PBR3 解体新書 Day3 Blokus
こんにちは。3日目のBlokusを担当しましたにょろっぴぃです。
今までと同様に全体の統括を担当した他、ハニーアイランド(home氏、saki氏との共同です)、ロゴ作成、解きチェック、広報(twitter)あたりに関わらせていただきました。
この度は、多くの皆さまにPBR3にご参加いただき、ありがとうございました。読者の皆さまが楽しんでいただけたなら何よりです。
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今回も、メンバーが決まった段階で、まずは作問の担当を決めていきました。基本的にはそれぞれの希望を元に担当を決めていくのですが、前回のパズルボスラッシュ2と同様に予備枠を1枠作り、その枠を私が引き取る形で進めていました。
この予備枠は、他の問題を見ながら、足りなそうなところを埋める枠になります。今回は出番がなさそうだったのですが、色々あって最終的に予備枠で1問作ることになりました。
この時点で初日、最終日以外の問題は大体決まっていたため、今回は単種の高難度が多めになりそうでした。比較的低難度の変化球枠ということで、機会があったら出題したいと思っていた、4色を使った問題を作ってみることにしました。結局またポリオミノかとか言わないでください。
4色を使った問題を作りたいと思った理由は、最近、世界大会の団体戦のパズルをまとめたことがきっかけです。詳細は当該記事を参照ください。
本問は団体が大きく有利になる問題ではないと思いますが、4人がそれぞれの色のペンを持って、自分の色しか書き込めないというルールを付けて解くと、また違った面白さがあると思います(世界大会の団体戦なら、この制約が付くと思います)。環境が整う方は、ぜひ4人で遊んでみて下さい。
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タイトルの通り、本問の元になったのはブロックスというボードゲームです。有名なゲームなので、遊んだことがあった方も多かったのではないでしょうか。
本問と同じく、4人がそれぞれ21個の異なるピースを持ち、20×20の盤面に順に置いていくゲームです。ピース同士はナナメに繋げないといけません。
インストラクションの時点では、ピースの一覧しか公開していなかったのですが、サイズの予想が出たり、ピースの形を含めたリストを作ってくださった方がいたり、このパズルならではの反応があって面白かったです。
https://twitter.com/ten986/status/1467401201159655428
日本ではマイナーなパズルなのですが、「Touching Pentomino」という、ペントミノ1セットを盤面に配置し、ナナメに接する部分が全て表出されているというパズルがあります。表出の●が密集している部分が入口になります。今回の問題とは異なり、試行錯誤気味に解く問題も多いです。
このパズルのルールを使えば、ブロックスのナナメ接触ルールを使いつつ、パズルに出来そうということで、同じ色がナナメに接する部分を全表出にする形で、盤面を組んでいくことにしました。
また、私自身、ブロックスはしばらく遊んでいなかったのですが、確か手元に残るピースは大体2,3個だったなと何となく記憶していました。
白マスが44個しかないとはいえ、4人で協力すれば余裕で敷き詰められるだろうと思い、とりあえずこんな感じで配置を決めていきました。
原作と同様、四隅のマスにそれぞれの色を配置し、とりあえず最初は四隅から解いていけるようにしました。
ところが、組んでいく中で、盤面に全然ピースが入らないことに気付きました。入らないというよりは、各色を繋げるためのピースが全く足りないようです。というのも、このような配置にすると、各色同士が交差する箇所が大量に発生してしまうため、必要なピースの数が増え、また、盤面自体の制約がかなり強くなってしまうようです。
ここで、盤面を一度組みなおすことにしたのですが、その時、次の3点を意識することにしました。
①通常のブロックスの盤面のように、各色の配置に偏りをつけないと、全てのピースは入れられない
敷き詰めのような特殊盤面であれば別ですが、それだとパズル性がなくなってしまうので、通常のような盤面を組んでいくことになりました。結果として、4色が交わる場所はごく一部です。
②ピースを配置するパズルというよりも、ピースを繋げるパズルであることを意識する
問題を組んでいく中で、本問のルールだと、あるピースの形を確定させることが難しく、中々決まっていかない感触を受けました。大きいサイズのピースが小さいピースのピースを包含していることもあり、特に小さいピースは1マスのピースを除き、決まりそうもありません。
それよりは、ナナメ連結ルールをメインに使って、各色のつながりを考えさせる方が、特に序盤はスムーズに行きそうです。
③序盤で使うピースが、なるべく偏らないようにする
特に使いやすいのは5マスのLやNなど、長めのピースで、これらを序盤に使ってしまうと、終盤の埋めが難しくなることが予想されたため、なるべく同じ形の使用を避けるようにしていました。
これらを踏まえて、実際の盤面を組みなおしていきました。それでも序盤に決まるところが少なかったため、記号を「〇は少なくとも1組は接することを示す(そのような場所は全て表出されている)」から〇と●の2つに変更しつつ、盤面を調整していきました。
中盤で赤いピースの数が確定しそうだなと思ったので、ピースが入る位置が一気に確定するように調整し、同様に青いピースも位置を確定させた上で、左下を残りの黄と緑で埋めていくようにしていきました。
左下部分と、それ以外に各色で数ピース確定していない部分があったので(概ね、終盤で埋まっていく部分に対応します)、調整しながら慎重に埋めていったのですが、それでも終盤の調整が難しく、中々ピースが入らない状態が続きました。ここら辺はまさにリアルブロックスです。
左上を微調整したりで、とりあえず何とかピースを埋め、あとは唯一解になるように、かつ理詰めで解けるようにヒントを調整して(と言っても、本問であとから調整できるヒントはマスの色の表出しかありません)完成です。
本問は一見ポリオミノ系パズルですが、実際には中盤まではナナメ連結がメインで、どっちかというと黒マス系パズルの方が近いパズルだと思います。最近ニコリのオモパで流行している、ナナメ連結系+ブロックの形を考えさせるパズルの一種と言ってもいいと思います。
本問のように、見慣れないルールのパズルが出てきた場合、解いていく中で色んな解き筋を考える場面が出てくると思います。作り手も同様で、とりあえずルールだけを考え、実際には盤面を組んでいく中で、考え方を「発見」していくことが多かったりします。
例えば本問では、1マスのピースの位置は、実はいきなり決まります。私も盤面を組み始めた時点では1マスのピースの性質に気付かず、作っている中で「発見」をしました。解いている中で気づいた方はどれぐらいいたでしょうか?
(気づいた旨のコメントもいただきました。難しいと思ったため、終盤の左下以外では気づかなくても解けるようにしています)
なお、上記の通り、本問は比較的序盤に出題する問題で、トップが30分ぐらいを想定していました。ところが、難易度の判断を誤り、運営で60分以内に解けた人がいなかったので、初期版から盤面を大きく変えて出題しました。
せっかくですので、初期版をここで公開します。盤面を組むのが大変だったため、解きあがりの盤面自体は初期版と修正版で変えていません。そのため、一度解いている方ならスムーズに解けると思います。
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(広瀬あつみ)
Day3のあと、twitterで「ブロックスですべてのピースを使いきってみたよ」というような画像ツイートがいくつもRTされていて、こういうモチーフのあるパズルの強みをあらためて感じたのでした。
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