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第十二夜 夜の心友

こんばんは
夜です
今夜は最後の夜ですね
大事な人の話をさせてください…

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その子は小柄で
あたしと並ぶと肩よりちょっと上くらい
だけど、あたしと違って
スポーツ万能
足が速くていつもリレーの選手


その足の速さを活かしたのか…
生き急ぐようにして
逝ってしまった

夜間巡回の看護師が
その子を見回って
次の巡回までの間に…


夜中に

たった一人で

旅立ってしまった




まさかあんたの葬式で
受付をする日が来るなんて
思いもしなかった
朝から涙雨
そりゃぁ悔しいだろう

雨の中
学生時代の友達が集まる
「こんなとこで会いたくなかったね」
誰もが口にする言葉

ふと気が付くと
雨が上がっている
そして、蝶が受付のまわりを
ひらひらと…

「来たね…」

誰ともなく言い出す
そう、この蝶はあの子だ
蝶はしばらくの間
あたし達を眺めてから
空の彼方へ消えて行った



それから何十年たったのだろう
心身共に疲れていた
もうムリだ
そう思いながら歩いていた
呼ばれた気がして振り向くと
木が立っている

デカイなぁ…と見上げると
そこには

蝶がいた

蝶と目が合うという経験をした人は
そうそういないだろう

蝶を見た瞬間
わかった
あんただと
あたしに会いに来たんだと

あたしが歩くとついてくる
やっぱりあんたなんだね



ねぇ、あんたならどうする?
あたしはどうしたらいい?

必死に蝶に話しかける

答えが出るはずはない
それでもあたしは良かった
あんたに話せた事で
十分だった


ねぇ
また、あたしに会いに来て
夢でもいいから
待ってるよ
約束ね


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これは、私の中学の頃からの
親友の話です。
ここに書いた事は全て事実です。
信じていただけない方も
いらっしゃると思います。
今でも彼女は私を心配しています。
いつか虹の向こうで会った時に
恥ずかしくないように
生きようと思っています。


十二夜祭

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