。あえて「2つの顔」と書くことで「ただ第2形態があるわけではない、何か仕掛けがあるはずだ」と気付く団員が現れるのではないか……と期待を込めていました。実際、この仕掛けに早期に気づいた団員は数名いたようですね。お見事。
「影の色」が初日は黒っぽく、次の日が白っぽいというのもポイントです。黒っぽいのはなぜ? それはリストの文字がたくさんあるから。では次の日に見た影が白っぽかったのは……さて、このネタに気付いていた団員はいるのでしょうか。いたらいいなあ。

③ルール
大変ありがたいことに、ルール文は作問担当の方にすべて用意していただきました。ありがとうございます。
なのでコピペで……いやいや、油断禁物。ルールに不備が無いか(こちらは大体作問班でチェックされていますが)、またルール文がわかりづらくないか確認します。
その点一番苦労したのはDay8 Boxed Upでしょうか。難しさが華とはいえ、ルール文は読解しやすいものでないといけません。何度も作者の謎垢氏に確認、確認……そのたびに素早く反応してくださった謎垢氏に感謝です。

④例題・アンサーキー
ここは特に語ることはなさそうです。例題制作は作問班でこなしていただいたので、それをぺたり。
そういえば、Day7 Skeletonの例題に見覚えがある団員がたくさんいたような……? これはここで明かすのはやめておきましょうか。ところで初代パズルボスラッシュにスケルトンがいましたね!

と、こんな感じで調査報告書を作っておりました。途中からはだいぶ遊びながら作ったので「本当にこんなんでいいのかな……」と不安になりながらチェック依頼をかけていました。なお、まったく問題なかったようです。

(4) 特殊な調査報告書たち
ほとんどの調査報告書は、分量などに差こそあれ同じような流れで作られています。しかし、中にはこの型に当てはまらない、またはちょっと変わった事情で作られた調査報告書がいくつかあります。

①Day3 Loop Rush
この調査報告書のみ「すでに調査を済ませた(ということになっている)情報を、第三者から提供してもらう」という形式になっていますね。これは当初からそうしようと決めていたわけではありません。

なんと、私がインスト作成に取り掛かるよりも遥かに早く、作問者である広瀬あつみ氏によって素敵なインストが用意されていたのです。ブラボー! しかし調査報告書のテンプレートに当てはめることができない!
「せっかく作っていただいたので」というのもありますが、何よりこの「こんにちは!広瀬あつみです!どうぞよろしくお願いします!」感が溢れるインストはぜひそのままの形で世に送り出したい……ということで、このような「エミリ=シャスト(Emiri Shasuto)氏による提供形式」となったわけであります。

②Day4 Light and Shadow
この調査報告書だけ、文体が明らかに異なります。他は「だ・である」なのに対し、こちらは「です・ます」調になっていますね。一体どうしてでしょうか?
報告者はユミル=メヤーナさん。ここに理由があります。どうやらこの団員は絵を描くのが上手で、銀色のショートヘアーが美しい、若い女性のようです。ユミルさんはとても心優しい団員で、大きな湖のそばに住んでいて……答えは次の章にて。

③Day6 Instructionless
ホラーな調査報告書です。団長に一体何があったのでしょうか。
そもそもどうしてこんな調査報告書が作られたのかというと

「ブルート団長がいろいろやらかしていたので、実は団長は裏切り者なのでは」

という、とある団員によるストーリー考察を目撃したからです。じゃあ試しに団長をちょっと酷い目に遭わせたれ、とネタのつもりで作ったら、案外ウケが良かったのでそのまま採用となったのです。本当に良かったんですかあれ。

念のため団長&I.L.調査団に実際に何が起きていたのかを書くと

・ブルート団長がI.L.調査団を派遣する。
・I.L.調査団の調査がなかなかうまくいかない。
・調査の進捗が芳しくなく、ブルート団長に焦りが見える(クラーケン=ブロッサムによる「イライラしている」とはこのこと)。苦肉の策で、団員を追加で派遣する。
・相変わらずI.L.調査団による調査は難航。精神に異常をきたす団員が続出する。真に必要なのは団員の量ではなく質であり、現状ではどうにもならない。もはやブルート団長による決死の総当たり作戦に頼るほかなく、無理矢理ブルート団長を現場に呼び寄せた。

となります。調査報告書の「とけね うま」は、おそらく一部の団員がインストラクションレスのパズル盤面をむしゃむしゃ食べていたのでしょう……。

ちなみに「とけね うま」のフォントは「DFPれんれん体AW4」、その上の「とけねーよ」は某水曜日でお馴染み「DFPクラフト墨W9」です。

2 もうひとつの主役、人類存続キャラバン団員の「名前」

パズルボスラッシュ2にはさまざまな人物が登場しました。主に広報を行った団長&副団長、調査報告書の報告者。彼らの名前は、実は多くが私が決めたものなのです。登場人物をズラッと並べて、彼らの名前について語っていきましょうか。

