寂響

一緒にいると夢の中にいるようだなあ

と感じさせてくれる人がいる

それは幸せだとか、舞い上がっちゃうとか

そんなものではなくて

私という人生を歩む上では通らないであろう

寄り道をさせてくれる人

その人といると私は

自分が自分じゃなくなったみたいで

目の前で起こる事柄についていけず

途中から魂は置き去りになっていたりする


あれ知ってる?

スーパーマリオ二人でやってる時にさ、

一人だけ死んだらシャボン玉に乗って生き返るの

そんな感じ

(わかりづらいね、ごめん)

ユウナ(体)はその場にいるんだけど

ユウナ(魂)はシャボン玉に乗って

ふわふわ自分の意思とは関係なく

本体に引っ張られていく、みたいな


目の前では想像し得なかったことが進んで

知らん間に終わって

知らん間に家に帰って

気付けば夕方のベットの上

そこから昨日あった出来事を思い出して

映画を見ているような気分になる

毎回ドラマの新しいストーリーが

更新されていくような気分になる


私自身を客観的に楽しませてくれる人


そういう人に囲まれたおかげで

私の人生はいろんな色してるし

いろんな感情を持っている

一つ一つの感情や匂いを忘れたくなくて

曲に閉じ込めようと頑張るんだけど

鮮度を保って蓋をするのが本当に難しい


私の心と脳みそと紡ぐ言葉との差異を

無くそうとすればするほど

時間が経って新鮮なものではなくなってしまう

私はこの感情をずっとずっとずっと

閉じ込めていたい

ずっとずっとこのままでいたい

どれだけ環境が変わろうと

共に過ごす人が変わろうと

きっと今のこと思い出して

胸がキュッとなるんだろうな


なんで音楽をしてるの?

ありきたりだけど久しぶりに投げられた質問

面接やレポートに何度か

思いを綴ったことのある質問

そこではある程度の嘘を盛り込みながら

私が音楽を始めたきっかけを

美談として記していたけど


私は誰からも忘れられたくない

もう連絡を取らなくなった幼馴染にも

大好きだった先生にも

喧嘩したまま疎遠になったあの子にも

これから離れて行っちゃうみんなにも

私が大嫌いなあの人にも

死んじゃった家族にも


私がいい子にしていればみんな戻ってくると

私が自慢の娘、友達、先輩、後輩なら

みんな離れてなんていかないと

そう思っていたけれど

そうじゃなかった


みんな離れていったし

私も知らないうちに

みんなから離れていっていた

人生なんてそんなもん

分かってるけど「寂しい」に弱いのよ


忘れられたくない

私という存在をずっと覚えていてほしい

そんな気持ちを思い出させてもらったよ


忘れられたくない、と思っていた人を

忘れてしまっていた

もっともっとみんなに届くように

これから忘れられたくない、と思える人を

もっともっと増やしていけたら

私一生寂しい思いなんてしないのかな


私ってずっと寂しかったのかもね

みんなそんなもんか、


死ぬまでも死んでからもきっとずっと寂しい

だからせめて

寂しいもの同士、紛らわせていこうね


ずっと夢の中にいたい





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