イギリスのお菓子vol.6「デーツのスティッキー・トフィー・プディング」
今回子どもがレシピ本から選んだのはデーツが入ったケーキ、「Sticky Toffee Pudding」。ふむ。前回選ばれたパイ生地タルト(参考記事)よりかは断然ラクそうなので、快諾。
デーツとはナツメヤシの実でモロッコで大量にはかり売りされていたので、中東のようなイスラム圏の特産物かなと認識していましたが、どうやらイギリスでもよく食べられているよう。ドライフルーツになったものが定番で、味は干し柿のようです。
プディングの歴史
「プディング」となっていますが、日本人としてはドッシリとしたドライフルーツ入りケーキといったほうがわかりやすいかと思います。スティッキー・トフィー・プディングは1970年代、世界的な観光地であるイギリス湖水地方の「シャローベイ(Sharrow Bay)」カントリーハウスというホテルで、フランソワ・クールソン氏とブライアン・サック氏がメニューに取り入れたのがはじまりといわれています。
プディングは大人気ですぐにホテルの看板メニューとなりました。お客さんに聞かれれば気前よくレシピを公開していたので、そのうち湖水地方全体の郷土菓子として定着。そのほかの湖水地方由来のレシピ同様、このプディングにはイングランド北西部の焼き菓子に欠かせない、ドライデーツとマスコヴァド・シュガーの2大材料が使われています。(参考文献:“Sticky Toffee Pudding” The Great British Booking of Baking 2010: 298 Print.)
実際に作ってみて
このマスコヴァド・シュガーというのに少々手こずらせられました。この何度聞いても覚えられない砂糖、このレシピのために以前から各スーパーで探していたのですが、予想したとおり見当たりません。これはきっとお高めスーパーだな、と見当をつけたとおり最終的にはやっと某高級スーパーで入手できました。
さて、これだけ苦労して手に入れた砂糖とはいったいどんな結構な砂糖なんでしょう、とワクワクしながら封を開けると......
わざわざフェアトレードのこちらの結構なお砂糖さまは、どう見ても嗅いでも、というより内心はじめて袋だけ見たときにチラッと思ったことですが......
ナンダ、黒糖じゃん
と、タネ明かしをしたところで(しかも別の庶民スーパーでも普通にうってたという・・)、実際に作った様子をご紹介します。特徴としては普通のスポンジ生地にデーツを入れる点ですが、少々ユニークなやり方で、入れる前に刻んだデーツを一旦軽く煮てふやかします。冷ましたこれを水ごと生地に入れるんですが、水が300mlもあり、ユルユルにならないかと心配しました。が、レシピが間違ってるわけもなく、なにごともありませんでした。
レシピがおかしいんじゃないか、と思ったのは毎度おなじみ、砂糖の量でした。ドライフルーツってそもそも甘味が凝縮されて激甘だと思うんですが、このレシピにはデーツと小麦と同量の175g入れよ、とあります。
けれど、100歩ゆずってこれがスポンジ生地にとってベストだというにしても、トッピングにかけるトフィー(キャラメル状のソース)の甘さはどうなるんです?実際にかける量はわずかですが、1回分のトフィーを作るには200gの黒糖が投入されます。
それに加えてデーツの甘さ。・・ありえない。と、いうことで、普段は半量ぐらいにとどめるのですが、今回は大幅にレシピを無視し175→30gに大胆改革!
全然ちょうどいいよ・・。毎回思いますが、レシピどおりにしてたらどうなってたことか、と恐ろしいです。日本の某料理家は、砂糖にはそのお菓子をしっとりさせるとか色々意味があるわけだから基本的には勝手に量を変えるな、と言っていましたが・・ちょっとこれはイギリスのレシピで勝手が違うということでお見逃しいただきたく。
トフィーソースが秀逸
ちまたに出回っているレシピを見ても「超カンタン」と紹介されてるだけあって、特に失敗もなくおいしくできました。なかでもすばらしいのが、焼き上げる直前5分前にトフィーソースをケーキの表面に塗りつけて、再度オーブンに入れる工程です。
これによって表面はしっとり「スティッキー」になり、私が特に気に入ったのが、側面に流れたトフィーがカリカリになってプラリネのようになっていた点です。トフィーソース自体もコッテリ濃厚で、寒いこの時期に脂肪を蓄えるのにピッタリ・・。
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