外資系企業で働くことに興味がある皆さんへ:魅力とリアルな体験談
こんにちは、謎のおじさんTK(通称:謎オジ)です。 最近はAIの進化、特にText to VideoのAIの進化が気になってます。Soraだけでもすげーと思っていましたが、Luma Dream MachineやKling AI、そしてRunway Gen-3-Alphaの映像クオリティは本物と見分けが付かないくらいでその進化には目を見張ります。 映像リンクを貼っておきましたので、是非体感してみてください。
ところで今日の本題、外資系企業で働くことに興味がある皆さんへ:魅力とリアルな体験談について話していきたいと思います。 何故これを書こうと思ったか、それは大卒以後、約30年のキャリア経験のうち、21年を外資系で働き、かつ日本にいながら15年を海外にいるマネージャーにレポートしてきたという点では外資系の中でもザ・外資を長年経験をしてきた分、私ならではの伝えられることがあると思ったからです。ちなみに、外資・日系含めて9社、外資系では、営業・事業開発・マネージメント職に就き、主に外国企業の日本市場への参入と拡販を担ってきました。
今回は、外資系企業で働くことに興味を持っているけれども、不安を感じている方々に向けて、私自身の経験をもとにその魅力とリアルな体験談をお話ししたいと思います。 ちなみに、同じ外資でも働く環境は立場によっても異なります。私の場合は、営業職だったため、常に短期間で結果が求められる立場でした。そのため少し他の職種とは異なる点もあるかも知れませんが、ご了承ください。
外資系企業で働くさまざまなパターン
一言で外資系企業で働くと言っても、その形態にはさまざまなパターンがあります。
1. 日本で働く外資系企業
外資系企業が日本市場で一定の期間をかけて拡大し、現在では日本法人があり、日本の法令に基づいた雇用形態で働く場合です。この場合、日本の法令に守られ、日本の企業文化と外資系企業の文化が融合していることが多いです。
2. 本社と契約して働く外資系企業
現地採用で働く場合、あるいは現地採用され日本に派遣されたり、日本に居ながら海外本社と業務委託を締結するイメージがこれに当たります。このケースでは、海外の文化やビジネス習慣が優先され適応する必要があります。また日本から働く場合は時差もありコミュニケーションの工夫も必要です。
レポートラインの違い
外資系企業での上司が日本人か外国人かによっても状況が異なります。
1. 日本人の上司
日本語でのコミュニケーションが主体となり、日本企業の文化に近い環境で働くことができます。
2. 外国人の上司
英語でのコミュニケーションが求められ、論理的な説明や目的志向のアプローチが重要となります。これは日々のコミュニケーションのトレーニングになり、外資系企業で通用する論理的な思考とマネジメントスキルを養うことができます。 特に外資系企業の中では万国共通のコミュニケーションプロトコルやフレームワークがあるので、こうした暗黙のルールをある程度理解していないと、特に上層部との会議では厳しいと感じます。 (外資といっても英語圏とそれ以外の企業でも少し異なります。謎オジ体験だと、インド企業や中国企業などはまた違い独特のカルチャーを持っていました。この辺りは、詳しく聞きたい方は個別にお話します。)
職種による違い
1. 営業系
ロール&レスポンシビリティ、つまりその人の役割や達成するべきKPI/OKRといった明確な数値的責任/目標(セールスの場合は主に売上)が決まっています。目標の100%を超えるとプラスαのセールスインセンティブが発生します。逆に目標が未達だとインセンティブの支給額も減額となります。通常はOTE (On-target earnings)という100%達成時の給料額と、基本給(Base)およびインセンティブが設定されます。例えば 基本給:インセンティブが50:50のの場合だと 1000万円のOTEに対し、基本給が500万円、インセンティブが500万円になります。達成率が倍になるとインセンティブも倍の1000万円(あるいはアクセラレーションがかかりそれ以上)になります。 逆に、達成率が50%だとインセンティブは半分になります。このゴール達成は必達要件で、もし2x 四半期に渡り目標が未達成だとリーチがかかりPIP (Performance Improvement Plan)の提示が要求され、改善しないとリストラの対象となることがあります。
2. それ以外の職種
それ以外の職種だと、セールスインセンティブという考え方はありませんが、数値化されたKPIやOKRはどの職種でも必ずあります。つまりすべての職種がいわゆるジョブ型になっており、その人のパフォーマンスは数値的に明確化されます。ですから、どの職種においても設定されるゴールや評価方法、実際の評価結果に対して、上司だけでなく、部下も真剣になります。
初めての外資系、どう始めるのが良いか?