・ブルート=エヴォルス
団長です。「ブルート」は「Brute Force(総当たり)」のBrute、つまり脳筋ゴリ押しスタイルのパズラーです。彼の決死の総当たりがなければ、Instructionlessは攻略不可能でした。あれ総当たりで導いたんですかマジですか。
では「エヴォルス」は? 気付いていた方もぼちぼちいたようです。そう、「solve(解く)」のアナグラムです。結局総当たりスタイル。
ちなみに「団長には脳筋であってほしい」という意見が先にあり、にょろっぴぃ氏によれば「(名前が決まらず)このままだとマッスル・ミートとかになってしまう」ところだったようです。

・クラーケン=ブロッサム
副団長です。こちらはにょろっぴぃ氏による命名です。クラーケンは「Kraken(海の怪物)」、ブロッサムは「Blossom(花)」。一体パズルにどんな関係が?
答えは「数独の手筋の名前」。それも、普段街で見かける数独では絶対に使われないであろう、超高度な技です。クラーケンは「Kraken Fish」、ブロッサムは「Death Blossom」。どんな手筋なのか気になる方はこちらをどうぞ。
→ http://hodoku.sourceforge.net/en/techniques.php

・ヤージュ=リンドバーグ
Day1 Fusion Yajilinの報告者です。特に説明をするまでもなく、ヤジリンっぽい名前です。
ちなみに「ヤージュ」と名前をつけた直後に『ボンボとヤージュ』という絵本があることを知りました。ヤージュはBon voyage(フランス語で「良き旅を」)のヤージュ、つまりこの先の道中の無事を祈る名前……おお、なんだか良い感じの名前じゃないですか。知らなかったけど。

・ジェミニ=ディビドー
Day2 Heyawakeの報告者です。「2つの盤面で答えを共有するへやわけ」なので、Gemini(双子)。これに、divide(分ける)を名前っぽくして「divide→divido→ディビドー」。

・ジェリー=ブロッサム
クラーケンの弟という設定で広報を行った人物です。こちらもにょろっぴぃ氏による命名。
由来はやはり数独の手筋名である「jellyfish」で、先ほどの「Kraken Fish」「Death Blossom」よりは簡単な手筋の模様。

・ラインハルト=クライス
Day3 Loop Rushの報告者です。実際は次項のエミリ氏がルールをまとめているので、彼はあんまり仕事をしていません。
線引き系パズルということで、線っぽい名前の「ラインハルト」。「クライス」はドイツ語で「円」を意味するKreisから取りました。

・エミリ=シャスト
Day3 Loop Rushで登場し、調査結果を団員に手渡した謎の人物です。さて、彼の名前の由来がわかった方はどのくらいいたのでしょうか。
エミリ=シャストをローマ字表記にすると「Emiri Shasuto」。これをうまく並べ替えると……?

……
………「Hirose Atsumi」!
そう、このパズルの作者でありインストラクションの作者でもある広瀬あつみ氏のアナグラムなのでした。ちょっと無理矢理感がありましたが。

・ユミル=メヤーナ
Day4 Light and Shadowの報告者です。前章で説明があった通り、ユミルの調査報告書だけ文体が「です・ます」になっていました。一体なぜでしょう?
ユミル=メヤーナを並べ替えましょう。すると……あ!「なるみやゆめ」! 成宮由愛だ!
はい、ごめんなさい。私の趣味です。アイドルマスター シンデレラガールズというゲームの登場人物です。かわいいのでよろしくね。
本来は調査報告書の叩き台を作ったときに「仮に」用意した名前だったのですが、どこかでちゃんと登場させたいという声があり。ならば成宮由愛は光と闇の両方を演じる場面があるから、一番それっぽいLight and Shadowで登場させようと決まったのです。やったね!

・ニーク=レキシカ
Day5 Shikakuの報告者です。やはりアナグラムで、そのまんま「四角に切れ」です。
ちなみにアナグラムで人名を作るときは、先に「いかにもありそうな名前」から作って、残りを無理矢理コネコネする感じで行うと良いです。たぶん。

・フローレス=アムジン
Day6 Instructionlessの報告者です。彼もまたラインハルト氏と同じく、実際は何もやっていないお気楽団員。
ひとまず「~レス」という名前は入れたいな、ということで「フローレス」。Floresと綴りますが、Flawlessと書くと「完璧な」という意味に。なんだかビーツがクロスしてゴッ!しそうな名前ですねえ。あるよな?
では「アムジン」は? 「謎」を英語でいうと……はい、enigmaですね。ではこの単語を、ひっくり返す!(某モバイル)
enigmaが「amgine」になりました。おお、これは「アムジン」と読める!
ちなみについ先日、同じ理由で命名したであろう別のアムジンさんを目撃してしまい、申し訳ない気持ちになっています……

