Sloan(スローン)の魅力を再び!デビューアルバム『Smeared』がDeluxe Vinyl Box Setで蘇る : 90年代フィードバック カナダのパワーポップ
90年代グランジシーンからパワーポップ時代へと移り変わる中、独自のサウンドで注目を集めたSloan(スローン)。
キャッチーなメロディーと、全メンバーがボーカルを担当するというユニークなスタイルで、カナダ国内では絶大な人気のパワーポップバンドとして確固たる地位を築きました。
今回は、そんなSloanのデビューアルバム『Smeared(スミアード)』に焦点を当て、彼らの音楽の魅力を徹底解剖します。彼らの音楽を聴いたことがある方も、初めての方も、Sloanの世界へ一緒に飛び込みませんか?
Sloanは1991年、カナダ東海岸のノバスコシア州ハリファックスで結成された、デビュー当時から現在まで、不動の4人組ロックバンドです。
Jay Ferguson (ジェイ・ファーガソン) – Vo, r-G, B
Chris Murphy (クリス・マーフィー) – Vo, B, Ds
Patrick Pentland(パトリック・ペントランド) – Vo, l-G
Andrew Scott(アンドリュー・スコット)– Vo, Ds, r-G
このバンドの特徴としては、メンバーの担当記載でもわかりますが、全員がThe BeatlesやKISSのようにボーカルも担当し、そのバンドスタイルは、Sloanの音楽に独特の厚みと深みを与えています。
※ちなみに、KISSがThe Beatlesから影響を受けていたという話はとても有名です。(この影響を受けたことの幾つかの類似点を、以前にKISSの日本FCの会長から聞きました)
Sloanの4人でのヴォーカルスタイルは、もちろん、才能ある4人のスキルもありますが、KISSなどのバンドも意識をしたのかなという気もします。
『Smeared』では、ベースのChris Murphyが曲の提供が多く、ヴォーカルも主に担当しますが、リードギターのPatrick PentlandもSloanの多くのヒット曲でリードヴォーカルを担当しています。また、リズムギターのJay Fergusonもリードヴォーカルです。
しかし、Sloanの場合は、あまり語られていませんが、さらに上をいきます。
Andrew Scottはここまではドラムを担当していますが、自分の曲の時はリードヴォーカルなので、歌いながらギターを弾き、Jay Fergusonはベースに、Chris Murphyがドラムを担当します。
ドラムの人がドラムセットの前で歌うのは珍しいですが、KISSでPeter Crissがハンドマイクで「Beth」を歌うぐらいしか簡単に思い浮かべませんが、ギター演奏をする上に、メインのヴォーカルがドラムを叩くという。
ライブでも入れ替わるために移動をするで、あまり普段見ない、ちょっと珍しい光景が見れます。
Sloanの公式サイトにバンドの簡単なヒストリー的があり、メンバーであるChris Murphy本人が語っています。これによると、
という結成とレコードデビューまでが書かれてあります。原文は以下です。
こうしてSloanは、当時最大手のレコード会社であるゲフィンレコードと契約し、デビューから全世界が見える、米国以外のバンドにとっては非常に稀なポジションを獲得します。
Sloan - Underwhelmed OFFICIAL VIDEO HD REMASTERED
「Underwhelmed」はメジャーデビューとしての最初のシングルで、MVも制作されました。曲は、1993年のBillboard「Modern Rock Tracks」のチャートで25位を記録し、Sloanの曲で母国カナダ以外の最高位となります。
このMVなどは、当時の私や友人が見たら「可愛い」「かっこいい」の2つの単語しか出てこないと思われます。曲もいい感じで、このMVではKISSの『The Destroyer』とわかるステッカーも登場するシーンもあります。
また、このMVには別Ver.があり、そのMVには海外の「王様ゲーム」らしきをやってる男女を中心に、メンバーの演奏シーンが織り込まれているという、やや過激というか意味深なカルト映画っぽい仕上がりでした。
「Underwhelmed」は非常に優れた90年代のロックな曲で、『Smeared』の1曲目を飾るのに相応しい、キャッチーでヘヴィなオルタナティブロック・ナンバーです。
