【note版】北アイルランドについて知ろう!
日頃から、イギリス各地域の聖人についてなどでときおり触れていますが、イギリスって、なんだか国が4つぐらいある気がしてならないほど独自文化があってややこしい、変化に富んだすばらしい国なんです。なかでも地理的に離れていることもあり、北アイルランドなんてとこはもう・・イギリスに住んでいてももはや異国中の異国、まったくの得体の知れない未知なるものでした。
とはいえいつまでもそれでは、「イギリス」在住者として失礼だろうと思い、少しは勉強することにしました。実際に訪れてみたので、以下をご覧になって皆さんのイメージが少しでも膨らみますように・・。
北アイルランドってイギリスなの?
イギリスの正式名称は実はとても長く、「グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)」といいます。イングランド(関連記事)、ウェールズ(関連記事)、スコットランド(関連記事)、北アイルランドという4つの地域(countries)で構成されており、それぞれに独自の地方政府(local government)があります。英政府のウェブサイトを覗くと、首都のロンドンを擁するイングランドには大きく分けて教育や交通といった大がかりな事柄について協議する州議会(county councils)とゴミ収集や住宅、リサイクル事業といった比較的小さな案件について取り決める市議会(city councils)と、ふたつの議会があります。これに各都市、公園整備やポイ捨て、ペットを飼う規則など、さらにより生活に密接したことについて話し合う地域(district)、区(borough)、町(town)議会などがあります。
イギリスはこういったことについての規定が4つの地域によってバラバラで、ウェールズとスコットランドにいたっては、同じ国内ながら「ウェールズ政府」「スコットランド政府」と、それぞれ別個の「国旗」まであしらった、立派なロゴのついた政府機関があります。
一方で北アイルランド政府に現在国旗はなく、けれどもイギリスの国名にはわざわざ「および北アイルランド」と付随していたり、ことスポーツにおいてはサッカーやラグビーなど、大会によってイギリスのチームとして出たり、アイルランド代表として参加するなど、ほかの地域と比べてもだいぶ特徴的です。
地理的にも、ほかの地域がすべて本島のグレート・ブリテン島内にあるなか、北アイルランドだけは海を隔てた隣国、アイルランド共和国と国境を接したアイルランド島にあります。
このように、イギリス各地の政策事情やそれぞれの管轄区域、各種団体の呼称など、細かな仕組みを理解するにはかなり複雑ですが、近年わかりやすい例としましては、コロナ対策も各自治体によって異なるので旅行の際は注意が必要でした。
イングランドからの移動手段:フェリー
イングランド地域から北アイルランドへは、飛行機かフェリーで渡ることができます。今回はイングランド北西部の都市、リバプールの港から1日2便発着しているフェリー会社「Stena Line」を利用しました。
ふ頭はリバプール市内のにぎやかなベイエリアから見てちょうど対岸に位置するQuaysターミナルという場所にあり、夜便の「Stena Embla」が出発する22時30分に合わせて、早めの21:時30分には到着して順番待ちをしました。
当然ですが、乗船手続きも含めて出発時刻に間に合わなかった場合、容赦なく置いて行かれそうな雰囲気で、同社からは当日までに幾度となく「時間厳守で!」という注意喚起メールが届きました。
22時頃にはもう船内に車を停めて、予約していた「ヒュッゲ・ラウンジ」に入ることができました。7階まで急な階段を上るのはけっこう息が切れます。こちらは8才以上から利用できるリクライニング・チェアつきのプライベート・エリアで、入室には暗証番号を使います。
ほかにベッドで寝られる客室タイプのキャビンと、肘かけ椅子と空港ラウンジのようにドリンクと軽食を楽しめる「プラス・ラウンジ(同じく8才以上可)」がありますが、年末という時期とコロナ対策で受け入れ人数を制限しているため、予約はすぐに埋まっていました。
一般開放されている座席エリアや飲食コーナーは誰でも利用できるので、これらの予約が取れなかった乗客は、電車の自由席のように乗船券だけ買い、普通席で8時間ほどを過ごすことができます。「ヒュッゲ・ラウンジ」内は暑すぎて寝苦しいほどでしたが、自由席エリアはドアがないので特にこの時期、ひと晩を過ごすには冷え込みがキツいようです。
お城もこぢんまり「エニスキレン」
予定どおり翌朝6時半に北アイルランドの首府、ベルファストに到着しました。ホテルのチェックインには早すぎるので、近場を観光するため「エニスキレン (Enniskillen)」という小さな町に行ってみました。
案内板にお城と博物館の表示があったので、これで少しは時間を潰せるとさっそく出向いたのですが、川べりにちょこんと建つそれは町の規模にピッタリなかわいらしいサイズで、かつ博物館も冬休み期間のため閉まっており、外壁を眺めただけで終わってしまいました。
アーン(Erne)川に囲まれたこのお城は水門が象徴なようで、イギリス国内とはいえ、屋根(塔)がイングランドでよく見られる円筒型ではなく、小ぶりの円錐なのが異なるなど、やはり少し違った印象を受けて新鮮です。
通常は祝日も含め開いており、城内施設と博物館の見学にはお金がかかりますが、観光案内所も兼ねておりそちらは無料で利用できるので、エニスキレンを訪れた際はまずはこちらに足を運ぶのがよいかと思います。
お城から少し離れたところにハート型のオブジェあり、そのハートを通してエニスキレン城を眺めると、まるでハートの中にお城が絵葉書のようにスッポリ入っているように見え、ユニークな撮影スポットとなっています。
川のほとりを散歩したあとは、町の商店を冷やかしに中心地まで歩きました。今回北アイルランドを旅行するにあたって、事前にイングランド在住のイギリス人から聞いてはいましたが、北アイルランドの町の風景はスコットランドなどよりよっぽどイギリス(イングランド)らしいとのことでした。
実際ほかの町も含め、北アイルランドにはイングランドでおなじみのスーパーAsdaやチャリティ(リサイクル)・ショップの数々を目にし、本当に違和感なく過ごしました。
ただ、それでもやはり多少の違いはあり、特に教会はお城同様デザインが一風変わっており、思わず写真に収めたくなります。なかでもプロテスタント派のメソジスト教のものは政府機関のお役所的な外観で、なんといってもその色使いに驚きました。
たいていは石造りでグレーや茶色の外壁が多く見られますが、北アイルランドでは教会に限らず、ほかの都市でもこの鮮やかなサーモン・ピンク色が建物の壁に塗られていました。次回はその別の町をご案内しますので、お楽しみに。
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