私のような日本で教育を受けた純粋培養日本人が初めて外資系に行く場合に、”日本で働く外資系企業” x "日本人上司"であれば、相対的に考えると一番カルチャーギャップが低いといえます。逆に”本社と契約して働く外資系企業” x "外国人上司" であれば、そのハードルは高くなります。ちなみに、私の場合は、後者の経験が長いのですが、英語が不得意で、外資ならではのルールも知らない私にとって最初は過酷な状況でした。でも結果的には何とかなりましたので乗り越えられる壁だとは思います。
どんな人が外資系に向いているのか
1. ハングリーで自分の実力で勝負したい人
日本の企業だといまだに学歴を重視する企業も多いと思いますが、特に外資系の営業職にはいろいろなバックグラウンドの優秀な方が同僚にいました。一流の営業は、数万人規模の大企業における役員層の懐へ入り込んみ、毎年数億円の案件を獲得するハンター営業が活躍していました。完全な実力主義でしたし、そうした営業は、ハングリーでハンブルで人間的な魅力もあり、自分への成長や顧客構築のための必要な投資を惜しみませんでした。(バックオフィス系は海外とのやり取りも多いのでMBAホルダーが必須のケースもあります)
2. 給料を沢山稼ぎたい
日系企業と比べると、同レベルの職種でも恐らく平均50%くらいは給料が高いと思います。またトップセールスとなると、謎オジの時代は年間、億を稼ぐ人も周囲にいました。またRSUやストックオプションなどは、日本企業と比較すると、それなりの額になるため、成長企業や、IPO前だと大きなモチベーションとなります。
3. 自分を成長させたい
ザ外資の人間は、自らキャリアやの成長ロードマップを描き、それに合わせてスキルアップをしたり、職を変えます。つまり自分のキャリアに責任を持つということです。 そういう意味ではドライな関係と感じるかもしれませんが、「会社のために犠牲になる」的な考え方はありません。 ただし、成長したい!という気持ちだけでは難しいです。外資においては基本、セルフスタートアップができる必要があります。殆どの場合はオンボードした時に、1−2時間のオリエンテーションはあっても、あとはE-ラーニングで学び自分でキャッチアップする必要があります。ジュニアであればメンターが付くとは思いますが。
4. 英語が喋れるようになりたい、論理的思考性を身につけたい
ここは、私が一番鍛えられたところかなと思います。まず、英語の実力は、恥ずかしながら外資への入社時点ではTOEIC600点ちょっとだったと記憶しています。今も決して得意ではありませんが、仕事で毎日使うようになり自然と800点を超えました。また点数以上に英語での交渉やコミュニケーションは出来る方になったと思います。これは、英語の実力というより、外資ならではのルール・プロトコロルを身につけることができためです。大事なのは論理的思考性です。 英語の文法自体がそうなのですが、結論やゴールを先に話し、それをどう達成するか、という考え方が自然と身につきました。
5. 海外の優秀な人物に出会い、素晴らしいテクノロジーに触れたい
これも長年のキャリアの中で自分がインスパイアされ、外資で働いてきて良かったと思えるポイントです。私で言えば、当時最先端の企業だったSun MicrosystemでJAVAというOSに依存しない仮想マシンを開発したジェームスゴスリンや、経営難の時に若くして社長に抜擢され、SunのすべてのIP(知的財産)をオープンソース化した経営者ジョナサン・シュワルツ、創業から20ヶ月で$100Mの売り上げを達成したDeelの若きCEOアレックス・ブアジズなど、革新的なビジネスを短期間で作り世界に広げる瞬間を多く目の当たりにしました。
6. 海外に友達を作りたい
キャリアを通じて、気がつけば500名近い海外の友人が出来きました。海外出張の時にホームパーティーへ呼んでもらったり、毎年クリスマスカードをやり取りしたり、インドの結婚式に呼ばれたり、様々な思い出ができました。それも、これまで色々な苦難を一緒に乗り越えた経験があったからこそ、こうした関係性を作ることができたと思います。
外資系に向いていない人
海外で働きたい人
実は、外資系では、海外に住みたい、海外で働きたいケースは余り向いていません。何故なら多くの場合、外資系の日本人には日本進出の支援を求めることが多いからです。(もちろん絶対ではないですが) 私的には、海外に住みたい、海外で働きたい場合は、海外進出をしている日本企業の方がチャンスが多いのではないかと思います。
成長より安定を求める人
大きな外資系であれば、日本の労働法制に守られる点は変わりありませんが、特に立ち上げ時期の外資系企業においてはドラステイックな経営をしますので、安定性を求めて入社するのは危険です。また大手外資系企業においても本社の経営手段の1つとして、リストラは常に選択肢に入っていますので、リスクが無いかといえばゼロではありません。実際に、私のキャリアの中でも、様々なリストラの経験(実行する側もされる側も)をしてきました。
まとめ
外資系企業で働くことは、多くの魅力と挑戦があります。興味がある方は、一度挑戦してみることをお勧めします。
ただここまで書いて改めて感じたのは、外資であろうと、日系であろうと、本質的には全く関係ないということです。特に最近は日系スタートアップをさせていただく中で、若手のアントレプレナーと接触する機会が多いのですが、皆さんにおいては、全て自らが責任を持ち、実行し、失敗・修正し、ゴールに向かって突き進む姿勢を目の当たりにしているので、もはやこうした外資や日系の比較はチンケな議論だと思っています。ただ誰もが会社を起業できるわけでは無いので、自分を後押ししてくれる環境として外資系の選択肢も考えてみてはいかがでしょうか?
今回は、外資系企業で働くことに興味がある方々に向けたブログをまとめてみました。皆さんのキャリア形成の一助になればと心から応援しています。記事の内容についてご意見等あれば教えてください。 また個人的なご相談も大丈夫です。 ということで以上、週末の謎オジぼやきコーナーを終わります! 不定期に配信していきますので、興味を持っていただいた方は是非登録をお願いします!!