重熱人形に関する開示情報
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身体構造
重熱人形の身体は分類状は全身義体にあたるが、内部構成や基幹技術が一般に普及しているものとは大きく異なり,その本質は″杖″に近いものとされている.
現在環境課が管理する個体 通称 "ネロニカ"の身体はセラミック,繊維強化プラスチック,合成ゴムなどを複合した古い義体外装と頭部のカメラセンサー,古い電脳基盤,義体内部に埋め込まれ四次元的に相互接続された計12のテオ細胞(TG-2~13),人間の中枢神経系に相当する機能を備えた特異なテオ細胞(TG-1),それらを包み込むヒト由来の血清成分・有用バクテリア群等を含んだゲル状の物質(HSEM伝達活性剤)によって構成されている.
HSEM伝達活性剤は振動フェルミオンの伝達補助のほか,熱外郭(後述)からの刺激に応じてバクテリア群を活性化し,自己分裂によってひび割れ程度の軽度な破損箇所を自己修復する役割を持つ.
特異性
筋肉や電気的な動力源の代わりに,緻密に操作した重熱効果によって義体内部にのみ限定的に発生させたベクトル場を利用し,重力の遮断と操作を行うことで身体の完全制御を実現している.
これらを応用することで身体の一部を加速し,爆発的な膂力を発揮できるが,変換した運動エネルギー総量に比例した膨大な振動フェルミオンを消耗する為,持久力に欠ける. また肉体の耐久力もそこまで高くないため,諸刃の剣であることを留意したい.
義体外装表面に熱外郭とよばれる特殊な電磁場を纏っており,これにより触覚や温度などの外部感覚刺激を検知し,統合した情報を各TGで分散処理し視覚以外の四感(聴覚、触覚、味覚、嗅覚)をエミュレートしていると考えられる.
熱外郭を纏った物体は自己集積化分子膜を形成し,結晶性が高まる性質がある. この性質は若干の強度向上という副次効果をもたらしている.
戦闘素質
身体の制御能力に長けているため運動性能が高く,格闘術の習得が速い.
環境課への配属以降,護身術・対サイボーグ用戦闘術・スタンロッドや小型の銃器等基本的な装備の扱いに関しては一通り訓練を受講済み.
対人戦闘においては非武装の軽度サイボーグ相当なら単騎での無力化が期待できる.
武器は取り回しの良さとその強度から重化チタン製のネイルハンマーを好んで愛用する.
前述した膂力によって単純な力比べには強いが,打たれ弱く持久力に欠けるため,長時間の戦闘行為は推奨されない.
膨大な振動フェルミオンと極めて鋭敏な重覚を持ち重熱効果の発生機序への理解も深いが,9割近くのリソースを身体制御に回しているため、その他の重熱式はほとんど行使できない.
運用上の注意
重熱人形はその性質上,四界嵐のような重熱効果の発生を阻害するような環境・特殊兵器に弱く, 熱外郭の消失,身体機能不全,意識喪失のリスクが想定される.
短期間で振動フェルミオンの使用量が規定値に達した場合にも同様の機能不全を引き起こす可能性がある.
重熱人形が終了した場合,その身体を構成するTG群は可能な限り回収することが望ましい.
ただしTG-1が外部組織へ露呈,鹵獲される可能性がある状況下では監督官は自己判断でコードを実行し,これを完全に処理・隠蔽すること.
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