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角野隼斗 “CHOPIN,GERSHWIN, AND…”
HAYATO SUMINO CONCERT TOUR 2022
“CHOPIN, GERSHWIN AND…”
in 東京国際フォーラムHallA on 2022/02/20
大満足!!!!大興奮!!!大最高!!!
かてぃんにガーシュウィンはめちゃくちゃ合うと兼ねてから思ってたので、東京公演限定演奏のConcert in Fがとにかく楽しみだった。
私が高校時代にエレクトーンのコンクールでよく演奏されてて、第3楽章は頻繁に聴いてたし、2010 Vancouver五輪でキムユナがフリーで踊って金メダル取った曲として何度も聞いた。フリープログラム用の編曲が素晴らしく、1楽章から3楽章までをうまくまとめてて、キムユナのスケーティングも流れるように美しくてで何度も見た。いまだに見る。
もともとJazzyな曲とアレンジ力が卓越してるかてぃんさんがあの曲を弾くとどう弾くのか、どんなアレンジ突っ込んでくるのか、ただただ楽しみだった。
ほぼ、半年待った。チケット取ったの、9月下旬。
5ヶ月待った。これでもかと膨らむ期待。
箇条書きで好きだった点を挙げていこうとしたら想いが溢れて長くなっちゃったLikesたちを思いのままに書き殴ります
•自宅から持ってきた前の蓋が無い青く光るアップライトピアノ
舞台下手後方に設置された、YouTube Liveで見る前側の蓋がないアップライト。楽器を動かすことは大掛かりな事なのでまさかと思いつつ、やはり持参したそう。
ピアノサイドに柔らかいオレンジ色に光るスタンドライト。
会場のスクリーンに映る映像を見ると、自宅から配信してるよう。照明も暗くて、美しい。ふと冷静に考えると、国際フォーラムホールAで、舞台一番後ろの反響板に向かって、お客さんに背を向けてピアノを弾いたアーティストがいまだかつていただろうか。
そして、そのアップライトの音色。
なぜあんなにも丸く棘がない柔らかい美しい音色なのか。
ウナコルダずっと踏んでかつ電子ピアノの様な音色。
暗い照明にオレンジ色のランプと、美しい丸い音。
最高に美しい世界だった。
•ショパコン1番2楽章
アンコールで突然始まった聴き覚えのあるメロディ。
ん?ん??!ピアノから奏でられると思ってないから不意打ち過ぎて頭の中のパズルが組み合わない。ショパンぽいけど、、ん?!
2楽章冒頭のオケパート‼︎なんと‼︎
そこからは甘美なあのメロディとアップライトの柔らかな音色のダブルパンチで胸の奥がグワんと動かされ一筋の涙がつーと。
暗い部屋でひっそりと音を奏でてた当時のショパンって、こんな感じだったのかなって想像しながら聴いていた。
(決して髪型が似ているからではない)
このショパコン2楽章が、今日の演奏曲目の中で1番好きだった曲。
•Concert in F
やっぱり、かてぃん色に染まったへ調のコンチェルトだった。2楽章でピアニカが出てくるとは想像もできなかった。
テンポが遅いと1、2楽章はちょい飽きちゃうかなって曲調だから、ピアニカで新鮮味が出てワクワク感が続く、素敵な演出。
3楽章はもう。もう。
このためにここに来たんだよ!って私の勝手な大きな期待に応えてくれた演奏。最後の大サビはオケの音圧も相まって鳥肌バチバチ。綺麗なメロディラインは存分に歌って響かせつつ、コロコロ変わるガーシュウィン独特の曲調に、かてぃんishなアレンジ効かせた新たなConcert in Fが完成してた。
1楽章冒頭のピアノソロのアンニュイなメロディが美しすぎて速攻で引き込まれる。マイナー調の中に少しだけ出るメジャーの音色。甘美さを伝えつつ、リズムを正確に緻密に刻む。3楽章の冒頭の16分音符がただ正確なだけじゃなくて強さと勢いがあった。
いままで聴いたどのin Fよりも模様が場面がコロコロと変わって色彩豊かで強くてでも柔らかい、初めてのin Fだった。
これ!これが聴きたかったーーーーー!!これを待ってたーーーー!!ってスタオベとブラボーを言いたかった!
