0050 聖フランシス・フォード・コッポラ監督『地獄の黙示録』聖地巡礼
2022年12月31日(土)と2023年1月1日(日)にフィリピンのオーロラ州バレルで1月2日(月)にフィリピンのラグーナ州パグサンハンで聖フランシス・フォード・コッポラ監督『地獄の黙示録』(Apocalypse Now)の聖地巡礼をしてきました。
※一部聖地巡礼場所の照合の都合上、同作品のメーキング映画『ハート・オブ・ダークネス』の聖地巡礼も含みます。
聖フランシス・フォード・コッポラは『カンバセーション…盗聴…』の1974年第27回カンヌ国際映画祭パルム・ドール(←当時はグランプリ)と、当該の『地獄の黙示録』の1979年第32回カンヌ国際映画祭パルム・ドールで列聖。
なお、その時のカンヌ映画祭のコンペティションのエントリー作品はパルム・ドールを同時受賞した『ブリキの太鼓』(聖フォルカー・シュレンドルフ)、『麻酔なし』(聖アンジェイ・ワイダ)、『天国の日々』(聖テレンス・マリック※監督賞)、『チャイナ・シンドローム』(ジェームズ・ブリッジス)、『ヴォイツェク』(ヴェルナー・ヘルツォーク)、等。
作品は、ベトナム戦争中のさなか、戦地であるベトナムで軍務を放棄して国境を越えてカンボジア領内の山岳地帯で未開部族を私兵にして自らが民を統治する王国を作ってしまったカーツ大佐(演:マーロン・ブランド)の抹殺を命じられたグリーン・ベレーのウィラード大尉(演:マーティン・シーン)が、南シナ海沿岸から河川哨戒艇でナン川を遡ると同時に現代⇒近世(植民地時代)⇒原始時代というように時代も遡行していくというストーリーとテーマがパラレルで進行していく戦争映画の大傑作。
オープニングは椰子の木のジャングルがナパーム弾で焼き払われるショット。後述の「ナパーム・イン・ザ・モーニング」の一連のシーンで撮られた一部のフッテージを作品冒頭にもってきて観客に最初の衝撃を与えます。因みに、フィリピンのオーロラ州バレルの集落が無いエリアは椰子の木(パーム・トゥリー)だらけで、まさに「緑の地獄 」!アンチエコロジーな事を言って申し訳ございませんが、キルゴア中佐(演:ロバート・デュバル)じゃないですけど、ナパームで焼き尽くしたくなります。
という訳で、(他のクルーは自身の特命任務を全く知らされてませんが)暗殺部隊が河川哨戒艇で出発する場所の背景がマキリン山。因みに映画本篇でのマキリン山の手前の大河っぽいのはバコール湾に注ぐ運河か干拓後の用水路で聖地巡礼画像のマキリン山の手前の海っぽいのはラグーナ湖。
実は1月3日(火)にカヴィテ州カウイットで出港地となった塩田を訪問するつもりで3ヵ所ほど候補地をまわってみたのでしたが、結局見つかりませんでした(グーグルの衛星画像では見つけられるんですが…どうも同地に辿り着く手段が徒歩なのか?河川交通のみなのか?…実際は車から降りて歩いてはみたのですが…)。今回の聖地巡礼の唯一の心残りです。
河川哨戒艇の暗殺部隊がキルゴア中佐率いる騎兵隊と遭遇するのがオーロラ州バレルの
Baler, Aurora - Wikipedia
(地元の人が)アグアン川(と呼んでいる←グーグルマップに河川名が無い)南岸のセメント・リーフ。
ナン川を遡るためにキルゴア中佐の騎兵隊に援護を依頼するとナン川の河口エリアの集落は南ベトナム解放戦線(ベトコン)の支配下(チャーリーという名前の兵士がこの場所でベトコンに殺されたからなのか?チャーリーズ・ポイントと呼ばれる)にあるものの、サーフィンにはもってこいの波が押し寄せるので、襲撃のついでにサーフィンを楽しもうという事になり、早朝にオーロラ州バレルのアグアン川デルタ周辺の集落をワーグナーの「ワルキューレの騎行」を大音量で流しながら急襲します。ここからが映画史に残る名シーン「ナパーム・イン・ザ・モーニング」です。