『Smeared』から、もう1つ制作されたMVはこちらです。
Sloan - 500 Up
「500 Up」は疾走感があり、ギターポップの要素、そして、全員がヴォーカルを担当することもあり、ハイレベルなコーラスが魅力です。流れるような美しいハーモニーと絡むギターの音に魅了される曲です。
特に、MVを見るとわかりますが、リードギターのPatrick Pentlandがメインヴォーカルを担当し、ドラムスのAndrew Scottが中間部のパートのメインヴォーカルにと変則的なスタイルが印象的です。
映像も凝っていて、メンバーの衣装はインディゴカラーとジーンズ、そしてスニーカー。楽器は落ち着いたトーンのレッド、モチーフのミニカーはピンクという具合に配色に規則性を持ち、視覚的にもスタイリッシュ。
演奏に合わせたちょっとした、アクションも非常に上手く、カッチリ音に同期し、決めのタイミングはまるで計算し尽くされたかのように完璧でクール。思わずハッと息をのむ瞬間があります。
カメラワークも歌うごとに交互に写したり、ぐるっと景色を回すなど、90年代のグランジシーンのMVとは一線を画す、洗練された映像表現が特徴的です。
そしてChris Murphyがベースの裏に貼ってある、お約束のKISSの『Rock and Roll Over』の円形のステッカーを見せたりもしてくれます。90年代のロックシーンらしい、この遊び心と、コミカルにじゃれれ合う仲良しさで楽しませてもくれます。
正直、この曲がもっと流行ってもよかったのではないかと思うのですが、みなさんはどう思います?
順風満帆のように見えた、Sloanのデビューですが、公式のバンド・ヒストリーには、さらに次のような事が書かれています。
引用文章は要約しています。
Slaonのデビューアルバム『Smeared(スミアード)』は低予算で制作されたにも関わらず、「Underwhelmed」の世界的なヒット、「500 Up」の様なハイセンスな曲など、メロディアスなポップロックから、ノイジーなロックまで、幅広い音楽性を持ち合わせたバンドとして、音楽シーンに大きなインパクトを与えました。
デビューアルバム『Smeared(スミアード)』は、グランジ全盛時代のハードで破壊的な側面を持ちながらも、爽やかできらめくギターの音と、4人のヴォーカルが織りなす、美しいメロディとハーモニーは、同時代のグランジバンドにはない、Sloanならではの魅力でした。
この才能を見出した当時の米国最大手のゲフィンレコードは、Sloanのセカンドアルバムを、当時流行していたグランジ的な音作りにシフトさせようと考えたようでした。「第二のNirvana」のような存在にしようと考えていたのかもしれません。
しかし、Sloanの音楽は、単なるグランジの模倣ではなく、メロディックな要素や多様な音楽性を併せ持つ、独自のスタイルを確立していたバンドでした。
シンプルなアコースティックや爽やかなギターポップな曲も魅力で、DodgyやTeenage Fanclubのような、よりメロディアスでポップなサウンドも得意としていました。
こうして、Sloanが作ったセカンドアルバムをゲフィンからの再録音の要求を拒否、すると、ゲフィンはアルバムの宣伝支援を取りやめます。セカンドアルバム『Twice Removed』はゲフィンからの宣伝を受ける事がなくリリースされ、母国カナダ史上最高のアルバムと絶賛されます。
そしてリリースされた『Twice Removed』は、カナダ国民の心を揺さぶる、まさに国宝級のアルバムとして評価されます。米国音楽誌「Spin」からは1994年にこのアルバムを「あなたが聴かなかったベストアルバム」の1つに選出し、カナダの音楽雑誌「Chart」では、1996年と2005年の2度「Top 50 Canadian Albums Of All Time」の1位を獲得します。
カナダのグラミーと言われるジュノー賞には9回のノミネート、1997年にはサードアルバムの『One Chord to Another』が「Best Alternative Album」を受賞するなど、Sloanはカナダの国民的なバンドとしての地位を確立しました。
こうした母国カナダでの成功もあり、Sloanは日本でも大きな人気を集め、1998年、1999年、2002年の3度にわたり来日を果たしました。
