ぅらいふすてーじ熊野寮祭特別号2022

この記事は、エクストリーム帰寮 Advent Calender 2022の11日目の記事です。1日遅刻したけど。

事前準備~降車

昨年、サークル設立37周年の節目として、37kmを踏破するべくエクストリーム帰寮に参加した私であったが、今年度はスケジュールの都合上(帰寮の翌朝に友人と遊ぶ約束をしてしまったのである)、38kmを歩く余裕はなく、とりあえず30kmを歩いてお茶を濁そうとしていた。
装備は昨年に習い靴下は5本指と厚手の2重履き、中敷きマシマシ、荷物はポケットにスマホとライト、コンビニのレジ袋にチョコチップスナック2袋、羊羹4つ、板チョコ2枚、ペットボトル1本を持ち込んだ。今年はエクストリーム帰寮初参加という同行者と2人での参加だったため、彼にも分けられるように物資を少し多めにしていた。同行者の彼は高性能ヘッドライトと祖父から受け継がれたという杖を装備して準備万端だった(でも杖って平地では邪魔だし山道を歩くことになったときに現地調達したほうが効率いい気がする)。

熊野寮を出発したのは25日23:15頃。目をつぶって運ばれる時間は30kmの割にはなかなか長く、しかも山道らしく揺れが多い。少し車酔いをしてしまった。私を拉致したドライバーに見覚えがある気がしていたのだが、ドライブ中に話を聞くうち、数日前にKMN48で活躍していた私の一番の推しであることが判明した。スタート前に握手してもらっちゃったぜ!

渓流センター~街明かり

車を降りて時計を見ると時刻は午前1時。あたりを見回せば車に乗っているときの感覚通り真っ暗な山の中だった。周囲に明かりは全くなかったが、同行者のヘッドライトが広範囲を照らしてくれたのであまり不安はなかった。すぐそばに大正池渓流センターという看板が出ている施設がある。聞き覚えがない施設である。車酔いを覚ましがてらしばらくセンターの敷地内をうろうろして手がかりを探す。すると現在地は井手町であることが判明した(どこだよ)。

知ってる地名が全然出てこない、情報量が少ない地図
上が北のはずなので、行先は東西どちらか、和束か玉水かの選択を迫られる

ここで、同行者のファインプレー、井手町という地名には聞き覚えがあるという。彼は最近井手町の猟友会に入会したばかりだったのだ!彼によれば、「井手町は京都市の南西、いや南東だったかな……?多分南の方」
あてにならない
とりあえず、池につながる渓流の下流、玉水方面へ行ってみることにした。空を見ても玉水方面の方がかすかに明るくなっている気がする。あれは街の明かりが反射しているものだ!という予想で決心を固める(最初の2択を間違うのが一番怖いね)。
1時半頃歩き始め、玉水方面に向かって山道(といってもきちんと舗装されたものである。去年と大違いだね)を歩くこと30分強、道路拡張の工事現場を見つける。ここで工事概要を説明する表示があり、ある程度縮尺の小さい地図を得ることができた。

最初の2択には正解できたようだ
進路にJRと近鉄の路線が確認できる

ここで安堵しながらさらに歩くこと1時間ほど(途中で鹿を遠目に見て、同行者が害獣駆除業者としての意識を高めていた)、谷の向こうについに街の灯を見つける。

やっと人里に出た

~玉水駅~渡河

工事現場で見た地図に従って、まずはJR玉水駅を目指した。去年の経験から、駅前にはかなり帰寮に役立つ情報が載った地図があると予想できだたためである。予想通り、駅ではなかなか有用な情報が得られた。

玉水駅は田舎のくせになかなか綺麗な駅だった
路線図を見つけ大体の位置関係を把握する
駅前案内板
主要な交通網を確認できる

ここでJRの線路に沿って歩く、24号線を歩く、近鉄の線路に沿って歩く、の3つの経路を考えた。ただ、JRは宇治の方を経由するため遠回りと予想。まずは24号線に出てみようと方針を決めて、駅を出発する。
しかし、24号線に出てみたものの、その道路は木津川の土手を走る歩道のほとんどない道路であった。皆さんは土手の道路のイメージがわくだろうか?路側帯もガードレールもない、車道のみの道。あれはほぼ自動車専用道だ。昼間ならまだしも午前3時、真っ暗な中を歩くのは遠慮したいタイプの道である。ということで、近鉄の線路沿いに東福寺まで歩くルートをたどるべく、木津川を渡り京田辺市に入る。
――――この判断が間違いであったことに気付くのは約2時間後のことだった。

