【note版】イギリス人の定番朝食「卵と兵隊さん」が食べられる、元クリケット競技場のカフェ
イギリスの朝食といえばイングリッシュ・ブレックファースト(関連記事)がよく知られていますが、家庭で普段あんなにもいろいろ品数を揃えるのは大変?それよりももっと簡単な「Egg and Soldiers(卵と兵隊)」という食べ方があるそうです。
ところが、ちょうど前回紹介したホットサンド(関連記事)同様、あまりにも庶民的すぎてレストランなんかでお目にかかることはなく、そもそも旅行でもないのに朝食メニューを頼むことはないので、この卵と兵隊さんに関しても噂程度にしか知りませんでした。それが、とあるローカル感たっぷりのカフェにて、食す機会がついに訪れました!
※以下は他媒体に掲載中の記事から転載(自著)した、過去のものです。noteには私の個人的な記録として一部割愛、再編集(くだけた文調や写真のキャプション、絵文字など)したものをお届けします。フルバージョンの原文はこちらをご参照ください(2020年3月13日執筆分)。
ロンドン南部のカーショールトン(Carshalton)にDotty’s Teahouseを開店し、大成功を収めた双子のママでもあるオーナー、レベッカさん。2019年の12月には別の地域、コールズドンに姉妹店の「ドッティーズ・ティー・ガーデン(Dotty’s Tea Garden)」をオープンしました。
こちらのカフェは、遡れば元々はイギリスの国技であるクリケット競技のパビリオン(観覧席、選手席、更衣室など)だった建物を改装して作られました。カーショールトン店同様、レトロな家具とヴィンテージ陶器が昔ながらのカントリー調ティーサロンを再現しています。
メニューも内装も一貫したクラシカルなテーマ
公園内の隠れ家的存に建っているカフェには看板などありませんが、周囲に他の建物はなく、こちらの一軒しかないのですぐに分かります。扉を開けるとそこはもう、メルヘンの世界。花柄のテーブルクロスがかけられたテーブルに花柄のエプロンをつけたスタッフさんが優しく出迎え、どこでも好きな席に座らせてくれました。
各テーブルには角砂糖の小皿と、全て絵柄が違うお店ご自慢のヴィンテージティーカップとソーサーがセットされています。その中で、半個室のように独立している角席に腰を下ろし、クラブサンドイッチ 6.99ポンド(約1050円←いまやもう1132円ほどに😭)と本日のスープ(この日は人参とパクチーのスープでした。)3.99ポンド(約600円)を頼みました。
さすがはレトロでクラシックを再現しているお店。イギリス人にとっては「子供の頃に食べた懐かしいもの」の典型、と話にだけ聞いたことのある「卵と兵隊さん(こちらのお店ではdippy egg with soldiers)」をメニューに見つけました。早速子供にはそれを注文してみると、日本の純喫茶のようにバターがたっぷり染み込んだトーストが、噂通り細長くカットされ(普通は長方形ですが、食べやすいように先がすぼまった三角形に工夫されていました。)エッグスタンド代わりにした小さなバケツに乗った茹で卵を開けると・・
中からトロットロの黄身が流れ出てきました!これがこの料理のキモで、イギリス人の大きなこだわりだそうです。これにトーストを浸しながら食べます。
アットホームなサービスと居心地
店内は奥に調理場があり、注文を受けてから一品一品手作業で作っている様子が見え、トーストが焼き上がる「チン!」という音もテーブルまで届く距離です。出来たものから運ばれてくるので全員同時に「いただきます」とはなりませんが、自宅でお母さんのご飯を待つ子供のような、懐かしい気持ちになりました。
出てきたのはトースト3段重ねの特大サンド!タップリの野菜にカリッとした焼き目が芳ばしい、チキンやベーコンの食感と塩気が絶妙です。人参たっぷりの健康スープには、更に食パンが一枚ついており一瞬多いかと思いましたが、こちらはフワフワの生パンで、ことさら美味しかったです。
ホームメードのケーキでティータイム
デザートメニューはなく、調理場脇のカウンターに並べられたお菓子から選びます。愛らしい飾り付けのカップケーキやポピーシードとレモンのケーキ、コーヒーとクランベリーのケーキ、他にスコーン、アイシングクッキーなどのお菓子はシェフのイングリッドさんがその日全て1人で焼き上げたホームメードです。
「ドッティーズ」は茶葉にもこだわっていて、棚にはキャニスターに入ったルーズティーが並び、なかには「ロシアン・キャラヴァン」などと言う珍しい種類もありました。
私は残り1つだった人気のズッキーニとアボカドのケーキとエスプレッソベースのミルクコーヒー、フラットホワイト2.5ポンド(約375円)を頼みました。飾りの食用花の紫色がアクセントになり、見た目にも上品でヘルシーなお味でした。
子供用に誕生日の仕掛けをお願いしたところ、突然にも関わらず快諾して頂き、ロウソクをデザートケーキにさして歌いながらサーブして貰い、大変ありがたかったです。
これからの季節が楽しみな寛ぎの場
「ドッティーズ」が力を入れているアフタヌーンティーは平日のみの受付で、今回は残念ながら賞味できませんでした。定番のクラシック型の他に『不思議の国のアリス』をテーマにしたものや、これからの季節ですと母の日セットなど、季節限定メニューもあるので次回は平日に予約を入れて再訪したいです。(イギリスの母の日は日曜日なので、この日だけは日曜日の受付です。)子供用はどれも値段が半額なのも、家族連れには嬉しいポイントです。
お天気の良い日には外にテラス席を設け、更に暖かくなった頃には地元のアイス屋さんが公園内にやってきたりするそうです。入り口近くの2席は、犬のリード(散歩日紐)をくくりつけられるようになっているので、散歩がてら立ち寄る近隣住民も多いそうです。なかにはお店のコンセプトを気に入って、ヒースロー国際空港近くやその他の地方都市からわざわざ来るお客さんもいるそうで、それだけの価値はあると思いました。