特に、2002年の公演はライブ盤として公式海賊風のジャケットのアルバムも発売され、日本のファンからも熱い支持を集めました。
さて、私は当時を振り返ると、Sloanのライブに行けなかったことを思いっきり後悔しています。90年代のオルタナティブロックシーンは、今となっては懐かしく、そして魅力的な時代でした。私のとって沢山の「好き」が詰め込まれていたバンドのライブに何故に行かなったという悔しさが満載です。
ある時、Sloanのアルバムを手にし、何気に聴いて、「これは!」と思い、自分のサイトで紹介しましたが、なんと言いましょうか、全く反応がなく、元々、私は自信がない人物で、人の反応がないと、「やっぱり」と、自分がダメ人間だから何をやってもダメなんだなって思うので、それっきりになってしまいました。
特に、「If It Feels Good Do It」(2001年『Pretty Together(プリティ・トゥギャザー)収録』のキャッチーなメロディと、力強いドラム、ファンキーなリズムセクションと、完璧なSloanのハーモニーの歌声に心を奪われたのを覚えています。
次の「In The Movies」の捻ったギターや、完璧なハーモニーのコーラスも、曲がキャッチーで、曲から受ける空間、世界の広がりを感じます。
彼らの音楽は、私にとって青春そのものでした!
自分のサイトで紹介した時も、もっと多くの人にこの感動を分かち合いたかったのですが、反応がないことに、大きな喪失感を感じました。
ロッキンオンなどが、Sloanを推してくれていたこともあってか、日本ではアルバムがリリースされると日本盤も発売されていましたが、2018年『12』以降は久しく日本盤もリリースされていません。
とはいえ、Sloanは2022年には新作のスタジオアルバムを発表していますし、今年にはなんと素敵なタイミングで、デビューアルバムの『Smeared』のBoxSetがリリースされています!!
Sloanは、また母国カナダでは、精力的にツアーを行っています。日本のファンからも熱狂的な支持を受けています。『Never Hear the End of It』リリース後の、2007年ぐらいに日本にも行きたいなどの話をされたという方の口コミもネットで確認できます。
もし、機会があれば、ぜひライブに足を運んでみてください。きっと、当時の感動、今の感動を再び味わえるはずです。
といったことを書いていた時、ちょうどよく、このようなインフォメーションがあります!!
デビューアルバム『Smeared』を全曲演奏するライブが11月29日と30日の2days、カナダの彼らの地元のトロントで行われます!!
これ観たいなー、行かれないけど、もし近隣で行けれそうな方は是非!
(カナダドルは109円なので、7400円ぐらい)
でも私は2002年に行く予定だったので、あの好きそうなデザインのLive盤でも聴こうと思います!
(https://sloanmusic.bandcamp.com/album/smeared )
あなたもSloanの『Smeared』を聴いて、90年代のサウンドに浸ってみてください!彼らの音楽は、今もなお、多くの人の心を掴んでいます。
今日はこれで終わります
次回予告は、あのバンドの映画鑑賞の文章の予定です。
Kula Shakerの『Natural Magick』のツアーは重要案件と騒いでいましたが、Natural Magickツアーもラス1になりました。日本に戻って来て来て!キャンペーンを引き続きプッシュ中です!
もう今更な五輪、開会式&閉会式の件、10月はHalloweenだしSmashing Pumpkinsって10月はもう終わりそう。The Cureの新作、Oasisの続き、Aerosmith、Roxy Music、Johnny Marr+Healers、The Smiths、Manicsの新作、急に増えたのですが、これらは予定しています。
またSloanもまだ書きます。アルバムごととか、ベスト曲も、せっかくなので、また、90年代のオルタナティブロックシーンを代表するバンドたちの魅力を、今後も紹介していきます。
あと、メタルもPUNKも書くよー!
あとはランキング的なものとか、アルバム1枚、楽曲1曲を毎日投稿するとか、そういう野望もあります。とにかく沢山あるっていえば、ありますね。
今回は頑張りました! よろしくお願いします
この先もまだまだ続きます
最後にメンバーシップも始めています
ご清聴ありがとうございました!