看取りケアに思ったこと
まずはTwitterに投稿されたこちらの文章を読んでください。
当該のユーザーは、おそらくこちらのツイートが拡散されたことが元で既にアカウントを削除してしまっていますので、スクリーンショット使用の許可を取ることができませんでしたが・・・
看取りケアを行うことで誰もがつまずく可能性のある、また議論の価値がある大変良いツイートだったと個人的には思うのです。
ちなみにこちらの方は介護士さんであり、アイスは本人の持ち込み、当該の患者さんはもう1日2日で亡くなったであろう、きっと最期のアイスだった・・・と、リプライで呟いておりました。
リプライには「ダメなことなんかないです!」「あなたは素晴らしいことをした!」などの賞賛の言葉と、「看護師さんも怒りたくて怒った訳ではない」「何かあった時に責任が取れますか?」等の行動を嗜める言葉の双方があったと記憶しています。
以上が客観的に観測できたこと。
以下は私個人の考えになります。
「舌にちょっとアイス乗せて舐める程度もダメなんかね・・・」と、自戒の念で締めておられますが、ダメなのです。
私が考えるに、この介護士さんに足りなかったのは「チームとしての意識」と「根回し」。
看取りというのは、本当に個人差が大きく、やってあげられることもやってあげたいことも年齢、疾患、生活背景、その他諸々の要素で全く違います。
それだけに我々、施設や病院に勤めるスタッフというのは、決められたチームとして行うケアのラインを超えてはいけないと思うのです。
この方がやったことというのは、チームとしての仕事ではなく、厳しい言葉を使えばいわゆるスタンドプレー。
チームとしての仕事ではなく「自分がやってあげたかったこと」を優先してしまった故に、看護師さんに「めっちゃ怒られた」と思うのです。
例えばです。
舌にちょっとアイスを乗せて舐めさせた瞬間呼吸が止まったら?
そういうことが絶対ないとは言えないのがこの業界です。
最期にご家族に「舌にアイスを乗せたら呼吸が止まりました」と説明してご家族から訴えられない、とは言い切れないのです。
だからこそ看護師さんも、自分の管理下で行われたわけではないケアに対して「めっちゃ怒った」のではないでしょうか。
看取りケアに関しては絶対に「自分がやってあげたかった」を優先してはいけない。
自分がやってあげたいケア<自分の身を守ることを優先すべきなのです。
まずは自分の身を守ることができてこそプロ。
火事に防火服なしで飛び込む消防士がいないように、自分の身を守ることができてこそプロなのです。
免許があるからプロではない。
それでもやってあげたいことがあった時どうするべきか?
ここで必要になってくるのが、プロとしての根回しです。
「本人がアイスを食べたいという願望がある」
「どうしたら食べさせてあげられるか」
「その結果どういったリスクがあるか」
「ご家族はそれをどう受け止めるか」
時間がないと分かっているならなおさら、ご家族やスタッフとの事前の関係性の構築、また看取りに向かう本人やご家族の受け止め方を理解して、周囲の協力を得た上で行ってこそ、初めてプロの仕事として見なされるのだと思います。
この方はリプライの中で「こんなことも許されないなら、今後は介護ロボットして生きていきます」と呟いていました。
ここで看護師さんに怒られたことは、自身の今後の仕事に向き合う姿勢や、ケアを考える上でとても大切なポイントだったと思います。
私自身、肺がん終末期の患者さんに吸引をすべきか否かで、本当に悩んだ時期がありました。
それはその患者さんにターミナルケアを考える機会をいただいたのだと思い、今も思い返すほどです。
そしてその経験は、否の看護にも生かされていると思います。
願わくば「怒られた」ということ一点で不貞腐れて考えることを止めてしまうのではなく、死に向かう患者さんから考える機会という最高のプレゼントをいただいたと受け止めて、良いケアを行っていってもらいたいものだと思います。
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