Cody・Lee (李)「生活」
2024年5/15日、Cody・Lee (李)のニューシングル、「生活」が発表された。これまでの活動でずっと「生活」について歌ってきたCody・Lee(李)の高橋響が「ひとつの答え」と言うのは一体どんな曲なのか、ジャケットや参加アーティストについても触れて、感想を少しばかり書いてみようと思う。
僕がSpotifyを開いてまず思ったのは、ジャケットのオマージュだった。深めの青に白いゴシック体の英字で小さくタイトルを書く、これは Mr.Childrenの「Atomic Heart」や、くるりの「TEAM ROCK」といった90〜00年代の人気アルバムに似ている。そこに高橋響の先輩バンドへのリスペクトが感じられる。令和の時代にこのジャケットが見られるのはとても喜ばしいことで、先輩が残してくれた音楽を改めて認識できる良いオマージュだと思う。
ここからは曲自体について触れていく。
この曲の歌詞は誰もが知っている当たり前のような風景をいくつも切り取って綴ってある。そして当たり前が特別であること、悲しみや喜びも全て含めて生活であることを強く伝えている。途中で「宇宙日本世田谷」という言葉が出てきたのが興味深かった。これはフィッシュマンズの「世田谷三部作」と呼ばれるアルバムのタイトルであり、ここでも高橋響を構成する音楽が垣間見える。また、最後の「平凡な日々を残さずに愛して」という言葉が印象に残った。この言葉こそ「生活」というテーマに最も強く根差したキラーフレーズだと思う。
楽器の構成についてはいつもらしい編成だったが、サウンド面に少し驚かされた。ピアノ主体で曲が始まり、他の楽器がタイトなメロディーを奏でていた。また、コーラスはリーガルリリーのたかはしほのかさんだった。
これらの要素から僕はくるりの「ばらの花」を僅かに感じた。「ばらの花」もコーラスにはスーパーカーのフルカワミキさんを起用しており、ジャケットもそれが収録されているアルバムを彷彿とさせる。ただ、当然ながら両者とも強い唯一性を持っていて、曲自体は全くの別物である。どちらも好きなバンドであるため、その繋がりをこの一曲の中に感じられたのはいちリスナーとしてとても嬉しい。
この曲の歌詞は高橋響の生活に関するものであるため、僕の知らない「生活」も多くあった。しかし、100%共感できないところが各々の「生活」があるという証明に他ならない。「万人受け」するものは作れるが、誰もがそれを自分自身の人生に重ねられるわけではない。そんな当たり前の事を気づかせてくれたのは遠くに住む1人の青年の「生活」の歌だった。