・ケーヌワ=ルヴァン
Day7 Skeletonの報告者です。「ケーヌワ」「ルヴァン」……なんだか聞き覚えのある名前のような……?
真相を語る前に、某所で行われたある2人のやりとりを見てみましょう。

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にょろ「ご無沙汰しております。「あまりの業の深さに“”調査団“”から逃げ出し、皆に真実と闇の計画を伝えようとするも、後少しのところで““調査団””に捕らえられてしまう役やりたい(やりません)」この発言と、前回スタッフだったこともあり、調査団にけーえぬわいさんにちなむ名前を入れようと思っているのですが(ルヴァンさん?)、いかがでしょうか?」
けーえぬわい「是非!むしろ嬉しいです!ありがとうございます!名前は「ケーヌワ・ルヴァン」とかになるんですかね。ご自由に決めていただいて構いません。」

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えー!いつの間にそんなやりとりあったんですか!

ということで初代パズルボスラッシュの運営メンバー、けーえぬわい氏がまさかの調査団員として登場です。
問題はどこで登場させるかですが、そういえばけーえぬわい氏は前回シャカシャカを作っていたなあ、1日目のスケルトンから「シャカシャカ……シャカシャカ……」とあらすじで繋がっていたなあということを思い出し、ならばということでスケルトンの調査団員になっていただきました。過酷な環境での調査お疲れ様です。調査報告書の「小さなスケルトンたちがシャカシャカと音を立てながら」はもちろんこれを意識しての文です。
ちなみにDay7 Skeletonの調査報告書は、はじめは「なんだ、この辺はザコのスケルトンしかいないじゃないか。こんなの楽勝だぜ(鼻ホジ)」という構成を考えていました。しかし「けーえぬわい氏はこんな人じゃない……」と極めて真っ当な思考に至ったため、当然ボツに。すみません。

・ノワル=アルカ、ブラン=アルカ
Day8 Boxed Upの報告者です。「ノワル」「ブラン」はそれぞれフランス語でnoir(黒)とblanc(白)。複雑な黒マスルールと白マスルールが由来です。「アルカ」はラテン語のarca(蓋のついた箱)。Ark(方舟)からイメージできた団員が多かったかも? 言及をちらほら見た気がします。
なんとなくこの2人は「頭脳明晰な若き姉妹、性格は明るく奔放……」とか思っていたら、にょろっぴぃ氏がちゃんとそれっぽくセリフを考えていました。エスパーですか。

・ソード=ブロッサム、ゲータイ=ミレッツ、ミマス=ヤヨーク
ブルート団長とともに魔王城の調査にあたった団員たちです。すべてにょろっぴぃ氏による命名……ということはもうネタは分かりますね。
ソードさんは「Swordfish」という手筋で、ゲータイ=ミレッツは「井桁」「レッツミー」。突然日本っぽくなりました(どちらも株式会社ニコリによる命名の手筋)。ミマス=ヤヨークは「マスミ」「予約」ですね。商業誌の範囲とはいえなかなか難しめの手筋が多いです。
ブロッケン=レイズ(いま命名した)さんはちょっと実力が足りないのでおうちでお留守番でしょうか。残念。

3 おわりに

本当は他にも書くネタはあったはずですが、10000文字もペチペチしているうちに体力が尽きてしまいました。「プロジェクトX 結果発表を5分で作れ~コピペシステムここに誕生~」とか「緊急謝罪会見! スネークの例として7638を不正使用か」とか……

あまりにも長々と書きすぎてしまいましたが、要するに私が言いたいのは

「ネタをどんどん仕込もう! 雰囲気をどんどん醸し出そう!」

これに尽きます。楽しそうな雰囲気を出せば、参加者はワクワクできる。物々しい雰囲気を出せば、参加者は緊張感を持って企画に挑める。時折「笑い」というスパイスを混ぜてあげれば、参加者の心をより動かせる。ネタと雰囲気によって、参加者に「ああ、自分は企画に参加したんだなあ」と印象付けることができるのだと考えます。

もちろん、仕込んだネタ・雰囲気がすべて確実に伝わるとは限りません。自己満足に終わってしまうものもあることでしょう。
そしてネタと雰囲気はあくまでも隠し味、あるいは付け合わせ。メインがしっかりとしているからこそ、味がより引き立つのです。パズルボスラッシュ2は良質なパズルが勢揃いだったからこそ、多くの方々に「楽しい」「面白かった」と言っていただける企画になったということは言うまでもありません。作問班の皆様、本当にお疲れ様でした。そして、ありがとうございます。

ここ最近はTwitter上で、パズルに関するさまざまな企画が開催されています。もしこれから自分で何か開催しようかなあと考えているのなら、ぜひネタ仕込みと雰囲気作りも力を入れてみましょう。きっと、参加者の方々の心に響く企画が出来上がるはずです。

「それっぽさ」、とても大事。

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