Puzzle Boss Rush2 Day5 Shikaku
0 はじめに
こんにちは。Day5 Shikakuを担当したにょろっぴぃです。
作問の話がメインですが、全体の統括をしていた関係で、全体にかかわる話も少しします。
1 本問の出題枠について
今回のパズルボスラッシュ2ですが、前回に比べると運営の人数が多かったため、最初に役職の希望を取りました。出題が9日間で最大9問だったのに対し作問希望が11人いたため、さらに1人1問で作問希望を取りました。その結果
①ヤジリン、Loop Rush、スケルトン、Boxed upは単問希望でそのまま
②へやわけは希望者が多く、また、へやわけに強そうなメンバーが揃っていたので3人で1問
③小問希望など、他に割り振りにくかった3人で魔王城
④前回好評だったことと、作問に興味がありそうな方が多かったのでインストレスで1問
と8問を決め、残り1枠は予備枠として、新たなアイデアが出てきたりしたら埋める枠としました(前回も、8日目のインストレスは当初は予備日でした)。しかし、ボツアイデアや2問目の作問希望は特になかったため、自分が予備枠を引き取り、何かを作りそうな流れになりました。
そんな経緯だったため、本問は最後に決まった枠でした。上記の担当は10月末には決まり、魔王城のジャンルも11月上旬には決まったのに対し、本問に着手したのは11月18日。
問題の締切は11月20日(金曜日、集まりが良ければ土日まで、悪ければ月末まで延長する想定で、早めに設定していました)としていて、この時点で延長はほぼ確定だったのですが、魔王城がまだほとんど出来ていなかったことと、その他解きチェックなどが押すことを考えると本問には正直、あまり時間をかけられない状況でした。
2 他の問題との調整
また、本問は予備枠だったので、他の問題の状況を見つつ、足りないところを補完する役割を持っていました。
11月18日の時点で、他のジャンルはインストレスを除き、すべて決まっていました。全体的には黒マス系とループ系が多め(上記の通り、魔王城のジャンル決めも他より後だったため、ここでもジャンル考慮が入りました。詳細は当該記事にて)、ワードも丸1問でボリュームがありそうだったので、この3ジャンルは除外。残るは物体配置、分割、数字埋めあたりで、特に数字埋めは1問もない状況でした。また、魔王城筆頭にハイブリッドジャンルが多そうだったので、ルールが分かりやすい、シンプルな単種が良さそうかなという印象でした。
さらに、ジャンル以外の要素を見ると、この時点で問題が出来ていたのはLoop RushとLight and Shadowぐらいだったのですが、どうも全体的に難しくなりそうな匂いがしていました。Loop Rushは難易度が下がったとはいえ、前回の10 Puzzlesやプッテリアに比べると大分難しいですし、Light and Shadowは言わずもがな(私は75分かかりました)。へやわけやBoxed upは作者からしてどう考えても難しい問題が来るだろうし、スケルトンは易しいとはいえボリュームが多いらしい。易しいとするとヤジリンぐらいしかない状況でした。とすると、本問は易しめに振った方が良さそう。
そんなことを考えて、最初に考えた案が「ハニカムにょろにょろナンバー」でした。にょろにょろナンバーは、同じ数字が接しないように、ブロック内に1~n(nはそのブロックのマス数)の数字を入れるパズルで、数字埋め系に属するパズルです(インストレスの4番も参照)。変形盤面がboxed up以外になく、ハニカム盤面ならそれなりに作問経験があったので作れるかなと思ったのですが、いざ作ってみると意外と難しかったのと、何よりpenpa-editが1辺12までしか対応していなかったのが誤算でした。
1辺12でも400マスぐらいしかないので、一応ボスラッシュの1問として作るとなると、どうしても相応に重くしないといけなさそうです。イメージとしては17×17の波及効果ぐらいでしょうか。少し作ったところでどうしようか悩んでいました。
ここで、改めて他の問題を見てみました。単ジャンルはあったのですが、作者層もあってか、前回あったような、単ジャンルで画面で解けるジャイアントがなさそうなことに気づきました。ここで方針転換を決め、puzzlinkのネットワーク機能で解ける、サイズはジャイアント以上、ジャンルは数字埋め・分割・物体配置のどれかでメジャーなものという方向で作問をすることにしました。18日夜には全体グループに「現在puzzlinkの複数人参加機能で解ける問題が1問もないのですね。定番ジャンル、易しめ、黒マス・ループ以外(得意分野であれば美術館or四角に切れ)で作ろうかなと思います。」と投稿しています。
3 具体的な作問について
(1)概要
ここからコンセプトを決めるまでは早く、時間がないので慣れていないジャンルで冒険はせず、四角に切れ・ザ・ジャイアントを作ることにしました。
ニコリのジャイアントは31×45、スーパージャイアントは50×64なのですが、どちらも長方形。いつか正方形盤面を作りたいと思っていたので、今回は正方形にしました。1辺は31~64のどれかですが、易しめの枠だったので、小さめの45に。ここら辺は直感で、すぐ決めた気がします。でも、あとから振り返ると、もう少し大きくてもっと軽い感じの枠の方が良かったかなという気もします。調査報告書を見て、4倍の90×90ぐらいを想像した方もいたのではないでしょうか(笑)
(2)配置について
