建築業界採用の現実
今回は、建設業界における採用の現状についてお話しします。現在、弊社では採用活動を代行会社に委託しており、その担当者とともに大学のキャリア支援センターを訪問しました。その際に得た情報と気づきを共有いたします。
新卒採用の現状
現在の新卒採用は完全な売り手市場となっており、建築学部の学生のほとんどが既に内定を複数社から得ている状況です。内定を得ていない学生でも、就職先の選択には強いこだわりがあり、自分に合った条件の企業を慎重に探しています。
キャリア支援センターの担当者によると、数年前では考えられなかったことですが、現在は大手企業も積極的に求人広告を出しており、大手と中小企業の求人票を比較した際、休日数や福利厚生面で大きな差が出ているとのことです。多くの中小企業も大手に寄せた求人票を作成していますが、それでも学生を引きつける「何かしらの魅力」が必要とされています。
採用に必須な「週休2日」
この激戦の中で、特に重要視されているのが「週休2日」の制度です。弊社の求人票を採用担当者に見てもらった際、最初に指摘を受けたのが「週休2日ではない」点でした。弊社は大規模修繕工事を主力としており、居住者との打ち合わせが平日の夜や週末に設定されることが多いため、現状では完全な週休2日体制が難しいのが実情です。
そのような状況では、求人票を見た学生が「休日が少ない」と感じ、選択肢から外されてしまうリスクがあります。おそらく他の建設会社も、公共工事でない限り週休2日体制を確保するのは難しいのではないでしょうか。特に民間工事で週休2日を導入する場合、工期が延びて工事費が増加し、利益率が低下してしまいます。そのため、完全週休2日を導入できていない業者が多いのが現状かと思います。
しかし、このままでは採用活動がさらに厳しくなる可能性があるため、早期に週休2日への切り替えを検討する必要性を感じています。今後数年で完全週休2日を掲げる建設会社が増え、求人票を比較した際にさらに福利厚生の充実が求められることになるでしょう。ハードルが上がる前に、まずは週休2日を導入することが、採用活動の一つの戦略と考えます。
求められる新たな福利厚生
また、最近の採用活動では「奨学金返済補助」という福利厚生が注目されています。多くの学生が奨学金を利用しており、返済に苦しむケースが増えていることから、奨学金返済の補助や家賃補助を福利厚生に含め、イメージアップを図る企業が増えているそうです。このような支援策をアピールすることで、学生にとって魅力的な会社として認識されやすくなると考えられます。
週休2日の重要性
とはいえ、採用活動で必須となっているのは「週休2日」です。最近では親御さんが「週休2日でない会社はNG」と考えているケースもあるようで、どれだけやりがいがあっても休日面での壁は大きいようです。そのため、まずは週休2日制を導入した場合の事業運営がどのようになるか、試算してみることが重要だと思います。
実際に採用代行の担当者からも「現状の事業内容では週休2日は難しいので、新卒採用よりも第二新卒をターゲットにする方が現実的かもしれません」とアドバイスを受けました。今後、採用活動において乗り越えなければならない課題は山積みです。
本日は以上です。