京田辺

無事近鉄京都線三山木駅に着き、線路に沿って北上する。もう大体の場所はわかっているので、あとは自分の方向感覚を信じて歩くだけだ(と、思っていた)。同志社大学京田辺キャンパスを一目拝むために少し横道にそれながら線路をたどる。丘を登る必要があったのでキャンパスまでは行かなかったが、JR学研都市線同志社前駅を見物して、近鉄線沿いに戻った。
木津川に突き当たって問題が発生する。橋を通るのは線路だけ、人が通れる橋がないのである。人が渡れる橋を見つけなければならないが、東西どちらにも橋らしき灯が見えない。私たちは河川の存在をなめていた。無計画に木津川を渡るべきではなかった。川の手前で24号線をたどっていれば今頃は……。しばし打ちひしがれ途方に暮れた後、悠々と橋を渡る始発列車を見送って土手の上の遊歩道を西に向かって歩き出した。南東から北西に向かって木津川が流れているとすれば、東に行けば南へ後戻りすることになると思ったからだ。また、昨年の記事で東に行き過ぎて山科に迷い込んだ話が印象に残っていたため、東へ行くことを警戒していた部分もあった。
30分ほど歩くと橋が見えたが、遠目にはどうも高速道路に見える。不安に駆られているところで出会った、遊歩道を早朝サイクリング(真っ暗で体感真夜中だが)をしているライダーを呼び止め、徒歩で渡れる橋がないか聞く。一応見えているのは人も渡れる橋のようだ。
結局、近鉄線から西に数km行ったところでやっと木津川を渡り、城陽市へ足を踏み入れた。

城陽~宇治川~鴨川~帰寮

橋を渡ってすぐのローソンで地図を立ち読みし、隣のガソリンスタンドで道を聞き、再度ローソンで地図を立ち読みして出発する。現在地は城陽JCT、大久保バイパスを北上して突き当りを西へ、国道1号に出てさらに北上するルートをとる。ガソリンスタンドの店員さんが丁寧に道を教えてくれたので、もう迷うことはなかった。
黙々とただ、歩いて、歩く。

大久保バイパスを歩いているあたりで夜が明ける
バイパスも国道1号も、歩道が広くて歩きやすい

木津川越えには苦労したが、国道1号をたどれば宇治川も難なく越えられた。私が車で南下するときは大体国道1号を通るため、このあたりからだんだん見覚えのある景色が増えてくる。

宇治川を渡ってすぐ、京阪の線路と防災研がある
いつも電車の中から見ていた防災研に、こんな形で来ることになるとは……

国道1号が鴨川と交差して、ついに国道1号から離脱する。そのまま行けば堀川通につながるらしいが、遠回りなのでここからは鴨川の河川敷を北東へ。七条で道路に上がり、川端通を歩く。このあたりになると朝10時を過ぎて、人通りも多くなってきた。同行者はもう明るいのになぜかヘッドライトを点けたまま、勇ましく杖をついて歩いているためちょっと浮いていた。ツレだと思われないよう少し距離をとる。でもたぶん無駄だろうな。

残りの距離をなるべく考えないようにしてひたすら脚を動かし、ついに熊野寮に到着。時刻は11時半、歩き始めてから10時間が経過していた。

帰寮を終えて

同行者の万歩計アプリによると、今回の帰寮の歩数は4万8807歩、歩行時間は9時間10分、歩数から算出した歩行距離は39.75kmとのことだった。ちなみにGoogleの位置情報記録によれば徒歩による移動距離の合計は39.0km。今年は30kmだけにするつもりだったのに……。図らずも38周年企画を達成してしまったので、本記事の執筆を決めたのだった。

濃い青が拉致された往路、薄い青が歩いて帰った復路
本来はスタート地点からまっすぐ西へ向かったはずだが、山中で位置情報が乱れたのか北を大回りしたルートが表示されてしまっている。また、木津川を渡る際に土手から柵を乗り越えて橋に侵入したため、経路が見つからず大回りするルートが表示されている

ただ、帰寮した後河原町に遊びに行き、さらに夜にはサークルの飲み会に参加したので、私の万歩計アプリによるとこの日の歩行距離は6万3491歩、48.35kmになっている。河原町を歩いているときは帰寮後に予定を詰め込んだことを本当に後悔したが、きちんと食事を摂ったら意外と動けるようになった。
歩いた経路を振り返ってみると、当初の計画通り近鉄線沿いに歩けていればあまり回り道もせずに帰寮できていたことが予想できる。24号線を北上しても途中で近鉄に合流していたようだ。Google先生の推奨ルートは大体この24号→近鉄線ルート(それでも32kmのようだが。30kmコースとは?)。しかし木津川に阻まれ西へ大回りした結果、何kmも余計に歩くことになってしまった。今後帰寮される諸兄には、渡河できる地点が限られることを念頭に帰寮ルートを探られることをお勧めする。

昨年と比較すると、歩いた距離は10kmほど長くなったものの、疲労度は昨年よりましだった。昨年は帰寮後は座ったらもう立てなくなることを覚悟するほど足・腿が痛んだが、今年は遊びに行ける程度には余力があった。原因については昨年の帰寮で慣れたこと、昨年の経験から小休止をこまめにとって大休止はとらなかったこと、同行者がいることによる心理的変化などが考えられるが、一番は舗装道路しか歩いていないからだと思う。山道はマジで歩くもんじゃない。その反面、ただただ普通の道を歩くだけだったので昨年に比べコンテンツ力に乏しい道中だった。起こった中で一番大きなイベントは、同志社前駅を通りがかった際にゴミ捨て場がうごめき、ゴミ袋の隙間から何かしらの動物が飛び出してきたことだろうか。頭から尾までが約80cm、体色はタン(JIS慣用色名)、顔の模様までは確認できなかったけどあれはイタチか何かか。誰か同定してくれ。

総じて、昨年よりも穏やかな道中であったが、昨年はできなかった、徹夜で夜の人里離れた場所を歩く、というエクストリーム帰寮の醍醐味といえるような経験ができたことはうれしく思う。

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