あなたの英語はネイティブ何歳レベル?vol.11<イギリス訛りの発音>
今年は2月にコロナにかかってしまったり、先月は議会への開会式を59年ぶりに欠席するなど、ここ近年お年柄、体調が心配されていた英エリザベス女王。在位70周年をお祝いする今年最大の式典、「プラチナム・ジュビリー」が無事敢行されるか、ヤキモキしていた関係者はさぞかし多かったのではないでしょうか。
それもいよいよ今週末!普段の暦にはない6月2日・3日が祝日になり、土日と合わせた特別なジュビリー・ウィークとして、さまざまな催しが盛大に行われる予定です。ということで?今日のお題もそれにかこつけて、特別イギリスっぽいこと=イギリス発音についてお話させていただきます。
家族間で支障をきたすイギリス英語
イギリスに来た当初はイエスもノーもいえなかったわが家の子供達も、小さい子ならではのスポンジ脳で、すぐに親が聴き取れないほどの発音をするようになりました。
始めは「おぉ〜、カッコいい!」とミーハーに喜んでいたのですが、発音よすぎてそのうち本気で、親子間のコミュニケーションに支障をきたしてきました。義父はきっと、冗談抜きで危機感を抱いているのでしょう。直近のお手紙に「ジジは英語の勉強をしています」とありました・・。
彼らの英語はイギリス訛りなので、少しばかりアメリカ英語に接した親にとってはとりわけ難解です。カーント(can’t)はすでにおなじみで紹介するまでもないとして、そのほか普段から「は?この単語をこう発音するか⁈」とカルチャーショックだった言葉を厳選し、以下にまとめました。
日本にもさまざまな方言があるのと同じで、イギリスでも地域によって訛りがかなり異なります。わが子のイギリス発音もある特定の地域の発音で、ほかとは違う点もあるかと思いますので、参考程度にお考えください。なお、ロンドン南部郊外で身につけた発音です。
iがオイに変化
注意して子供達のしゃべる言葉に耳を澄ましていると、いくつかの法則を見つけることができました。まずは‘i’の発音について。
日本では大抵‘i’を普通に「アイ」と読むと思うのですが、わが子達はどうも「オイ」と言っていますね。何度聞いても‥。
例えば、数字の9はナインではなく、
だからスパイダーマンの
「How are you?」に対する答えは「ファイン!」ではなく
お、おもしろい・・。ちなみに、実際に自分で発音してみると、なんか鼻の奥から出てくる感じになりませんか?!私だけでしょうか?鼻濁音ではないのですが・・。
とにかく「ア」を「オ」にしたがる⁈
この謎の「オイ」発音はほかの単語にも大いに関連づいており、通常私が「ア」と認識していた発音までも、「オ」にしてしまいます。
アメリカ発音ではガット(got)ハット(hot)など、逆にオ(o)をアで発音しがちだと思うのですが、イギリス訛りではなんせオ発音が大好きなので、元々’o’の場合、厳格にオと発音します。
同じ要領で?、アップ(up)など‘u’ の発音もなぜかオになるのが、もはやステキです‥。
学校での指導
と、整理してみたら、意図せず一貫してイギリス訛り→「アはオに」というまとめになってしまいました。
と、これで終わろうと思っていたら、ある夜いつもの寝る前の絵本を子供に読んであげていたところ、唐突に「ママ」
と、わずか当時小1の子に指摘されてしまいました!!聞けば折しもその日、学校で先生から習ったと言うではないですか。いわく、
「ワズはアメリカ人が言うけど、イギリスではウォズですよ、皆さん」
だそうで、まさか学校でそんなアメリカ英語との違いを、発音にまでこだわって仔細に教えられているとは知りもしませんでした!
私は実際に受けていないのでわからないのですが、例えばアメリカ式の学校で発音について「イギリス英語ではこう言うけど、アメリカ英語ではこうだから」なんてこと、わざわざ教えてなさそうな気がするんですが・・。
やはりプライドの塊?イギリス人がゆえの、「元祖大元の英語は絶対に死守すべし!朱に交われば赤くなる(ハリウッド映画など、アメリカ英語がすっかり主流になってきた昨今)のは断固防がねば!」といった気負いから来るものでしょうか。
あまりにも気になってしまったので、私のきょうだいにヘルプを求めました。彼らはどちらも小学校低学年を含めた5年間を、アメリカ式の学校で教育を受けています。わが子の時期と完全にかぶっているので、普段から帰国後の将来像も見据えて、よく質問をしては参考にしています。
するとやはりそこまでの指導はなく、あったとしてもつづりに関して「colorだけどcolourとも書くよ〜」や「centerとcentreは一緒だから」のようにあくまでも補足的に、ゆる〜い感じで教えられたそうです。私はこのときすでに高校生だったので、そういう言語としての教育は受けてこなかったので、非常に興味深いです。
翻ってこちらイギリスでは、子供に限らず大人でも発音は外国人の場合しょうがないものの、つづりに関してはアメリカ式は完全に間違い!であり(関連記事)、イギリス式の教育現場では発音に関しても言い方が強めだな(私たちはこう言いませんから、のような)と感じました。
つい最近も、灰色のグレーにはgray以外にgreyというつづりがあり、後者はイギリス英語だということを、ラジオから流れる軽いトークのやりとりから知りました。5年越しではじめて知るという驚愕の事実・・。greyhound など、これまできっと目にしたことはあったのでしょうが、灰色とは私の脳が認識していなかった可能性があります・・。
ちなみにこのトークでは「grey派かgray派か、どっちっすかぁ」といった、明らかにgrayをネタにしている感じでした。
かくいうアメリカ側でも、昔は特に映画などからの影響で、私やきょうだいも含め一度はイギリス人の「カーント(can’t )」や「ウォッタ(water)」を茶化していたので、どっちもどっちでお互い様ですね。
自分が知らないだけで、これから先まだまだ新たなイギリス発音に、いつまでたっても驚愕していそうなパーリーメイです。皆さんは、どちらの単語のイギリス発音に驚かれましたか?