本問はボスラッシュの中では易しめで、puzzlinkで複数人のネットワークプレイを想定した問題、ということで、どこから解くかが分かりやすいようにメリハリをつけることにしました。複数人想定で大問であれば、ルートを見せにくくする必要はないため、シンプルに中央部が難しく、外周から解けていく構造にすれば良さそうです。中央部をスカスカにし、決まらなそうな数字ばかり配置することで、問題を開いた瞬間「中央部は最後に決まりそうだな」と誘導できるようにしました。
また、正方形盤面なので、点対称だけでなく、90度回転で重なる配置にしたいところ。何となく魔王城や、ドラクエ4の終盤のように4つの塔があって、攻略すると中央部が現れる構造が浮かびます(*1)。実際、去年のパズル・ザ・ジャイアントに掲載された美術館・ザ・スーパージャイアントが似たコンセプトだったので(*2)、同問を振り返りつつ、ボスラッシュ用にアレンジするイメージで配置を決めました。
ちなみに、本問も美術館も、最初に配置をすべて決めてから作問を始めています(美術館は微調整はあり。本問は数字の増減はありませんでした)。自分がジャイアントサイズの問題を作る時は大体2日ぐらいで一気に作り、完成後は手を加えないことが多いのですが、本問も配置を決めるまでで一晩、数字を埋める+解きチェックで一晩で、そのまま提出しています。
(3)数字埋め
外側は入口になる部分なので、複数個所から分担して解き進められるようにしました。右下や、左の17あたりが主な入口です。一方で、あまり大きな数字でどんどん決まる感じにしてしまうと大雑把というか、ボスにしては軽すぎる印象があったので、大きな数字の扱いには慎重になりました。本問では40や48といった、ジャイアントサイズの問題でもあまり見ないような数字を使っていますが(*3)、すぐには決まらず、議論を詰めると進むように作っています。
逆に中央部はすぐには決まらないように、紛れが多い数字を入れるようにしています。例外で19がありますが、これもすぐには決まらないようになっているかと思います。19,40,48あたりの挙動が決まってくると、左側から少しずつ中央が崩れていく流れを想定しています。
(4)理詰めと「引き」
四角に切れは非常にシンプルなパズルです。解き方を大雑把に言えば、パターンを考え、確実に決まるところを議論する(仮押さえ)か、試行錯誤で色々試してみて、矛盾のないパターンを探す(引く)ぐらいしかなく、掛け算以外の知識は不要なパズルです。良く言えば、初めて解くような人でも非常に解きやすいパズルですし、逆に悪く言えば、深みはあまりないパズルです。へやわけあたりとは真逆のパズルと言っていいでしょう。
本問は基本的に理詰めで作問していますが、特に中央部は、軽い先読みで試行錯誤気味の要素も入れています。また、パズルの性質上、作意以上に、試行錯誤で解く人が多いと予想されるパズルです。右下や17周辺から始めた人は気づきやすいと思いますが、本問はある意味直感に反しやすい、幅1マスの大きな数字を意識的に多めに入れています。中央部の22でハマったようなコメントを複数見ましたが、作者からすればまさにしてやったりなわけです。
4 まとめ
以上、本問の作問時に考えていたことを簡単に書いてみました。
ボスラッシュ全体からすると、本問はルールはシンプル、難易度低め、サイズ大きめという位置づけで、オーソドックスというか、直球勝負みたいな問題を目指して作った問題です。ニコリ以外でニコリ系を作る時は、尖った方向に走ることも多いのですが、本問はニコリにありそうな、でもちょっと難しい問題(*4)といったところでしょうか。当初の想定よりは若干難しくなってしまったのですが、そこは結果オーライということでご了承ください。
(*1)あーく氏より、ドラクエ6の月鏡の塔(シャドーの出現箇所)との指摘を受けたのですが、言われるとそうも見えます。4日目と5日目はサイズの傾向が真逆ということで配置したのですが、実は内容的にもつながっていたのかもしれません。
(*2)https://www.instagram.com/p/B7IGB7fgwLf/
(*3)四角に切れの単行本で20×36で63と66が入っている拙作が載っていますが、元々ニコリコム向けに作った問題だったので、例外中の例外だと思います。
(*4)かつてあったニコリコムの難問は、本問ぐらいの問題も出題されていたと思います。ニコリコムの印象で、出題前から作者と傾向を予想してきた某氏にはとにかく驚きでした。
クロスレビュー
・あーく
ある程度解いていくと一辺が1の長方形が多く現れることはなんとなく予想できましたが、それでもなお「どうせこの数字がこう伸びてくるのだろう」を裏切られるところが多かったですね。それはそれとして、にょろさんがバランスを考慮してハイブリッド役から降りるくらい今回のメンバーはパズルを魔合体させたがるのか…。危険人物の集まりであることよ。
・広瀬あつみ
解きチェックのお手伝いをする余力がなかったので、Shikakuはパズルボスラッシュ2の期間終了後にじっくり解いたのですけれども。ある程度切り進めていってもなかなか紛れを確定しきることができず、うまいつくりになっているなあ…と感心しきりでした。きりきり。
・kattun
にょろっぴぃさんの意図する通り、どこから手を付けられれば良いかがものすごくわかりやすい問題でした。前回のスリリンを彷彿とさせますね。
配置を全部決めてから作り始めたと執筆されておりましたが、配置とか見た目から入ろうとすると結構な割合で最後の調整がうまくいかなかったりすると思うんですけどね……これを1日で作ってしかも調整なしとは、作問力凄すぎです!
私もイベント終了後に解かせていただいたんですが、段々と中央に攻め込んでいける感じが楽しかったです。2回くらいハタンしたんですが、どこで間違えちゃったんだろう……?
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