チャーリーズ・ポイントを目指してヘリコプターはバレルに近づいてきます。聖地巡礼画像でも小さくサーフィンを楽しんでいるヒトが写り込んでいます。
ヘリコプター操縦席目線の本篇画像の山嶺と、聖地巡礼画像のアグアン川南岸エルミタ・ヒルから撮影した風景の山嶺は完全に一致してます。
※12月31日(土)の午後の天候は曇ってはいたものの山嶺が見極めるくらいロケ地と訪問場所の照合はそれなりに楽だったのですが、1月1日(月)の午前は降雨となったため本篇画像と聖地巡礼画像の場所の照合は極めて困難となりました。
映画ロケから45年以上が経過して、オーロラ州バレルはフィリピンに於けるサーフィンのメッカになってしまいました。アグアン川北岸側のビーチには「チャーリーズ・ポイント」という店舗名のサーフ・ショップ兼サーフィン教室まであります。
続いてナン川のカンボジア国境にほど近いドランの橋。ラグーナ州パグサンハンのパグサンハン川でロケされました。
Pagsanjan - Wikipedia
セットを組むにはちょうどいい感じの第二次世界大戦中に日本軍が(たぶん捕虜を使って)建設した?or破壊した?橋の橋脚が残っています。
ここから自分入りの画像が全く無いのは、河川哨戒艇をチャーターするには流石にお金が足らず、船頭さんがオールで漕ぐ小さなボートに乗り込んで写真を撮るというスタイルで、狭いボートの先端部分に立ち上がって聖地を背景に自分入りの写真を撮影するという致命的行為はとても出来なかったが為です。
更にナン川を遡りカンボジア領内に入ります。
そして、作品のクライマックスとなるカーツの王国です。※ここでメーキングの『ハート・オブ・ダークネス』の建設中のカーツの王国の画像を2つ挟みますが、この2つの画像の山の形状と続く聖地巡礼画像の山の形状は一致してます。白塗り原住民のカーツ私兵(水兵?)が無言でウィラード大尉たちをウェルカムしてくれるカーツ港はこの辺りです。
でもって、カーツの王国のセットはカンボジア領内設定ということもあり、アンコール・ワット&アンコール・トムを模して組まれているのですが、現地撮影前の取り決めにより撮影後は総て取り壊しおよび植林する事になっていて、35㎜版の映画本篇ではエンドクレジットで完全に破壊される描写もありました。現地には何も残って無いんだろうなぁと思いながらボートに乗っていたら、なんと!フィリピンのオーストロネシア文化遺物ではあり得ない紋様の大岩がパグサンハン川に一つありました!びっくりしました!まさに「カーツ大佐の忘れ物」です!セットの取り壊しの時に河川に落石してしまい処分できなかったものなのか?水面下の土台部分だったのか?いずれにしても、『地獄の黙示録』の聖遺物であることには間違いありません。今は乾季なので本来増水時には沈んでいるものが顔を出したのかもしれません。聖遺物はもっとたくさん川底には残っていて、もしかするとルソン島で旱魃が発生しパグサンハン川が干上がってしまったら、カーツの王国の遺跡を目の当たりにする事が出来るかもしれませんね!
ラストクレジットの後の記念写真は私の乗船したボートの船頭さん(左)と操舵師さん(真ん中)。船尾に乗った操舵師さんは10代後半の頃、パグサンハンで『地獄の黙示録』のロケのお手伝いをしたそうで、乗船中はこの場所で〇〇のシーンを撮っていた云々といろいろ案内してくれました。※フランス人植民者のゴムプランテーションはこのボートでは行けないエリアだとかも含めて…。感謝。
©2022 2023 プッチー・ミンミン
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