BLACK METALを考える -1
随分、大きく出た表題ですが、洋楽好きの人達はMEATLというジャンルが幅広くあり、いくつか流れる中に「BLACK METAL」という、あまり行ってはいけないようなジャンルに気づくと思います。
BLACK METALは音的にはデスメタル、スラッシュメタル、エクストリームメタル、ゴシック、ハードコアあたりを中心に、時にノイズ、アンビエント風もあります。
ルックスやファッションに関してもゴス、コープスペイント、血まみれ、黒い服、フードをかぶる、革ジャケ、長い髪などかなり暗黒なファッションやルックスが特徴です。
ただ、これは一例で、型から入る事で音楽やファッション的な様式美の追求はできます。
こうした特徴はインパクト、主張、イメージなどの強調で、本来ロックの「型にはまらない」などの反骨精神や、反商業主義、怒れる若者の代表、表現者などのハードなエッセンスから、様々な音楽のジャンルから曲を作り、商業活動でもあります。
その中でBLACK METALのバンドの手段として、音楽創作、ライブ演奏など、ザクッというとノルウェーのBLACK METALはMayhemのリーダーで創始者のギターのEuronymousが創り、広がっていったものと定義付けています。
Venom (London 1985) [02]. Black Metal
Euronymousをはじめ、Black MetalのバンドはVenomに傾倒していました。VenomはUKのバンドでBLACK METALの源流とされています。「Balck Metal」という曲を演奏していますが、この曲からBLACK METALの確立するインスピレーションが礎となりました。
例えば、Heavy Metalで言うと、最初にHeavy Metalという言葉を明示したバンドはBlue Öyster Cultという起源が、BLACK METALではVenomになるという事です。
Venomというバンドは1980年代に流行った「New Wave Of British Heavy Metal」のバンドの1つです。このブームの中の象徴的なバンドの1つにIron Maidenがあります。
Iron Maiden - The Trooper (Official Video)
MTVではこのジャンルの映像ではかなりのヘビーローテーションで放送され、別Ver.も存在していたような気もしますが不明です。
メイデン(=Iron Maiden)の当時のサウンドの特徴はギターがツインリードで、Judas PriestのK.K.DowningとGlenn Tiptonというのもありますね。
バンドの役割分担、メンバーの人数っていうのが案外、型から入る人間にとっては気になるところです。メタルバンドでのギター2本での音の絡みはギターキッズが感動するパターンなのです。
Venomは3ピースバンドで、スタイルでは上記のバンドとは相反しワイルドでハード、邪悪を売りにしているスタイルです。3人でスラッシュな縦ノリ的な音というとMotörheadですね。それとドラムがツーバスです。よりヘヴィな音の追求かと思います。イメージに合う楽器選定も大事ですね。Led ZeppelinのJohn Bonhamもツーバスサウンドを試していた時期がありましが「Stairway to Heaven」ではイメージが合わなさすぎで、実験で終わってよかったですね。
Venomは曲の内容はもっとハードで反社会的・悪魔崇拝など、Motörheadと比べると日本ではあまり紹介されませんでした。Iron Maidenですらメタルマニアの範疇ぐらいの扱いで、幾つかのメジャーな音楽雑誌では「New Wave Of British Heavy Metal」のブームの中の1つで、コンサートレポートや、メンバーの紹介程度でした。
当時の日本の洋楽雑誌はヒットしそうなバンドをいかに早く日本で紹介する情報発信源としての役割もあり、弊害もありましたが、概ね、日本は洋楽情報の弱者なので、洋楽ファンにとっては有難いものでした。今のようにインターネットでBLACK METALを調べる事になるとは想像できませんでした。
Venom - Witching Hour
Venomは日本ではメジャーなバンドではないと思います。思った以上に洗練されている音楽だと感じます。バンドとしての確立した音楽性もあり、商業ベースの楽曲で、アングラでも、インディーでもないバンドです。
ファッションあたりが日本では扱いにくかったかと思います。上半身の肌を見せるとしても、中性的な体系が日本では受ける要素があると考えます。David Lee RothやPaul Stanleyなどは上半身を見せていましたが、Venomは筋肉質とか野性的なのがとっつきにくかったかなと思います。
また、日本では歌詞を重視していて英語なのに対訳を必要としていたリスナーも多かったので歌詞なども難しかったのではと思います。
Come hear, the moon is calling
The witching hour draws near
Come hear the bell is tolling
Mortals run in fear
Prepare the altar now
And hear the virgins cry
Hold fast the sacrifice
For now it's the time to die
All hell breaks loose
Hell's breaking loose
聞いてください、月が呼んでいます
丑三つ時が近づく
ベルが鳴っているのを聞いてください
死すべき者は恐れて走る
そして、処女が泣くのを聞いてください
犠牲をしっかりと握りなさい
今のところそれは死ぬ時です
すべての地獄が解き放たれる
地獄が解き放たれる
まあ、解釈によっては微妙な内容です。これを中性的な男性、例えば、David Bowieのような中性的なルックスを持つ人が上半身見せて歌うのであったら、イメージ変わりそうな気もします。
今回はイントロダクションで、BLACK METALの主流に行くには、ある程度の助走は必要かなとも思いました。しかし、今、Venomを聴きながら書いているのですが、曲のストレートな歌詞が凄いなぁと思っています。
「Regé Satanas」ってヒンディー語です、とか。
ちょっと厨二病っぽいですが、まあ、かなりありです。この楽曲を当時の日本で紹介するのは微妙と思いますが、しかし、Venomは思った以上に楽しい。
若かったMayhemのEuronymousはこうした音楽を聴きながら、カッコよく、人と違った人生を描きながら、世界制覇とか(?)、壮大な野望があったのではないかと思います。邪悪な感性を持ちつつ、楽しくやっていくうちに、不謹慎な言い方ですが、スキャンダラスな事件をBLACK METALの教典に変えたEuronymousの才能は無二唯一だと思います。
次回はさらにBLACK METALで少し深掘りをしようと考えています。
ご清聴ありがとうございました。