(カーテンコールまで我慢した。なぜ。欲望に従えよ自分。そういうとこだぞ)
•ショパンの曲たち
ショパコン前の紀尾井ホール、アプリコの協奏曲を見に行って「ショパンの正統解釈」に寄せる為にもがいているのかなぁと(偉そうでごめんなさい)。
でも今日はひとつの柵もなく角野隼斗のショパンをのびのびと楽しんで演奏していた。聴いててそれがとっても嬉しかった。
•ホール全体が配信部屋
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あれだけ大きな国際フォーラムでピアノ一本でどうショパンを演奏するのかとワクテカだったのだが、最初のイントロムービーで速攻かてぃんworldに転生した。
そこからはclassic音楽を弾いてるけどネオclassicみたいな、「かてぃんの音楽」になってた。
ステージ全体が「かてぃんの部屋」で、アレンジなしのショパン曲もマイクを通して配信でも綺麗に聴こえるように配慮されてたし、ピアノ•classic•生音じゃなくて、技術を活かして美しい音と彼のショパンを届ける場所だった。
客席中央にPAさんブースがあるclassicコンサートは初めてだった。
彼がショパコンに出てる時から、彼の演奏はとてもcontroversy だった。日本では彼の演奏はおそらく正統派ではなく、彼自身もearth dayの取材中に語ってた「片手間でやってるんじゃない、何周も回っての今なんだ」って趣旨を語気強めで言っていたのを見ると、彼自身も周囲の声に対して思うところはあったのだろう。
日本でショパンを弾くと、暗に正解に近い弾き方が存在し、それに準じていないと「ちょっとショパンぽくない」「異端」となるのかもしれない。
もしかすると、その傾向は日本だけのものじゃなく、ショパコン優勝のブルースが「リストっぽい」って言われていたのも、その一端から発してるのかもしれない。
もがいていただろうが故、彼のショパンから突き抜けた感動を得られなかった夏に生で聴いた演奏(何度もごめんなさい)。かてぃんさんを聴いた翌日にサントリーでソリ氏のコンサートという日程の時もあり、またショパコン予備予選も始まり、世界中のピアニストたちのショパンを聴いている状態で、どうしても演奏を比べてしまう状況だったことも影響している。
余談で、サントリーホール1階からでも2階席に座っているのが判別可能なショパンishなかてぃんさんの風貌と、ロビーですれ違った颯爽と楽屋口へ移動するかてぃんさんも良き思い出。
正統派でclassic音楽だけをやってる人ではないよね、というのが界隈の意見としても目にしたことは事実だった。classicとJAZZは色々違う。そうなると、大多数がclassicを主に学んできた人のなかで、様々なジャンルをfusionした音楽のバックグラウンドを持つ彼が異質に映ったのも、当然だっただろう。
けれども。それは誤なのか。
「ショパン国際ピアノコンクール」という場では、順位をつける関係で、一定の審査基準は存在するはず。じゃないと一位が決まらない。
だがしかし。コンクールは終わった。
音楽家は、音楽を聴衆に届ける人。
「ショパンっぽくない」ってなに。「classicじゃない」ってなに。
ショパンだろうがビルエヴァンスだろうがカプースチンだろうが、音楽を聴いて心が動いたら、それが素晴らしい1つの事実じゃないか。それが「音楽を楽しむ」ということだ。
今回のツアーのテーマがこの言葉だったことを知り、
この1年間彼なりの葛藤は沢山あって、色んな場所で色んな音楽に触れることである意味原点と言える「音楽を楽しむ」ことに回帰したのかなと、感じた。
前半に全てショパンを持ってきて、正直、「夏に(編曲以外)全部生で聴いたからなぁ」と特に期待なく待ち構えてた(本当に何度もごめんなさい)。
1曲目のワルツから、もう夏に紀尾井ホールでもアプリコでも聴いたワルツではなかった。
「吹っ切れてる!!ストレートにくる!ビシバシかてぃんがくる!」
マズルカなんかもう身体が踊っちゃうくらいノリノリだし、これが彼のpotentialであり個性なんだなぁと切に実感。
「ショパンのマズルカ」って先入観で聴かなくなったから、「角野隼斗のショパンマズルカ」って音楽になってて、それがとっても心地よかった。
Etude10-1をテーマに編曲した胎動、ballade2番がテーマの追憶。この2曲とーーーっても好きだった。
胎動はグランドで、追憶は自前のアップライトで。MOVEMENTと訳されてる胎動は動的なメロディが散りばめられつつ、RECOLLECTION は柔らかい音で文字通りショパコンをゆっくり振り返るような哀愁漂う美しいメロディ。どうしたら実装されるんだ、この編曲スキル。
素晴らしいしか出てこないのが歯痒いくらい素晴らしい。なんだろ、outstanding でamazingでunbelievable って感じ。とにかくYou nailed it!!!!!!!
敢えてショパンとガーシュウィンを持ってきたということは、彼にとってショパンと並ぶくらいの強い影響をガーシュウィンから受けてるのだろう。
ガーシュウィンの逸話として、練習嫌いで練習曲を勝手に編曲し始める、と何かで昔読んだことがある。それをふと思い出して、もしかすると、かてぃんさんも練習中にどんどん曲を編曲してそうだなぁと思ったことがあった。
だからこそ、彼とガーシュウィンは私の中で繋がってて、inFは絶対に聴いてみたかった。
ぜーーーったいに彼にしかできない科学変化を起こしてくれるだろうと思ってたから。
ガーシュウィンを最後に据えた今回のコンサート。
(正確にはアンコールの英雄ポロネーズが大トリ)
今回のツアータイトルの”CHOPIN, GERSHWIN AND…”と続いているように、今後の彼の音楽人生において、次にどんな音楽家が「かてぃんの部屋」に出てきてくれるのか、その作曲家とどんなsessionをしてくれるのか、今から楽しみで仕方がない。
次の演奏会、本当に楽しみにしています。
全国ツアー、大成功おめでとうございました。
これからも応援してます。
あなたの音楽で、私の心は沢山癒されています。
しんどいときも生きる気力をもらってます。
なかでも、1番心に来るのがこの曲。あなたが編曲したラフマニノフ交響曲2番3楽章。
美しい横顔とジャケットに、世界一甘美なメロディラインが相まって、仕事中、しんどいとき、泣きたいとき、かてぃんさんのこの曲を聴きます。
classicピアニストという枠を超えて”Cateen”というジャンルの音楽家だと思ってます。素晴らしい時間をありがとうございました☻
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